ビジネス導入IT事例【モバイル/iPad】 なぜFaceTimeを活用する?

IT事例
電話での商談、商品の写真をメールで送って共有・・・、するだけでは、伝えきれないことが沢山あります。でもiPadさえあれば、数百キロ離れた2つの場所の距離をググッと近づけることができます。簡単・手軽に導入できる、iPad、フェイスタイムによるビデオ通話(ウェブ会議)システムの活用事例です。

FaceTimeとは?

iPad、iPhoneには、FaceTime というアプリがあります。
フェイスタイムでは、接続されている相手の顔やカメラに映る映像を見ながら無料で通話することができます。一昔前でしたら、「テレビ電話が無料で使える」とは夢にも思えませんでしたが。。素晴らしい時代になりました。
ただ素晴らしい機能の割には、友人や家族と話をする時などプライベートでは、(照れくさいこともあってか)あまり使う人は少ないと思います。
でもこのFaceTime、ビジネスの世界においては、様々なシーンでとっても活躍しています。

導入事例

こちらでは、岩手県大船渡市の鮮魚店と東京都飲食業生活衛生同業組合の店舗による、iPadを活用した事例をご紹介します。

キーワード

iPad、FaceTime、ビデオ通話、ウェブ会議、テレビ電話、遠隔地、コミュニケーション、交流、直接販売、Googleドライブ、スプレッドシート

システム導入の目的

◎震災の影響によって売り上げが減少していた大船渡・鮮魚店「鮮魚 シタボ」における、顧客の拡大、売上upを図ります。
◎iPad FaceTime(ビデオ通話)を活用して、東京の組合加盟の飲食店と直接、鮮魚を映像で紹介しながら商談・販売します。
◎東京の飲食店では従来よりも安く購入でき、また獲れた魚を翌日に入手できます。(鮮魚に関する現地からの生情報も!)

システム導入の背景

◎震災後の復興によって漁が再開できるようになったが、震災前と比べて出荷が減少していることに悩んでいる・・、という現地の状況を大船渡の友人から聞きつけた東京都飲食業生活衛生同業組合の原田理事は、何か手助けできることがないかと検討した結果、iPadを活用した受発注方法を思いつきます。
◎数店舗の協力だけでは鮮魚店の売り上げを向上させることは難しいが、組合加盟の店舗を取りまとめて、取引の対象店舗数を増やすことができれば貢献できるのではないかと考えて、導入に至ったようです。

商品提供業者(鮮魚店)のメリット・デメリット

○メリット
1.出荷先の拡大。(東日本大震災以降、漁は再開できたが出荷先は減少していた。)
2.組合に所属している店舗との取引のため、万一トラブルがあっても組合に相談できるので、安心して商売できる。
3.珍しい魚の売り込みもできる。(地元ではあまり見向きされなくとも、東京では貴重な魚となることも!)
4.映像で双方の顔を見ながら交渉することで、お客様と信頼関係を築きやすくなる。
5.映像によって、言葉や画像だけでは伝えきれない商品の品質や状態などを伝えることができる。(のではないかと。。)
6.提供価格を卸業者への販売価格よりも高めに設定できる。(のではないかと。。)
▲デメリット
1.各店舗(お客様)毎に仕入交渉の時間を確保する必要があり、販売効率が低下している可能性がある。

お客様(飲食店)のメリット・デメリット

○メリット
1.獲れた鮮魚を翌日に入手可能となり、魚の提供日数(期間)が拡大。(日持ちするようになる。) ※従来の仕入れルートでは、水揚げからお店に届くまで3日かかっていた。
2.卸業者や仲買人を通さなくなるため、仕入コストを抑えることもできる。
3.食材提供者(鮮魚店)の顔を見て交渉できるため、安心して仕入れることができる。
4.購入したい魚の状態を、映像で直接見て確かめることができる。
5.築地へ仕入に行く回数を減らせるため、往復時間と交通費を半減に。
6.魚1匹は必要ない場合には、さしみの状態で配送してもらえるなど、きめ細かなサービスも受けることができる。
▲デメリット
1.初期コスト(iPad購入)月額コスト(通信費)が発生。 (但し「メリット5」と相殺も可能。、Googleドライブ利用料(無料でも利用可。)
2.交渉時間の調整が必要。(Googleドライブでビデオ通話による仕入交渉の時間を予約。)

システム導入時のポイント

◎販売業者とお客様がiPadさえ持っていれば導入できる、初期コストを抑えたシステムです。
◎日頃PCをあまり使わずコンピュータに不慣れな人でも、iPadはタッチパネルで簡単に使うことができます。また標準アプリとしてiPadに最初から搭載されているFacetimeは、電話番号(セルラータイプの場合)やアップルID、登録済のメールアドレスがあればすぐにビデオ通話が可能ですので、導入時のハードルも低いですね。
◎FaceTimeでは同時に1人としか話しができないため、交渉時間を調整する必要があります。(複数の人と同時にコミュニケーションするなら、Google+(プラス)ハングアウトの方が良いかも。)http://www.google.com/intl/ja/+/learnmore/hangouts/
◎インターネット上で共有可能なGoogleドライブのスプレッドシート(マイクロソフトのエクセルのような表計算ソフト)を活用し、飲食店側で交渉日程を予約していただくことで、スムーズな運用も可能です。(指定したGmailアカウント(メールアドレス)を持った関係者のみに共有者を制限できます。)

システムの応用

◎このFaceTimeによる直接販売は、鮮魚に限らず、遠隔地で採れる野菜や山菜、銘柄肉、ブランド食材など、あらゆる食材でも同様に運用が可能です。
◎取引店舗数がさらに増えてきたとき、交渉時間に制限があることは飲食店側に不満を持たれる可能性があります。鮮魚店側でFaceTimeで対応可能な方が複数人いる場合には、iPadも複数導入して好きな時に連絡してもらえる体制を整えられると、より使い勝手がよくなりますね。
◎1対1のビデオ通話だけでなく、複数の飲食店と接続して、珍しい魚、価値のある魚を同時に紹介したり、セリを行うことも可能です。(但しFaceTimeではできないため、他のアプリをインストールしたり、PCを使用したりするため、導入のハードルが上がります。)
◎FaceTimeのように無料で使えるビデオ通話アプリといえば、「Skype」や「Line」、Google+(プラス)の「ハングアウト」があります。iPad、Mac以外の端末(PCやAndroidタブレットなど)とビデオ通話したい場合には、これらのアプリもお試し下さい。
http://www.skype.com/ja/
http://line.me/ja/
◎またFaceTimeでは1対1でしかビデオ通話ができませんが、複数の人と同時にビデオ通話したい場合には、最大10人まで同時にビデオ通話が可能な「ハングアウト」がお奨めです。http://www.google.com/intl/ja/+/learnmore/hangouts/
◎紹介されている店舗「大鵬」さんでは、iPadを仕入のためだけに使うのではなく、お客様テーブルに設置し、オーダーシステムとしても活用されています。
http://news.mynavi.jp/series/iphoneipadkatsuyo/087/
http://star-system.jp/orderbook/jirei2.html

その他のFaceTime事例まとめ

iPhoneで写真や動画を撮影してメールで送り、その画像を見ながら電話で情報を伝え、現場を監督する次長や部長に指示を受けると行った使い方はもちろんですが、FaceTimeを使って所長と現場がリアルタイムに状況を見ながら判断を行うといった使い方も始まっています。
事例で学ぶiPhone/iPad活用術 (128) 建設現場のワークスタイル変革にiPad/iPhoneを導入 – 岩田地崎建設(動画付) | マイナビニュース

本社にいるスペシャル技術者が、特殊な機械の操作方法を地方の現場へ指示するときにも役立ちます。またお客様先で製品に関する技術的な質問を受けた時に、営業が本社にいる製品担当技術者へ連絡をとり、FaceTimeで説明することもできます。

iPhoneには「Face Time」というテレビ電話アプリが無料で公開されており、これを使うと災害時などに現場の状況を対策本部などに”実況中継”できる。このソフトを「カンタンマップ」とともに使うことで、現場最前線との情報共有は格段に行いやすくなる。本部も素早い状況把握と対策を指示することができる。
続々登場! スマホとタブレット端末を使った現場用システム|日経BP社 ケンプラッツ

災害の現場には、小さなiPhoneの方が機動性も良いですね。

iPad上のオペレーターが「コンシェルジュ」として、いろいろなシーンでの通訳業務、外国人のお客様からの様々な要望、問い合わせに迅速に英語・中国語・韓国語にて対応。受け入れ施設様の負担の軽減、コスト削減を図ります。
iPhone,iPadを使った対面式多言語案内ネットサービス「フェイスコール/FaceCall」

英語や中国語等の外国人対応のためのスタッフを雇う余裕のない観光地の小規模店舗やレストラン、宿泊施設では役立ちそうです。

画面にメントンスクールの生徒の顔が映ると、にっこり微笑んで手を振りながら挨拶するなど、相手とのやりとりが成立することによる喜びを味わったり、相手に聞き取りやすい発話を心がけたりするなど「つながる」喜びを体感することで今後の学習に向かうモチベーションを高める効果が見られた。
【iPad活用】iPad1人1台で海外とTV会議 —山梨英和中学校│教育家庭新聞

姉妹校間でのコミュニケーションが、年に一回だけの交流会だけでなく日頃の授業から行われることで、外国がこれまで以上に身近に感じられるようになり、英語力の向上に大きな効果がありそうです。

例えば、営業担当者が工事現場から社内の女性事務員に商品の細かい説明をするような場合、口頭では相手に分かってもらえないことは多い。だが、FaceTimeを使って、商品を見せながら説明すればすぐに理解してもらえる。
【橋本総業】iPad miniで月間1800万円のコスト効果、営業担当者の業務効率化に成功(ページ3) | ビジネスネットワーク.jp

百聞は一見にしかず、説明だけよりも画像、画像よりも映像があれば、すぐに伝わることは沢山あります。

「営業のモチベーションでいえば、リアルタイムな指示により、次の商談への切り替えができ、メリハリが生まれたことで集中力とモチベーションが上がっています。1番は顔が見えることです。マネージャーにはiPadを渡しており、部下の顔を見ながら親近感をもったコミュニケーションが取れています。」
Android、iPad、iPhoneソリューション導入事例 : ソフトブレーン株式会社|スマビズ!

声だけでなく相手の顔が見えた方が、本当のコミュニケーションを行うことができます。

「アポイント確定日から商談までのリードタイム」「移動時間」など、「商談という場を作るための時間」が膨大にかかっているのが実情で、もどかしさを感じていました。ここで、弊社とお客様側に iPad を用意しFacetimeを用いれば、そのような調整時間が不要となり、15分や30分といったお客様の隙間時間で、お客様と情報共有が実現出来ます。この取り組みは、より的確なタイミングで、より早くお客様のニーズと弊社のリソースを摺り合わせることができ、お客様と弊社の互いの業務効率化、機会損失の減少が図れるものになると期待しております。
フォーラムエンジニアリング様 | CLOMO導入事例 | アイキューブドシステムズ

商談のスピードアップで他社と差別化を図ります。

さいごに

無料のビデオ通話アプリFaceTimeと、どこにでも持ち出せて手軽に使えるiPadを組み合わせれば、今までになかった新しいビジネスを生み出すことができます。地方の中小企業が活躍する時代の到来ですね。

https://matome.naver.jp/odai/2139121598852849301
2014年02月03日