野生の熊に人生を捧げた男、グリズリーマンを知っていますか?

micmacsan
一切の武器を持たず、野生のグリズリーに接近して撮影し続けた男性。彼はなぜ危険なグリズリーを愛したのか。

グリズリーマンと呼ばれたティモシー・トレッドウェル

ティモシー・トレッドウェルはアメリカのグリズリー保護活動家である。彼は野生のグリズリーに名前をつけて、まるで家族や恋人のように接していた。

活動していた12年の間、彼は毎年アラスカの国立公園に滞在し、野生のグリズリーをハンディカメラで撮影し続けた。

その撮影方法は常識では考えられない方法だった。獰猛なグリズリーに対して銃や武器を一切持たず、丸腰で接近して撮影するというものだったからだ。

「トレッドウェルは野生の熊をテディベアみたいに扱っている」
グリズリーマン� – シネマの舞台裏

「私たちは昔から熊と人間の間に一線を引いて、決してそれを踏み越えはしなかった。トレッドウェルがやっているのは、結局熊に百害あって一利なしだ。人間を怖がらなくなってしまうから」
グリズリーマン� – シネマの舞台裏

グリズリー・ベア(ハイイログマ)

グリズリーより小型のエゾヒグマでさえ牛や馬の首を一撃でたたき折る。また巨体に似合わず走るのが速く、木登りも上手い。

平均的な個体で体長は約250㎝、体重は約300㎏。

ハイイログマ(灰色熊、学名 Ursus arctos horribilis)は、北アメリカに生息するクマ科の大型動物で、ヒグマの一亜種である。
ハイイログマ – Wikipedia

日本に生息するエゾヒグマと比べて肩のコブのもり上がりに特徴がある。10㎝にも達する鋭く長い爪を持つ。平均的な個体は日本のヒグマと変わらないが、最大級の個体は体重450㎏以上になる。

学名 Ursus (arctos) horribilis は「恐るべき熊」という意味。

ヒグマはツキノワグマに比べて肉食傾向が強いが、ヒグマの中でもグリズリーは気性が荒いとされている。

挫折と心の闇

グリズリーへ傾倒するきっかけは、トレッドウェルが過去に経験した挫折である。俳優を志すも夢破れ、アルコール漬けの彼を救ったのがグリズリーだった。

映像の多くはグリズリーの生態について語っているものだが、カメラの前でヒステリックに語りだす場面もあった。

それはグリズリーを守る正義の味方になった彼が、自分を認めなかった人間社会へ怒りをぶつけているようにも感じられた。

確かにうまく野性の動物を手なずけたなと感じさせるけれど、ほかのクマに食べられてしまった子グマの骨を見て「あんまりだ」と感傷的に泣き崩れたり、「動物たちは人間と違って純粋なんだ」と文明を呪い、自分までクマになりきってしまうのは、ちょっと危ないんじゃないかと思う。
映画「グリズリーマン」(2005年) – view from elsewhere

2003年の悲劇

2013年10月5日、カトマイ国立公園でガールフレンドと共にグリズリーに襲われて死亡。
「グリズリーになら殺されてもかまわない」と言うほどグリズリーを愛していた彼の言葉は皮肉にも現実になってしまった。

獰猛なグリズリーも夏はエサも豊富なので比較的大人しいらしく、彼らはいつもより少し長く滞在していた為に食料不足になった熊に襲われたとも言われていました。
2006年10月02日のブログ|映画&楽しい一日♪

最期のビデオテープ

実は、ティモシーはその死の数時間前に、まさに自分を襲って殺すことになる相手の、年老いたグリズリーの映像を撮影しており、それがテープのなかに残っていた。
そのグリズリーは、鮭を探すために川に潜り、かわいい足の裏の肉球を川面に見せたりしている。
グリズリーマン� – シネマの舞台裏

熊に最初に襲われたのはトレッドウェルだったらしく、襲われながらもエイミーに「逃げろ!」と叫んでいたそうですが、エイミーは逃げる事なく必死でトレッドウェルを助けようと熊と応戦してたそうで、その6分間の凄惨な様子をテープで聞いた検視医が、映画の中でその様子を語っていたらしい・・・
2006年10月02日のブログ|映画&楽しい一日♪

トレッドウェルとガールフレンドが襲われた時も、キャップがついたままカメラは作動していた。
ガールフレンドは彼を助けるためフライパンでグリズリーを撃退しようとするもかなわず食い殺された。

グリズリーは2人の遺骸を、貯蔵用の食物として土のなかに埋めていたという。
グリズリーマン� – シネマの舞台裏

野生動物にとって自分より小さい生き物は餌にすぎない。ヒグマは一度食べたものの味に執着するようという習性をもっているため、人の味を覚えたクマは再び人間を襲うようになる。

彼はグリズリーを守れたのか

トレッドウェルは自分がグリズリーを守らなければいけないとしきりに主張するが、グリズリーは政策的に保護されており、彼のような保護活動家がいなくても密猟などの心配はないという。

グリズリーの保護活動家としてメディアにも取り上げられるようになったトレッドウェル。有名になりたいという彼の願いを叶えたのは他ならぬグリズリーだった。

成功するほど彼はグリズリーにのめり込んでいくようになる。

それは傍から見れば、トレッドウェルのほうがグリズリーに依存しているといえるのではないだろうか。

少なくとも、彼とガールフレンドを襲ったあのグリズリーが射殺されることはなかっただろう。

映画「GRZZLY MAN」 2005年(日本未公開)

「I love you」と言いながらグリズリーに近づいて行く姿が印象的だ。彼を熱心な保護活動家と見るか、人間社会に適応できなかった哀れな人物と見るかは受け取り方次第だろう。
https://matome.naver.jp/odai/2139045733623296201
2014年01月23日