命の選別?議論される着床前スクリーニングの是非

Nanjing
生命倫理に関する問題はグレーな状態で棚上げされて来たが、「命の選別」につながる着床前スクリーニングには肯定的な意見も多く、本格的な議論が始まろうとしています。

日本産科婦人科学会(日産婦)は22日、体外受精卵を子宮へ戻す前に広く染色体異常を調べる新たな検査「着床前スクリーニング」について、学会としての方針を検討する小委員会を設置すると発表した。日産婦は「最近、すべての染色体を網羅的に調べる新技術が登場し、会員からも検討を求める声がある。多様な考え方があるので、容認を前提とせずに議論したい」と説明した

1.着床前スクリーニングって?

体外受精による受精卵から一部の細胞を採取し、染色体や遺伝子に異常がないかを調べる検査の一つ。最近、受精卵のすべての染色体を網羅的に調べられる「アレイCGH」と呼ばれる技術が登場している。
<着床前スクリーニング>産科婦人科学会 導入是非から議論 (毎日新聞) – Yahoo!ニュース

国内の一部医療機関では、異常のない受精卵を子宮に戻すことで妊娠率を上げたり流産率を下げたりできると主張してアレイCGHによる着床前スクリーニングを導入している。ただ、海外では相反する報告もあり、有効性に関する結論が出ていない。
<着床前スクリーニング>産科婦人科学会 導入是非から議論 (毎日新聞) – Yahoo!ニュース

2.着床前診断とは違うの?

着床前診断は、受精卵が子宮に着床して妊娠が成立する前に、受精卵の染色体や遺伝子に異常がないかどうかを調べる検査で、受精卵診断とも呼ばれます。
着床前診断とは? 産婦人科デビュー.COM/妊娠・出産・不妊症・胎教など

目的によって名称が異なりますが、受精卵の染色体を調べるという意味では同じ技術を指しています。
着床診断/男女産み分けプログラム | J baby – 卵子提供・代理出産をアメリカ・ロサンゼルスで安心サポート

ようするに・・・

着床前遺伝子診断
・遺伝病が自身あるいは、家系にある人が遺伝子異常の有無を診断する。
・「重篤疾患回避」が目的。

着床前遺伝子スクリーニング
・ダウン症を調べたり、流産を減らし着床率をあげる目的で染色体の数的異常に対するスクリーニング検査を行う。

3.法律的にOK?

出生前診断を直接の規制対象とする法規は存在せず、これまで学会等のガイドラインや会告による規制がなされてきた。
http://dl.ndl.go.jp/view/download/digidepo_8173847_po_0779.pdf?contentNo=1

着床前診断についても、直接的な法的規制は存在しない。
http://dl.ndl.go.jp/view/download/digidepo_8173847_po_0779.pdf?contentNo=1

あくまで、日本産科婦人科学会が指針として「重篤な遺伝病が疑われる」など限定されたケースとしているだけで、法律的にはOKです。

4.倫理的にはOK?

受精卵であれ、胎児であれ、生まれようとする命にどのような異常があれば排除してよしとするのかは、共通する難題だ。
着床前診断、ベルギーの第一人者に問う – Global Press – 朝日新聞社(WEBRONZA)

本来の目的であるか否かに関わらず、障害をもつ可能性のある子どもの出産を制限する出世前診断技術は、健康な子どもが欲しいという願望を助長し、健康な子どもだけしか産まないという、優生思想につながる危険性を孕んでいる。
遺伝子検査・スクリーニングについて

5.反対の声

日本ダウン症協会は、「出生前診断がマススクリーニング(注:集団対象の検査)として一般化することや、安易に行われることに断固反対」の立場
出生前診断と宗教 | 宗教情報センター

全国精神障害者家族会連合会「出生前診断は、障害をもつものの生命の尊厳を守るためのものでなければなりません。・・・出生前診断の普及により胎児の選別につながり、優生保護法の復活にもつながりかねない。」
着床前診断に対する抗議声明 | 障害者問題を考える兵庫県連絡会議 ~障問連~

https://matome.naver.jp/odai/2139317064466782101
2014年02月24日