巨大淡水魚タキタロウ捕獲作戦

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かつて、謎の巨大淡水魚「タキタロウ」の捕獲作戦が行われたことがあります。そのときの事を簡潔にまとめてみました。

タキタロウの特徴

これは模型。

体長 約1.5〜3m
下顎が異常に長く上顎に食い込むほど
体長のわりに幅(体高)がある
体色は茶褐色
体表は異常にヌルヌルし斑点がある
非常に警戒心が強い
タキタロウ

タキタロウとされる実際の写真

「これがタキタロー!!大鳥池にて H10年秋写す」と書いてあります。

タキタロウはどこにいるの

ここにいます
山形県鶴岡市の大鳥池。
標高966mの場所にあり、周囲3.2km、最大水深68m。
川が堰き止められてできた堰止湖です。

数々の目撃証言

最も古い文献は、松森胤保『両羽博物図譜』(1885年)で、この中の「岩名」の項目に「大物ヲ瀧太郎ト云 五尺計ノモノ大鳥川ヨリ流レ来ルコト有ト聞ク」という記述がある。
タキタロウ – Wikipedia

丸太のような魚が見えたので投網を打った。2人が水に飛び込みょうやく引き上げた。体長が1.6mあり、体の表面には厚い脂肪層があった
今は昔 民話を訪ねて   (2000.06.3 読売新聞記事より)

学術調査で沖に出た時、舟を囲むように数匹のタキタロウが現れ、赤い口を開けて追いかけてきた
今は昔 民話を訪ねて   (2000.06.3 読売新聞記事より)

1982年、以東岳を訪れていた登山客らが、山の中腹から大鳥池を見渡していたところ、体長2mほどの大きな魚十数匹が、クサビ形の群れを形成し、小魚の群れを追いかけているのに気が付いた。彼らは持参したカメラで、その光景を撮影した。
タキタロウ

ガバッと水が大きくわれ、水面に長く尾を引いて沖へ泳いでいくタキタロウを見た。1メートル50センチくらいはあった」「三角池沢口でイワナを釣り、引きあげようとしたら、そのイワナを追いかけてきた化け物のような大魚が現れた。(中略)その化け物のような大魚は、馬の頭(顔)のようなタキタロウであった
朝日連峰縦走|山形新聞

82年の目撃情報をマスコミが取り上げたことで一気に注目が集まり、翌年、ついに捕獲作戦が行われることになりました。

捕獲作戦開始

同年九月の捕獲作戦で、幻の怪魚に、初めて科学のメスが向けられた。大鳥池にボートを浮がべ、音響探査機で魚影を追う。釣り竿を並べ投網を打ったが、手掛かりはなかった。
今は昔 民話を訪ねて   (2000.06.3 読売新聞記事より)

84年9月の調査で、3日目、探査機は水深20から40mを泳ぐ巨大な魚影を映し出したが、姿は見えずじまい。
今は昔 民話を訪ねて   (2000.06.3 読売新聞記事より)

当時の新聞記事
http://www.youtube.com/watch?v=h5VZlt2urcU
1984年調査時のもの。NHKが特集を組むぐらいにまで、当時は関心が高まっていました。
20:35頃、魚群探知機の画面も映っています。
http://www.youtube.com/watch?v=jPyaMSHuoJc

そして3年目。みぞれが降る10月末、水中カメラと刺し網も用意された。体長70cm、5.6Kgの魚を捕らえたが、捕獲経験のある村人は「顔が違う」と鑑定した。
今は昔 民話を訪ねて   (2000.06.3 読売新聞記事より)

当時の新聞記事
(山形新聞より)

作戦終了

日本中が注目するなか、3年間に渡って行われた捕獲作戦でしたが、タキタロウを捕まえることが出来ませんでした。そして、捕獲作戦もこの年を以って終了となりした。以後、本格的な調査はまだなされていません。

それでも、タキタロウは実在する。なぜなら・・・。

結局2年目の探査機の魚影を根拠に、「タキタロウは生息する」と結論付けて調査は幕を開じた。
今は昔 民話を訪ねて   (2000.06.3 読売新聞記事より)

ということでタキタロウは一応、実在するとの事です。

新たな謎

ところで、この捕獲作戦ではタキタロウではないものの、何度か大きな魚が捕獲されています。一番大きなものは体長150センチというサイズ。その魚はなんだったのか。

「アメマス系のニッコウイワナ」と「オショロコマに近いアメマス」という2つの返事があり、その正体ははっきりとはしなかった。ただし、アメマスもニッコウイワナも生物学的には同種(亜種)であり、2つの返事の内容に大きな差があるというわけではない。
タキタロウ – Wikipedia

ということで巨大化したイワナでした。

ちなみに、1985年当時、イワナとアメマスは別種とされていましたが、現在では亜種とされています。あと、海に下りたタイプのイワナの総称をアメマスというようです。

では、アメマス系のこの魚は、回遊魚であるアメマス(イワナ)が海から大きくなって帰ってきたものなのでしょうか?

大鳥池は、東大鳥川が流出河川です。その川は、ダムで遮られ、その下流で赤川になって日本海へ注ぎ込みます。海~ダムまでの赤川には、サケやサクラマスが遡上しています。ダム以上はイワナになります。
ダムで海←→大鳥池の行き来は遮断されています。
タキタロウやナミタロウ

ということから、回遊することは不可能のようです。

それにしても、海に行けないのに70cm~150cmというサイズはかなりの大きさです。回遊して大きくなったアメマスは概ね70~80cmくらいまでのようなので、むしろ上回っています。(ちなみに、回遊しないで川に残ったイワナは成長しても40cm以上にはならないそうです。)

この湖には一体どんな環境条件が揃っているのでしょうか。タキタロウの巨大さの秘密もそこにあるように思います。

タキタロウとアメマスの写真比較

まずは模型。
タキタロウとされている魚
アメマス

確かに顔がまったく違います。

関連リンク

https://matome.naver.jp/odai/2138897161952705601
2014年02月04日