中国企業 出生前検査を中止 正しく理解しておきたい「新型出生前検査」

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胎児に染色体の病気があるかどうか判定する新しい出生前検査を中国の遺伝子関連企業が日本で始め、学会の認定を受けていないクリニックなどを対象に勧誘を行っていた問題で、この企業が学会などからの批判を受け、サービスを中止したことが分かりました。あらためて「新型出生前検査」を考えます。

新出生前診断を一時中止 中国企業

妊婦の血液で胎児の染色体異常を調べる新出生前診断の事業を日本で始めていた中国の遺伝子解析会社は22日までに、診断を一時中止するとウェブサイトで発表した。
新出生前診断を一時中止 中国企業、医学会が懸念 – MSN産経ニュース

胎児に染色体の病気があるかどうか判定する新しい出生前検査を中国の遺伝子関連企業が日本で始め、学会の認定を受けていないクリニックなどを対象に勧誘を行っていた問題で、この企業が学会などからの批判を受け、サービスを中止したことが分かりました。

母親の血液から胎児の染色体異常を調べる新型出生前診断を中国企業が日本産科婦人科学会の指針を守らず実施していた問題で、中国企業は検査の提供を一時中止したことを明らかにした。
中国企業、出生前診断を一時中止 学会認めれば再開:朝日新聞デジタル

日本医学会が懸念

国内では、日本医学会が遺伝カウンセリングの体制が整備されるなどの条件を満たした医療機関を認定して実施されている。
中日新聞:中国企業、新出生前診断を中止 日本医学会が懸念:社会(CHUNICHI Web)

同社は認定外の機関から依頼を受けて検査した疑いがあるとして、医学会などが懸念を表明していた。
中国企業、新出生前診断を中止 日本医学会が懸念 – 47NEWS(よんななニュース)

妊婦の血液から染色体異常を調べる新型出生前診断を、中国の遺伝子解析会社が日本国内で始めた。検査費用は10万円と従来の半額以下で、遺伝カウンセリング(遺伝相談)も条件にしていない。国内の実施施設は現在、学会の指針によって、遺伝相談を条件に限定されている。一般の産婦人科や不妊クリニックにも広がれば、学会の指針が骨抜きになる心配がある。

学会の認定を受けていないクリニックなどを対象に勧誘を行っていたことから、日本医学会などでは理解が不十分なまま人工妊娠中絶につながるおそれもあるとして批判していました。
中国の企業 出生前検査を中止 NHKニュース

同社は検査の受け付けを一時中止したことをホームページで公表した。
中国企業、新型出生前検査受け付けを一時中止 : 社会 : YOMIURI ONLINE(読売新聞)

そもそも「出生前検査」とは?

出生前診断とは生まれてくる赤ちゃんの病気を調べる検査のことです。
出生前診断 – 兵庫県 西宮市 宝塚市 産婦人科 レディース&マタニティクリニック サンタクルス

妊娠中に行う胎児の状態に関する一連の検査のこと。遺伝子異常、染色体異常、代謝異常、形態異常、胎児機能の検査などが実施されている。
出生前検査 – Wikipedia

(対象は)両親のいずれかが遺伝病の保因者の場合、35歳を超えた高齢の妊婦で、染色体異常妊娠の可能性が高い場合、など
出生前検査 – Wikipedia

昨年導入された「新型出生前検査」とは?

妊娠中のお母さんの血液を採って、おなかの赤ちゃんに染色体の異常があるかどうかを調べる新しい出生前診断
朝日新聞デジタル:2013年度中学入試特集 – 教育

新型出生前診断、開始3カ月で1534人検査 陽性29人、確定診断を受けた2人が人工妊娠中絶

新しい出生前診断は、お母さんの血を少し採るだけで済み、流産の心配がない。血液にわずかに含まれる赤ちゃんのDNAの量を調べ、染色体の異常を判定する。
朝日新聞デジタル:2013年度中学入試特集 – 教育

確実に知るためには、羊水を採って調べる必要がある。ただ、羊水を採る時に、母親のおなかに太い針を刺すために、赤ちゃんが流産してしまう危険がある。
新型出生前診断、開始3カ月で1534人検査 陽性29人、確定診断を受けた2人が人工妊娠中絶

今年4月の導入から9月末までの6か月間で陽性の判定を受けた67人のうち、その後の羊水検査などで確定診断がつき、流産もしなかった54人中53人(98%)が人工妊娠中絶をしていたことがわかった。
陽性なら中絶?…新型出生前検査、運用に課題

※今年:2013年

新型出生前診断を行える施設は、遺伝相談ができる態勢の整った約30医療機関に限られている。
出生前診断に中国企業参入 低価格、遺伝相談の条件なし:朝日新聞デジタル

新型出生前検査は現在35歳以上に限定され、約20万円という高額な経済的負担があり、実施施設の近くに住んでいて運良く予約が取れた人しか受けられないというのが現状です。
陽性なら中絶?…新型出生前検査、運用に課題

新型出生前検査は高額、さらに認定医療機関が少ない。なかなか予約も取れないとなると検査を受けられる妊婦さんの数も限られてくる。

日本産科婦人科学会の指針

母体血を用いた新しい出生前遺伝学的検査を行う施設が備えるべき要件として、

①遺伝に関する専門外来を設置し、
②出生前診断の十分な知識や豊富な診療経験を有する産婦人科医師、小児科医師が常時勤務しており、
③検査を希望する妊婦に対する検査施行前と検査施行後に遺伝カウンセリングを、十分な時間をとって行う体制が整えられている施設

等が挙げられています。

(参考:http://www.yokohama-cu.ac.jp/fukuhp/section/central_section/genetic/nipt/faq.html

新型出生前検査でわかること・わからないこと

わかること:21トリソミー(ダウン症)、18トリソミー、そして13トリソミー(出生頻度順に記載)という3つの染色体異常症が対象疾患です。
NIPT兵庫 新型出生前診断とは – NIPT兵庫 共同情報提供サイト

・21トリソミー:体細胞の21番染色体が1本余分に存在し、計3本(トリソミー症)持つことによって発症する、先天性の疾患群。ダウン症とも呼ばれる。

・18トリソミー:18番染色体が3本1組のトリソミー。エドワーズ症候群と呼ばれる。特徴は低体重であることや小さい顎や耳介低位、指の重なりなどの外観の他に、致死的な心疾患を多発する。

・13トリソミー:女児に多い(男児は流産する場合が多いため)。13番染色体が過剰の重度の先天性障害。口唇裂、口蓋裂、無眼球、小眼球など多くの奇形および重度の知的障害があり、生後一ヶ月以内に半数が、1年以内に90%が死亡。

なお、これらの病気についても確実な診断ができるわけではなく、診断の確定には羊水検査や絨毛検査などの侵襲的検査を必要とします。
NIPT兵庫 新型出生前診断とは – NIPT兵庫 共同情報提供サイト

わからないこと:その他の染色体異常や遺伝子異常、先天異常などはわかりません。

今回中止になった中国企業の問題点とは?

新たに検査を始めた中国のBGI社は、遺伝相談を条件とせず、遺伝相談の専門家がいない産婦人科、不妊クリニックなどとも個別に検査を請け負う形
出生前診断に中国企業参入 低価格、遺伝相談の条件なし:朝日新聞デジタル

十分な情報なしに検査を受けると、「命の選別」につながりかねない
出生前診断に中国企業参入 低価格、遺伝相談の条件なし:朝日新聞デジタル

遺伝相談なしに検査が広がれば、検査、病気について十分理解しないまま、人工妊娠中絶につながる心配がある。
出生前診断に中国企業参入 低価格、遺伝相談の条件なし:朝日新聞デジタル

しかし、認定医療機関の数の少なさ及び高額な検査費により、新型出生前検査を受けたくても受けられないという実態が、中国企業の安価な新型出生前検査へ流れたことも否定できないのではないかと考えられる。(まとめ筆者の意見です)
https://matome.naver.jp/odai/2139043274598107901
2014年01月23日