TBSラジオ『たまむすび』で
映画評論家の町山智浩さんがTBSラジオ『たまむすび』でアメリカの子どもたちに蔓延する肥満と栄養失調、飢餓について描いた作品『Fed Up』について紹介していました。
町山智浩 映画『Fed Up』が描くアメリカの飢餓・肥満問題を語る
まずは映画評論家の町山智浩さんの発言を読んでみてください
子どものうちに。アメリカは現在ですね、子どもの3人に1人が肥満なんですよ。
町山智浩 映画『Fed Up』が描くアメリカの飢餓・肥満問題を語る
子どもの3人に1人が肥満で。その3人に1人も糖尿病の可能性がある状態なんですよ。で、もう子どもたちも大変は状態になっているから、なんとか痩せようとするんだけど、なかなか痩せられないんですね。運動とかしてるんですけど、ぜんぜん効き目がないんですよ。どうしてそうなっていってしまったのか?っていうことを日常生活を見ながら追っていって、最終的には痩せる方向に向かわせるっていうのが『Fed Up』っていう映画なんですけども。この『Fed Up』っていうタイトルは、『もうたくさんだ』って言ってるんですけど、なにがたくさんだって言ってるかっていうとですね、糖質なんですよ。
町山智浩 映画『Fed Up』が描くアメリカの飢餓・肥満問題を語る
実はその肥満になっている子どもたちの多くが、田舎に住んでいる貧乏な子たちなんですよ。
町山智浩 映画『Fed Up』が描くアメリカの飢餓・肥満問題を語る
食べる量じゃなかったんですね。太るかどうかっていうのは。で、カロリーだって言われて、カロリーを減らしたりするんですけど、それがそんなに関係なかったんですよ。運動でもなかったんですよ。っていうのは、運動で食べた糖分とかを燃焼しようとするのは、実際は不可能に近いんですよ。
町山智浩 映画『Fed Up』が描くアメリカの飢餓・肥満問題を語る
コーラとか1杯飲んで、中に砂糖が小さじで10杯分以上入っているんですけど。それを燃焼させるには、それこそもう、20分ぐらいランニングしたりしなきゃいけないんで。そんなこと、できないわけですよ。人間って。毎日。コーラ1本飲むたびに20分ランニングとか、できないわけですよ。だから、運動で食べたものを消費するっていうのは不可能なんですね。それで痩せることは実際に不可能なんで、糖質を減らすしかないんですよ。なぜカロリーよりも糖質が問題なのか?っていうと、この映画の中でもはっきりとわかるんですけども。この子たちは加工食品しか食べてないんですよ。
町山智浩 映画『Fed Up』が描くアメリカの飢餓・肥満問題を語る
田舎の方とか、都会でも貧乏な人が住んでいるところにはまず、スーパーマーケットがないんですよね。で、アメリカって日本のような小さいスーパーマーケットっていうのはほとんど絶滅しちゃったんですよ。
アメリカはね、車社会って言われてますけど、貧しい人たちって車を持っていない人が多いんですよ。だから、野菜とか買いにいけないんですよ。
町山智浩 映画『Fed Up』が描くアメリカの飢餓・肥満問題を語る
『Food Desert』っていうんですね。アメリカでは。これ、『食べ物砂漠』っていうことかな?翻訳すると。で、そういう地域っていうのがあってですね、そこにアメリカ中の2350万人が住んでいると言われてるんですよ。
町山智浩 映画『Fed Up』が描くアメリカの飢餓・肥満問題を語る
太っているんですけど、カルシウムとかミネラルとか鉄分とか足りてなくて。血液検査とかをすると完全に栄養失調状態なんです。で、そういう人たち。要するに栄養失調状態にある人たち、子どもも大人も含めてアメリカでは現在5000万人いるんですよ。これ、アメリカの人口っていうのは3億人ですから、6分の1か。アメリカ人の6人に1人は栄養失調で飢餓状態なんですよ。これ聞くと、嫌になっちゃうんですけど。
町山智浩 映画『Fed Up』が描くアメリカの飢餓・肥満問題を語る
GDP一位なんですよ。でも、実際に飢餓状態の人が5000万人いるんですよ。これがね、また酷いんで。アメリカの政府はですね、フードのチケットといってですね、食べ物を買うための補助金を貧しい人たちに与えてるんですね。カードとかいろんな形でですね、その人たちは食費を援助を受けてるんですけども。ところが、スーパーとかにわざわざ行ったり、食料品店に行くとまず野菜がないっていう状態があるんですけども。もしあるところに行っても、彼らは野菜とか果物を買わないんですよ。その補助金をもらっている人たちは。
町山智浩 映画『Fed Up』が描くアメリカの飢餓・肥満問題を語る
補助金はだいたい1人3ドルから4ドルくらい。300円から400円くらいなんですね。それで野菜とかを買おうとすると、高いんですよ。で、アメリカはここの30年ぐらいですね、野菜の値段が40%くらい値上がりしてるんですね。で、じゃあこのお金で子どもたちにたくさんお腹いっぱいなにを食べさせよう?と思うと、安いものを買おうとすると、スパゲッティとかパスタですね。あと、やっぱりパンとかポテトチップスとか。
町山智浩 映画『Fed Up』が描くアメリカの飢餓・肥満問題を語る
これが怖いのは、アメリカはいま、危機的状態にあって。要するに軍隊に入るしかないんですけど。貧しい人たちは。そういうところから脱出したり、学校に行くためにはね。で、軍隊に入ることで初めて大学に行ける場合が多いんですけど。そういう人たちは。軍隊に入ろうとしても、入れないんですよ。
町山智浩 映画『Fed Up』が描くアメリカの飢餓・肥満問題を語る
隊検査で栄養失調で落とされちゃうんですね。現在、入隊希望者の25%が栄養失調で落とされてるんですよ。アメリカでは。栄養失調の状態っていうのは肥満であるとか、糖尿病も入るんですけども。軍隊に入れないんですよ。で、それだけじゃなくて、現在アメリカってオバマさんが医療保険を改革したんで、貧しい人たちの医療保険も国が税金でカバーすることになりましたよね?
町山智浩 映画『Fed Up』が描くアメリカの飢餓・肥満問題を語る
ところが、この糖尿病が異常に多いので。貧しい人たちが。その部分の負担を国がしなきゃならなくなっていて。その額が1000億ドルって言われてるんですよ。
町山智浩 映画『Fed Up』が描くアメリカの飢餓・肥満問題を語る
アメリカとしては肥満と糖尿病を治さないと国が滅ぶんですよ。だから、なんとかしようということで、ミシェル・オバマさん。オバマ大統領の奥さんが、オバマさんが大統領に就任してからずっとですね、『肥満との戦い』っていうのを掲げてるんですね。『Let’s move(行動に移そう)』っていう運動としてですね、ミシェル・オバマさんがやっていてですね。2010年にですね、とりあえず学校給食から体に悪いものを全部取り除こうという法案を出したんですね。
町山智浩 映画『Fed Up』が描くアメリカの飢餓・肥満問題を語る
2010年に法制化した『Healthy Hunger-Free Kids Act』っていうのがありまして。これ、『健康で飢えのない子どもたちのための法』っていう意味なんですけども。ヘルシー法っていう風にいま、略しますけども。このヘルシー法で学校給食から禁じられたものっていうのはなにか?っていうとですね、コーラ、ソーダ、ジュース、フライドポテト、フライドチキン、キャンディー、ゼリー・・・
学校でコーラやフライドポテトとかキャンディー、出してたの?って思うでしょ?出してたんですよ。ずっと、アメリカは。
町山智浩 映画『Fed Up』が描くアメリカの飢餓・肥満問題を語る
アメリカの多くの、貧しい地域の学校、小学校には学校の中にコーラの自動販売機があります。
町山智浩 映画『Fed Up』が描くアメリカの飢餓・肥満問題を語る
コーラとかそういうジャンクフードの会社が、学校に援助するんですよ。資金を。それで給食とかに自分たちの飲み物とか食べ物を導入させたり、自動販売機を置くんですね。で、アメリカは各学校は州とか市がですね、運営してるんですけども。各地方自治体、経営が上手くいってないし、特に貧しい地域は学校のお金がないんですね。だから、コーラ会社とかが来て、『自動販売機を置かせてください。その代わりに跳び箱をあげます、鉄棒を作ってあげます』って言われると、自動販売機を置かせちゃうんですよ。
町山智浩 映画『Fed Up』が描くアメリカの飢餓・肥満問題を語る
アメリカの学校給食の75%にジャンクフード会社が入ってるんですよ。ピザとかが出るんですよ。学校給食で。75%ですよ。だから、冷凍ピザとかが出るんですよ。これはまず、要するに学校給食を作る人たちっていうのを雇えないっていう貧しい状態があるわけですよ。でも、冷凍ピザならすぐ出せるでしょ?で、しかもものすごく安く卸すんですよ。業者は。
町山智浩 映画『Fed Up』が描くアメリカの飢餓・肥満問題を語る
全部自分たちの市場にすれば、巨大なマーケットじゃないですか。だから、75%にジャンクフード会社が入ってるんですよ。冷凍食品会社とか。
町山智浩 映画『Fed Up』が描くアメリカの飢餓・肥満問題を語る
アメリカ栄養士組合というものがあるんですけど。そこは、そのミシェル・オバマさんがやっている給食改革に反対している組織なんですよ!
町山智浩 映画『Fed Up』が描くアメリカの飢餓・肥満問題を語る
今年の5月の終わりにですね、新しいヘルシー法っていうものですね。給食をヘルシーにするための法律っていうものに対して、これを見直そうと。この規制が厳しすぎるから、もっと緩和しようっていう法案が下院の委員会を通っちゃったんですよ。採決されちゃったんですよ。それが。もっと緩くしようと。厳しすぎると。
町山智浩 映画『Fed Up』が描くアメリカの飢餓・肥満問題を語る
栄養士協会の年間の運営資金1000万ドルのうち、半分は冷凍ピザの大手とかですね、ジャンクフード企業からの寄付で成り立ってるんです
町山智浩 映画『Fed Up』が描くアメリカの飢餓・肥満問題を語る
栄養士協会、いままでずーっとアメリカの学校給食をやっていたにも関わらず、ほとんどジャンクフード。75%ジャンクフードだったのは彼らがジャンクフード会社からお金もらって食っているからなんですよ。
町山智浩 映画『Fed Up』が描くアメリカの飢餓・肥満問題を語る
ミシェル・オバマさんがやっている『Let’s move』っていう肥満対策運動自体に資金を出しているのもジャンクフード会社なんです。
町山智浩 映画『Fed Up』が描くアメリカの飢餓・肥満問題を語る
ミシェル・オバマさんがこの運動をやるよって言った時に、彼らは潰すんじゃなくて、逆に内部に入り込んでお金をつぎ込むことによって、ジャンクフード排除をできないようにしたんですよ。
町山智浩 映画『Fed Up』が描くアメリカの飢餓・肥満問題を語る
だから、75%のジャンクフードが入っているわけですよ。給食に。そのままの形で、彼らがヘルシーな給食を提供するっていう形にしかできないようにしたんですよ。だから、たとえばこうなるんですよ。コーラを提供していた会社があって、コーラがダメだって禁止された。じゃあウチは100%果汁のオレンジジュースも出しているから、そっちを導入しますっていうやり方をするんですよ。
町山智浩 映画『Fed Up』が描くアメリカの飢餓・肥満問題を語る
結局その企業は入ったままなんですよ。給食に。でも本当は100%オレンジジュースっていうのはいちばん危険なものなんですよ。糖分の量がものすごく多い上に・・・
町山智浩 映画『Fed Up』が描くアメリカの飢餓・肥満問題を語る
繊維を取り除いたジュースは糖分だけが入るんで、体の中でいきなり、大量に吸収されてしまって。消化できないからほとんどが脂肪になっちゃうんですよ。
町山智浩 映画『Fed Up』が描くアメリカの飢餓・肥満問題を語る
共和党の議員が支配してるんですけども。共和党の議員っていうのはほとんどが南部から来てるんですよ。南部っていうのはいちばん貧しくて、肥満が多い地帯なんですよ。
町山智浩 映画『Fed Up』が描くアメリカの飢餓・肥満問題を語る
だから彼らは自分たちの出身している州で肥満が多いってこと自体、解決しようとしないで。要するにフード産業とかの言いなりになってるんですね。で、もう一つ彼らが守っているのはフード産業だけじゃなくて、穀物産業とかなんですよ。実際は。で、こういった穀物が安くなっているっていう現状っていうのはなぜ存在するかというと、大量の補助金がアメリカ政府から出ているからなんですね。穀物に対して。
町山智浩 映画『Fed Up』が描くアメリカの飢餓・肥満問題を語る
アメリカの農業補助金ってほとんどが穀物に費やされるんですよ。84%ですよ。
町山智浩 映画『Fed Up』が描くアメリカの飢餓・肥満問題を語る
最近のアメリカ議会で『ピザは野菜である』って採決されたんですね。
町山智浩 映画『Fed Up』が描くアメリカの飢餓・肥満問題を語る
要するに、ピザが排除されちゃうから、『ピザにはトマトソースが入っているから野菜なんだ』っていうことでもって、無理やりこの法律から排除されないようにしたんですよ。下院議会が採決したんです。ピザが野菜だっていう。
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実際の音源
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町山智浩@TomoMachi
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ネットでの反応
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利益の追求の果てに犠牲になるのは子供たちや、力のない者…という構図にはもう飽き飽きなんだけど…。
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脳が誘惑されている! ジャンクフードをやめられないわけが研究で判明 : ライフハッカー[日本版]
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ジャンクフード「たばこより脅威」 国連が警告、規制訴え – MSN産経ニュース
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