木嶋被告が「ニコニコ」で活動?被告人ってどんだけ自由なの?

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2009年に交際していた男性3人を殺害したとして、現在死刑判決を受けている木嶋佳苗被告。同被告が今月9日、「ニコニコチャンネル」にて「木嶋佳苗チャンネル」を開設したことが話題を集めています。今後は同ページで有料小説をアップするという被告。ところで「被告人」とは具体的にどのような立場なのでしょうか?

「被告人」がニコニコチャンネルってそんなのアリなの?

2009年に首都圏で起きた男性3人の連続不審死事件で、殺人などの罪に問われた木嶋佳苗被告。交際男性が相次いで自殺など不審死を遂げていたこの事件の犯人として木嶋被告は逮捕。その後今年3月に行われた高裁でも弁護側の訴えては退けられ、死刑判決を受けている。

2009年に男性3人を殺害したとして、2012年4月にさいたま地裁から死刑判決を受けた木嶋佳苗被告
木嶋佳苗被告がブログ「拘置所日記」を開設していた! | スクープ速報 – 週刊文春WEB

このほど木嶋被告は、「ニコニコチャンネル」に「木嶋佳苗チャンネル」を開設
木嶋佳苗被告がニコニコチャンネル開設 自伝的小説を連載 「愛した男性を嫌いになったことがない」 – ITmedia ニュース

運営するドワンゴコンテンツによると、刑事被告人によるサービス利用は異例だという
木嶋佳苗被告が「ニコニコチャンネル」開始 刑事被告人のサービス利用は異例 : 社会 : スポーツ報知

今後「ニコニコチャンネル」で自伝的小説を発表すると言う木嶋被告

「ニコニコチャンネル」運営するドワンゴコンテンツによると、今回の木嶋被告の件について、支援者からの利用申請があったため、同社が内容を審査した結果、利用を認めたと説明している。

6月9日から開始された、同被告の紹介ページでは「拘置所でつづる自伝的小説です」説明
木嶋佳苗被告が「ニコニコチャンネル」開始 刑事被告人のサービス利用は異例 : 社会 : スポーツ報知

タイトルは「礼賛」。「北国で生まれ育った幼少期から、単身上京して『普通ではない世界』へと足を踏み入れていく少女の成長と心の内面を赤裸々に描きます」という
木嶋佳苗被告がニコニコチャンネル開設 自伝的小説を連載 「愛した男性を嫌いになったことがない」 – ITmedia ニュース

今後は不定期で小説をアップする予定で、月額864円の有料となるという
木嶋佳苗被告が「ニコニコチャンネル」開始 刑事被告人のサービス利用は異例 : 社会 : スポーツ報知

死刑判決を受けながらも精力的に活動を続けていた木嶋被告

拘置所日記の開設については「本音のさらにその奥にある本心のようなものを伝えたい」としていた木嶋被告。「年上のおじさま」という人物がブログを管理していたが、被告から「商業ベースで個人契約にて行う」と申し出があり、「おじさま」らスタッフと業者は「ここからの支援は必要ないであろう」と判断。以来ブログの更新はストップしていた。

今年1月、 『拘置所日記』――文字どおり塀の中からブログを発信し、話題になった木嶋佳苗被告
毒婦 木嶋佳苗被告が獄中で綴る「死刑判決なのにお気楽ブログ」 – ライブドアニュース

さらに2014年中に自叙伝を出版予定であることを自身のブログで明かしていた
木嶋佳苗被告、自叙伝を「出版予定」とブログに記す : J-CASTニュース

その後「木嶋佳苗の拘置所日記」は、有料のメールマガジンに移行されると、4月2日(2014年)に発表され、更新を終えている
木嶋佳苗ブログ、有料メルマガへ移行!「年上のおじさまが管理。はっきり言ってお金かかってます」 : J-CASTテレビウォッチ

そもそも「被告人」は一般の人とほぼ同じ立場?

「被告」と「被告人」は、厳密に言うと全く違います。「被告」とは、あくまで民事裁判で訴えられた人のことを言い、一方「被告人」とは刑事三番で罪を犯したとして、起訴された人のことを言います。しかし多くのマスコミは「被告人」と呼ばず、民事刑事問わず「被告」と呼んでいるケースが多いです。

「被告人」とは刑事裁判で罪を犯したとして起訴されている人物のことをいいます
被告と被告人の違いは?

また、被告人については「刑事裁判で有罪が確定するまでは『罪を犯していない人』として扱わなければならない」とする原則があります
心にとめておきたい4つのこと | 裁判員制度 | 日本弁護士連合会

「無罪の推定」といい、これは、日本だけでなく、世界の刑事裁判制度に共通する原理です。

被告人は勾留されている場合があるが、必ずしも身体的拘束を受けているとは限らず、勾留されていない場合もある。罪証隠滅や逃亡のおそれのある者については、裁判官の命令又は裁判所の決定により、勾留がなされる。外部の者との信書の発受や面会に制限が加えられることもある。また、他罪で逮捕・勾留されている場合の接見指定など捜査のために制限される場合もある。

このように原則としては自由な存在であるが、刑事裁判の当事者であることから、一定の範囲で権利・自由に制限が課せられることがある
被告人 – Wikipedia

事件によっては逃亡や証拠隠滅の恐れがある際には勾留が認められ、さらに外部と共謀する恐れがあると判断された場合、面会や手紙のやりとりなども禁止される場合があります。

ちなみに逮捕拘留されたまま起訴された被告人の身柄拘束を解放する手段を「保釈」といいます
保釈 〜身柄拘束からの解放〜

拘置所に勾留された被告人の生活は?

一定の制限を受ける点を除けば、被告人は有罪判決が確定するまでは一般市民と何ら変わることのない存在です
すぐに役立つ刑事告訴と賠償請求の法律しくみと手続き – Google ブックス

ちなみに拘置所とは、主として刑事被告や死刑確定者を収容する法務省の施設等機関であるのに対し、留置場とは警察署の中に設置され、警察に逮捕された被疑者や、勾留状によって勾留された被疑者や被告人を拘禁する施設を言います。ちなみに死刑確定者を収監する拘置所内に、死刑を執行する刑場も設置されています。

刑が未決の場合、購入は週に2回、色々なものが買え、お菓子やパン、ジュース、コーヒー、缶詰、日用品、電気カミソリ、書籍などほとんど不自由無く購入できるという
拘置所へ|はじめての刑務所体験記

週に6千円分食料品が購入出来るほか、東京拘置所では1食500円で弁当も購入できるという。

また、東京拘置所は、午睡(昼寝)の時間まで設けられており、昼食後、二十分程横になって午睡も出来るという
(410)拘置所 【一日の流れ・独居房】|国際指名手配、殺人未遂、大麻50キロ押収、 刑務所、組立ち上げ

弁護士など面会者と合う以外、基本拘置所内の部屋で一日過ごすという。

木嶋佳苗被告
「自由に書き物をしていいんだ、本や新聞が室内にあるのに。好きな時に着替えていいんだ、何度でも。私はこういうことに、いちいち感動しておりました」
留置場と拘置所 : 木嶋佳苗の拘置所日記

「被告人」による書籍の出版も自由?

「2014年光文社より自叙伝(私小説)出版予定」という木嶋被告の自叙伝
木嶋佳苗被告、自叙伝を「出版予定」とブログに記す – ライブドアニュース

木嶋被告が書いた自叙伝の一部は以前、「女性自身」(2013年10月29日号)に掲載されたことがありました。

阿部被告は出版社に向けて手紙を発送。その手紙には「私は今毎日、日記を書いています。事件の事→留置所の事→高ち所(拘置所)の事→刑務所と阿部ジョーシさんみたいに本にしてはどうでしょうか?」と書かれていたという。阿部ジョーシとは、『塀の中の懲りない面々』で知られる作家の安部譲二氏のこと。彼は獄中の体験を本にしたいと考えているようだ。

また、農薬混入事件の阿部被告も、獄中の体験を本にしたいと出版社に提案しているという
農薬混入・阿部被告 獄中の体験を本にしたいと出版社に提案 – エキサイトニュース

他にもイギリス人英会話講師の殺害事件で起訴された市橋達也被告も、2年7か月にもわたった逃亡生活を手記で告白している
市橋被告「毒ヘビも食べていた」 手記でロビンソン的逃亡生活を告白 : J-CASTニュース

この手記による印税は、全て被害者の遺族に渡すとしていたが、遺族側は受け取りを拒否。同手記には仮に受け取りを拒否された場合、印税を公益に代えるように記載されていた。

木嶋被告も獄中からブログ更新&出版を続けるのか?

死刑囚のブログと言えば、07年11月に死刑が確定した小田島鉄男死刑囚が書いている「死刑囚獄中ブログ」
asahi.com(朝日新聞社):「死刑囚獄中ブログ」アクセス急増 コメント欄で議論も – 裁判員制度

ノンフィクション作家の斎藤充功さんに手紙で送られてくるものを、斎藤さんが本人の了承を得た上でブログにアップしているという。

東京拘置所で執行を待つ死刑囚が、日々のできごとやその日に考えたことをつづった「日記」ブログのアクセス数が急増したという
asahi.com(朝日新聞社):「死刑囚獄中ブログ」アクセス急増 コメント欄で議論も – 裁判員制度

獄中で10を超える作品を出版した永山則夫死刑囚。1983年には小説『木橋』で第19回新日本文学賞を受賞している。

さらに獄中で、読み書きも困難な状態から独学で執筆活動を開始し、1983年には小説『木橋』で第19回新日本文学賞を受賞した永山則夫死刑囚もいた
永山則夫 – Wikipedia

永山死刑囚は1997年8月1日、東京拘置所において死刑が執行された。48歳だった。

死刑確定囚を含め、受刑者が獄中で制作した文芸作品、サークル活動等で制作した作品を、社会に発表するための投稿や出品活動は法律で認められているのです
受刑者の処遇に関する質問主意書

「表現の自由」により、どんな罪を犯した人でも、小説や出版物を読んだり、表現を本などの形にして発表することは保証されています。一方で、出展作品の著作権と所有権を放棄させられたり、制作者の手元には戻ってこないなどの苦情もあるという。

https://matome.naver.jp/odai/2140239387592052901
2014年06月10日