理研は小保方さんの捏造を認定…反論する小保方さん…STAP細胞に関する理研の記者会見まとめ

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【速報】様々な疑惑が飛び交うSTAP細胞、前回の記者会見を経て、2014年4月1日に調査委員会による最終報告、この最終報告を受けた理研の記者会見が行われました。調査委員会は小保方晴子氏の捏造を認定し、理研は近く処分を下す予定です。これに対し小保方晴子氏は不服申立てを行う予定です。

2014年4月1日 調査委員会による最終報告で捏造を認定

新型万能細胞「STAP細胞」を作製したとする論文に疑義が出ている問題で、理化学研究所の調査委員会は1日午前、最終報告書を発表した。2カ所に研究不正があったと認定した。
STAP細胞論文、2カ所に不正 理研が認定  :日本経済新聞

理化学研究所の小保方晴子・研究ユニットリーダーらが発表した新型万能細胞「STAP細胞」の論文を巡る疑惑を検証していた理研の調査委員会が、論文に意図的な不正があると認める最終報告書を取りまとめたことが31日、分かった。
STAP論文の不正を認定 理研調査委、きょう最終報告 (産経新聞) – Yahoo!ニュース

研究を主導した小保方晴子・研究ユニットリーダーについて「捏造(ねつぞう)にあたる研究不正行為を行ったと判断した」と発表した。
STAP細胞 – Yahoo!ニュース

小保方氏は「驚きと憤りの気持ちでいっぱいです。研究不正と認定された2点については、理化学研究所の規定で研究不正の対象外となる悪意のない間違いであるにもかかわらず、改ざん、捏造(ねつぞう)と決めつけられたことはとても承服できません。近日中に理研に不服申し立てをします。このままでは、あたかもSTAP細胞の発見自体が捏造であると誤解されかねず、到底容認できません」とコメントした。
<STAP細胞>小保方さん「不正認定2点、承服できない」 (毎日新聞) – Yahoo!ニュース

前回の中間報告で結論が得られたとされる項目

Obokata et al., Nature 505:641-647(2014) Article(以下「論文1」と記載):Figure 1f のd2およびd3の矢印で示された色付きの細胞部分が不自然に見える点については、この図を作製する過程には改ざんの範疇にある不正行為はなかったと判断される。
研究論文(STAP細胞)の疑義に関する調査中間報告について | 理化学研究所

画像圧縮の際に歪みが生まれたとの説明です

Obokata et al., Nature 505:676-680(2014) Letter:Figure 1b(右端パネル)の胎盤の蛍光画像とFig. 2g(下パネル)の胎盤の蛍光画像が極めて類似している点については、Fig. 2g 下の画像は、本文及び図の説明の中に言及されておらず、規程に定める「改ざん」の範疇にあるが、論文作成過程で図を削除し忘れたという説明に矛盾等は認められず、悪意があったと認定することはできないことから、研究不正であるとは認められない。
研究論文(STAP細胞)の疑義に関する調査中間報告について | 理化学研究所

削除するのを忘れていたとの説明です

最終報告で結論が得られた項目

Figure 1iの電気泳動像においてレーン3が挿入されているように見える点。
研究論文の疑義に関する調査報告書(全文)

画像が鮮明ではなかったので図の挿入を行った結果との主張です
小保方さんが図を綺麗に見せたいために改変をおこなったとし、これは科学的な考察と手順を踏まないものであったため調査委員会は不正と判断しました。

綺麗に見せる図を作成したいという目的性をもって行われたデータの加工であり、その手法が科学的な考察と手順を踏まないものであることは明白である。よって、改ざんに当たる研究不正と判断した。
研究論文の疑義に関する調査報告書(全文)

分子量に合わせて図を修正するものではなく、綺麗に見せたいという目的で図を修正するのが不正だと判断されました。

Figure 1iから得られる結果は、元データをそのまま掲載した場合に得られる結果と何も変わりません。そもそも、改ざんをするメリットは何もなく、改ざんの意図を持って、Figure 1iを作成する必要は全くありませんでした。見やすい写真を示したいという考えからFigure 1iを掲載したにすぎません。
小保方さん「最終報告、承服できない」 不服申し立てへ:朝日新聞デジタル

代理人弁護士を通じて発表した小保方さんのコメントです。

共著者の責任は?

笹井、若山、丹羽の三氏は、この実験及び画像データ作成に関与していない。三氏は、小保方氏から、論文投稿前に、すでに改ざんされた画像をその事実を知らされないまま示されており、この改ざんは容易に見抜くことができるものではなかったことなどから、三氏については、研究不正はなかったと判断される。
研究論文の疑義に関する調査報告書(全文)

改ざん済みのデータを見せられた場合はよっぽどの注意を払わないと分からないというという判断です。

論文1の Methods の核型解析(Karyotype analysis)に関する記載部分が 下記の論文からの盗用であるとの疑いが判明し、この点についても調査した。Guo J et al.; Multicolor Karyotype Analyses of Mouse Embryonic Stem Cells. In Vitro Cell Dev Biol Anim 41(8-9), 278-283 (2005)
研究論文の疑義に関する調査報告書(全文)

他の論文から実験方法を盗用したとの疑いがある部分です。

核型解析は、多く の研究室で一般的に行われており、その手法も多くの研究室で共通である。
研究論文の疑義に関する調査報告書(全文)

実際の実験は若山研究室で行ったそうです。

したがって、研究不正であったと判断することはできない。
研究論文の疑義に関する調査報告書(全文)

盗用自体はあってはならないですが、解析自体は一般的なので研究不正ではないとの見解です。

Nature論文と博士論文の画像が酷似していた点に関して
小保方さんはデータを取り違えて入れてしまったが、調査委員会はデータの捏造を認めました

図の作成にあたり、この実験条件の違いを小保方氏が認識していなかったと は考えがたい。また、論文1の画像には、学位論文と似た配置の図から切り取っ た跡が見えることから、この明らかな実験条件の違いを認識せずに切り貼り操作 を経て論文1の図を作成したとの小保方氏の説明に納得することは困難である。
研究論文の疑義に関する調査報告書(全文)

同じ画像なのに片方の論文では「STAP細胞から作られた」もう片方の論文では「骨髄sphereから作られた」というのはおかしいです

上記各画像データの由来の追跡を試みたが、3年間 の実験ノートとして2冊しか存在しておらず、その詳細とは言いがたい記述や実 験条件とリンクし難い電子記録等からこれらの画像データの由来を科学的に追跡 することは不可能であった。
研究論文の疑義に関する調査報告書(全文)

実験ノートに関しては日付が正確に入っておらず、詳細ではないようです。また、石井委員長によると、3年間で実験ノート2冊というのは少なすぎるそうです。共同研究者はこれをチェックをする義務があったとも石井委員長は考えているようです。

このデータは STAP 細胞の多能性を示す極めて重要なデータであり、小保方氏に よってなされた行為はデータの信頼性を根本から壊すものであり、その危険性を 認識しながらなされたものであると言わざるを得ない。
研究論文の疑義に関する調査報告書(全文)

よって、捏造に当たる研究不正と判断した。
研究論文の疑義に関する調査報告書(全文)

これに関しても小保方さんは反論

私は、論文1に掲載した画像が、酸処理による実験で得られた真正な画像であると認識して掲載したもので、単純なミスであり、不正の目的も悪意もありませんでした。真正な画像データが存在していることは中間報告書でも認められています。したがって、画像データをねつ造する必要はありません。
小保方さん「最終報告、承服できない」 不服申し立てへ:朝日新聞デジタル

代理人弁護士を通じて発表した小保方さんのコメントです。

調査委員会の考える共著者笹井氏の責任とは?

笹井氏についても、本論文執筆を実質的に指導する立場にあり、データの正当性と正確性を自ら確認することが求められていた。もとより、両氏は、捏造に 関与したものではなく、データの正当性等について注意を払わなかったという過 失によりこのような捏造を許すこととなったものであるが、置かれた立場からし ても、研究不正という事態を招いたことの責任は重大であると考える。
研究論文の疑義に関する調査報告書(全文)

2つの点について小保方氏に研究不正行為があったという結論に達した。研究不正は科学の本質を歪め、研究という行為そのものだけでなく研究者コミュニテ ィーに対する一般社会からの信頼を大きく損ねるものである。
研究論文の疑義に関する調査報告書(全文)

これら2点に関する小保方さんの反論

そもそも、この画像取り違えについては、外部から一切指摘のない時点で、私が自ら点検する中でミスを発見し、ネイチャーと調査委員会に報告したものです。なお、上記2点を含め、論文中の不適切な記載と画像については、すでにすべて訂正を行い、平成26年3月9日、執筆者全員から、ネイチャーに対して訂正論文を提出しています。
小保方さん「最終報告、承服できない」 不服申し立てへ:朝日新聞デジタル

代理人の弁護士を通じて発表した小保方さんのコメントです。

同日午後理研が対応を発表

理化学研究所は1日、小保方晴子研究ユニットリーダーらが発表した新型万能細胞「STAP(スタップ)細胞」の論文に疑問が相次いだ問題に関する最終報告を発表した。論文に使った画像の使い回しや切り貼りで小保方氏に不正行為があったと認定。小保方氏は理研が論文に不正行為があったと認めたことに対し、「承服できない」とのコメントを発表した。
理研、小保方氏ら処分へ STAP論文に不正  :日本経済新聞

理研の研究者が発表した論文が科学社会の信頼性を損なう事態を引き起こしたことに対し、改めてお詫びを申し上げます。
野依良治理事長声明文

理化学研究所の野依良治理事長は1日、東京都内で開いた会見で、ネイチャー誌論文の研究不正を認定したことについて、懲戒委員会で議論した上で、関係者の処分を行う考えを明らかにした。
懲戒委員会設け関係者処分の意向 野依・理研理事長:朝日新聞デジタル

今般、2件の研究不正があったことの報告を受け、研究所が定める不服申し立ての機会を付与するなど必要な手続きを十分に行った上で、研究不正を行った者について厳正な処分を行うとともに、論文の取下げの勧告を含めた措置を講じていく。
研究論文(STAP細胞)の疑義に関する調査報告について(その2) | 理化学研究所

小保方さんは不服申立てを行うようです。ただ、理研の規定上、特段の事情がない限り調査委員会が不服申立ての審査を行う事になっており、調査委員会の最終報告に関しての不服申立てを調査委員会が受けるのは不公平ではとの意見も出ています。

さらに、研究不正が認められなかった者についても、過失とは言え、研究不正という結果を招いたことは、その立場や経験などからしても、責任が重いとの調査結果を受け、関係者の管理責任も含め研究所の規程に基づき厳正に対処する。
研究論文(STAP細胞)の疑義に関する調査報告について(その2) | 理化学研究所

理研の今後の対応は?

今般のSTAP細胞の研究論文により生じた問題を踏まえ、研究活動に対する信頼回復と事態の再発防止の責任を全うするため、緊急に対策を講じる。
研究論文(STAP細胞)の疑義に関する調査報告について(その2) | 理化学研究所

今後の再発防止策を講じるよりも、今回何が起こったのか詳らかにするほうが先であるという意見もあります。

このため、外部有識者による「研究不正再発防止のための改革委員会」(仮称)を設置し、今般の事案の再発防止の観点から不正抑止の研究環境整備等の対策に係る検討を行い、早急にとりまとめる。
研究論文(STAP細胞)の疑義に関する調査報告について(その2) | 理化学研究所

これらの対策に強いガバナンスにより着実かつ速やかに取り組んでいくため、理事長を本部長とする「改革推進本部」(仮称)を設置する。
研究論文(STAP細胞)の疑義に関する調査報告について(その2) | 理化学研究所

ノーベル賞学者野依理事長が本部長となりガバナンスの強化をはかる模様です。

(再発防止対策の論点)
(1)研究不正や過失の防止に係る規程や運用の改善
(2)若手研究者が最大限に能力を発揮できる体制の整備
(3)研究成果発表時の承認手続きの明確化とガイドラインの策定、運用
(4)複数の研究者、研究グループ等にまたがる研究成果の責任体制の明確化
(5)報道発表における適切な広報体制の構築
研究論文(STAP細胞)の疑義に関する調査報告について(その2) | 理化学研究所

特に(4)に関しては今回の問題とも関連性が高いので理研も重要視しています。

STAP細胞は存在するのか?

弱酸性の溶液で細胞がリセットされる現象
リセットされることでどのような細胞にも変化できる夢の細胞。Stimulus-Triggered Acquisition of Pluripotency cellsの略です。

STAP現象の科学的検証については、理事長主導の下、当センターの研究者を中心に理研自身が厳密な検証実験を行ってその結果を公表し、第三者が検証するための基盤を提供して参ります。この作業には 1 年程度の時間を要する見込みですが、中間結果の公表も予定しております。当センターとして、これに着実に取り組んでいく所存です。
竹市雅俊センター長声明文

STAP現象の検証は、科学コミュニティーの中で科学的議論によって探求される命題であり、第三者による検証により証明されていくものである。科学コミュニティーによる積極的な検証を得るためにも、まず、理研本部の指導の下で、総括責任者として相澤慎一特別顧問が中心となり、その厳密な検証を行うとともに、積極的に情報発信することを通じて外部の研究者による検証実験に協力していく。
研究論文(STAP細胞)の疑義に関する調査報告について(その2) | 理化学研究所

理研が主導して厳密な検証を行い、成果を発信して行く予定です。

関連リンク

https://matome.naver.jp/odai/2139630978791692201
2014年04月01日