ダルビッシュが提言する「メジャー先発ローテ6人制」の真意とは?

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2012年にテキサスレンジャースに移籍し、3年連続でオールスターに選出される等、名実ともにメジャーを代表する投手となったダルビッシュ有。そんな彼が2014年の球宴前の会見の際に中4日間隔でローテーションを回すのシステムに異議を唱えたことが話題となっている。

テキサス・レンジャースのダルビッシュ投手が2014年メジャーリーグ・オールスター前の会見で、中4日で回すメジャー流のローテーションに対して持論を展開。異議を唱えたことが話題となっている。

レンジャーズのダルビッシュ有投手(27)は14日(日本時間15日)、オールスター戦前日の記者会見に臨み、ヤンキースの田中将大投手(25)ら肘の故障が相次いでいることに対して、中4日登板が短すぎるなどと、持論を展開した。
ダル故障者相次ぐメジャー方式に物申す「本当に議論しなきゃ」 (デイリースポーツ) – Yahoo!ニュース

田中将が受ける可能性のある肘の腱(けん)移植手術(トミー・ジョン手術)。開幕直後から同手術を受ける選手が続出している現状に「これだけトミー・ジョンが出てるんだから、何でかってことで、本当に議論しなきゃいけない」と、警鐘を鳴らした。
ダル故障者相次ぐメジャー方式に物申す「本当に議論しなきゃ」 (デイリースポーツ) – Yahoo!ニュース

そもそもトミー・ジョン手術って?

トミー・ジョン手術(英: Tommy John Surgery, 側副靱帯再建手術)は肘の靱帯断裂に対する手術術式。損傷した肘の靱帯を切除し、正常な腱を移植することにより患部の修復を図る。
トミー・ジョン手術 – Wikipedia

損傷した靱帯を切除したうえで、患者の反対側の前腕(長掌筋腱など)や下腿などから正常な腱の一部を摘出し、移植する。
トミー・ジョン手術 – Wikipedia

大がかりな手術になるため、復帰までには多くの時間が必要となる。

おおよそ2か月をかけてひじの可動域を元に戻していくトレーニングを行い、日常生活において支障なく腕を動かせるようにした後、軽めのウェイト・トレーニングを開始する。徐々にウェイトの量を増やしていくのと並行し、腕全体を強化するための様々なトレーニングを始め、日常生活や通常の運動ができるまでに回復したと判断された時点で投球を再開することになる。通常、ここまでの回復に約7か月を要するため、実戦復帰には12か月から15か月が必要となる。
トミー・ジョン手術 – Wikipedia

投手であれば間違いなく1年以上は棒に振ってしまう。

実はメジャーリーグではトミー・ジョン手術を受ける選手が非常に多い。

2003年のデータによれば直近2年間にメジャーリーグで投げた投手のうちトミー・ジョン手術を受けたのは75人、9人に1人に及ぶ。
トミー・ジョン手術 – Wikipedia

Wikipediaにはトミー・ジョン手術を受けた選手が数えきれないほどリストアップされている。

メジャーリーグでトミー・ジョン手術がまるで感染病のように大流行している。開幕2カ月が経過したが、今季すでに20人もの投手が肘の靭帯再建手術を受けた。
【MLB】若い投手に「トミー・ジョン手術」急増中の謎|集英社のスポーツ総合雑誌 スポルティーバ 公式サイト web Sportiva|MLB

特にアメリカ出身の若い投手でトミー・ジョンを受ける選手が増えている。

先発投手が100球を目処に交代するなど、日本よりも投手のことが考えられているように思われるが、そもそもメジャーリーグは試合間隔が過酷!

シーズンは182日間ということになります。試合数は162です。つまり、182日間に休みはわずか20日しかありません。
連戦が多いのもメジャーの特徴です。どのチームも、シーズン中に一度は連続20試合の予定が組まれています。
「メジャー:日程の厳しさ~年間の休みは20日だけ!~」11/07/07 : 岩佐徹のOFF-MIKE

休日が少ないため、試合が中止になればダブルヘッダー。ダブルヘッダーにはなるべくしたくないので、天候が回復する見込みさえあれば、雨でも何時間も待ちます。そしてアメリカ大陸の横断には飛行機で5時間。先発投手も全試合チームに帯同してベンチ入り…。そんな中で100球制限があったとしても、中4日でローテーションを守ることがどれだけ大変か…想像を絶します!

サンフランシスコ・ジャイアンツの2014年日程。
空白の日がほとんどないのが一目瞭然!

そんな環境の中で、第一線で活躍を続けるダルビッシュはこう提言する。

「選手をプロテクトしたい(守りたい)んだったら、もう1枠、先発用の枠をつくった方が中5日で楽に回れる」
ダル故障者相次ぐメジャー方式に物申す「本当に議論しなきゃ」 (デイリースポーツ) – Yahoo!ニュース

メジャーの常識となってい5人ローテ・中4日の登板間隔を「絶対短い」と切り捨て、日本と同じく6人でのローテ構築を提案した。

現在、故障防止のために行われている1試合100球の球数制限は「ほとんど関係ない。140球投げても、(中5日や)中6日あれば靭帯(じんたい)の炎症は全部取れる」と言い切った。
ダル故障者相次ぐメジャー方式に物申す「本当に議論しなきゃ」 (デイリースポーツ) – Yahoo!ニュース

他にも、品質が安定しないメジャー公式球もひじにストレスがかかる原因であると訴えた。

そんなダルビッシュの提言は真摯に受け取られ、メジャーリーグ関係者に波紋が広がっている。

米ニューズデー紙は「6人ローテーションはトミー・ジョン手術の危機を救うか?」との見出しで記事を掲載している。
「中3日か、4日か、それとも5日がいいのかは野球が誕生してから続く議論だが、日本では6人ローテーションを守ることで多くの投手が健康な状態でいる。5人ローテはメジャーで長く定着してきたが、田中がDL入りした今、これを見直してみることもいいのではないか」
ダルの“中4日批判” 球宴前会見で異例の異論も米世論に呼応した提言 (夕刊フジ) – Yahoo!ニュース

ニューヨーク・タイムズ紙も「米国では多くの若者がプロのスカウトの目を引こうとドラフト前から95マイル(153キロ)の速球を投げている。これがメジャー入りしてすぐに手術を受ける傾向に拍車をかけている」と警告した。
ダルの“中4日批判” 球宴前会見で異例の異論も米世論に呼応した提言 (夕刊フジ) – Yahoo!ニュース

日本球界で活躍した面々からも賛同する声が

「投手の腕を守るため、少ない登板をエースは支持」との見出しで報じているニューヨークタイムズは2008、09年と広島でプレーしたレンジャーズのコルビー・ルイス投手の「(日本時代の)週1回の登板は好きだったよ」とのコメントを紹介。「いつもとても健康で力強い感覚があった。ここにきて5日ごとに投げているが、違いがあるね。田中に起きたことの原因とは言わないが、考える価値はあるだろう」と登板間隔を広げる案を好意的に捉えている。
【MLB】ダルビッシュ有の「先発6人制」提言が米国でも議論呼ぶ 肘の故障が続出するメジャーに一石を投じる!? (Full-Count) – Yahoo!ニュース

元千葉ロッテマリーンズ監督
ボビー・バレンタイン

日米で監督経験のあるボビー・バレンタイン氏もダルビッシュの発言に賛同し、「シーズン中に多く先発登板できないかもしれないが、キャリアの長さをもっと長くすることができるだろう」とコメント。
【MLB】ダルビッシュ有の「先発6人制」提言が米国でも議論呼ぶ 肘の故障が続出するメジャーに一石を投じる!? (Full-Count) – Yahoo!ニュース

ジョニー黒木が肩を壊した際に「私が監督だったらこんなことにはならなかっただろう」とコメントしたボビーのコメントには説得力がある。

アメリカのメディアの多くは今後も議論を続けていくべきだと報道

「先発6人制を採用するには、ロースター枠(25人)を拡大しなければならず、オーナー会議、選手会の了解が必要になる」と実現にはハードルがあるとしながらも、おおむね好意的な報道が目立つ。
ダルビッシュが指摘した「中4日限界説」 全米で波紋拡大 (日刊ゲンダイ) – Yahoo!ニュース

米サイトのファングラフスも6人制ローテを推奨し、肘の靱帯(じんたい)を修復するトミー・ジョン手術を受けた両国プロ野球の具体的な数字を紹介。2012~14年5月の間に、日本は1球団で年平均0・53投手が手術を受けたのに対し、米国は3倍以上の1・68投手だと指摘した。
さらに、同サイトは「6人制ローテはブルペンの負担を増すというのならば、ベンチ枠を一つ増やせばいい。選手会は職場の拡大を喜ぶし、オーナーたちも先発投手が故障して大損するリスクを低減できる」とした。
中日スポーツ:メジャーも先発6人制にすべき!! 米メディアが日本流のすすめ:大リーグ(CHUNICHI Web)

ダルビッシュの提言がメジャーリーグの仕組みを変えるきっかけとなるか。今後の動向にも注目だ。

https://matome.naver.jp/odai/2140607607916959801
2014年07月24日