ゴミ屋敷、孤立死・ゆるやかな自殺…若者も危ない≪セルフネグレクト≫

catea
ゴミ屋敷は知っていてもその原因は分からない方が多いのではないでしょうか?その原因と言われているセルフネグレクト。若者の自殺とも密接な関係があります。

ネグレクトという言葉は、子どもの虐待のニュースなどで耳にしたことがあるかもしれません。英語では「無視すること」を意味しますが、日本では保護者や介護者が子どもや介護が必要な高齢者などに対して、育児や世話、介護などを「怠る」「放棄する」ことを指します
【読書感想】ルポ ゴミ屋敷に棲む人々 – 琥珀色の戯言

虐待児童の特徴として「いつもお腹をすかせている」とか、「体や服が異常に汚れている」などと聞きませんか?
これがネグレクト。本来するべき食事や健康管理が行われていない状態です。

セルフネグレクトとは

子供や介護が必要な高齢者に対してではない、自分のことを放棄してしまうのが『セルフネグレクト』です。

成人が通常の生活を維持するために必要な行為を行う意欲・能力を喪失し、自己の健康・安全を損なうこと。
セルフネグレクト【self neglect】の意味 – 国語辞書 – goo辞書

本人の意思による場合と、認知症などで判断力が低下する場合の両方を含むとする。

認知症だけでなく、精神疾患も原因となります。

10年ほど前から医療・福祉の分野で研究テーマになっている。

そんなセルフ・ネグレクトの特徴は以下のようなことが挙げられます。
(1)身体が極端に不衛生
(2)失禁や排泄物の放置
(3)住環境が極端に不衛生
(4)通常と異なって見える生活状況
(5)生命を脅かす自身による治療やケアの放置
(6)必要な医療・サービスの拒否
(7)不適当な金銭・財産管理
(8)地域の中での孤立
通勤時間の本は何にする? : 【精神疾患】セルフ・ネグレクトとは何か?

簡単にまとめると、
『お風呂に入らない』『掃除をしない』『病院に行かない』『適切な食事を取らない』ということでしょう。
もっと簡単にまとめると普通の生活ができない、と言えるでしょう。
そのために人としての尊厳を失い、親族や近隣住民から孤立してしまいます。

最も分かりやすいのが『ゴミ屋敷』
家族や職を失ったことによる過去への執着心や孤独感が原因でゴミを集め、捨てられなくなった結果、さらに周囲と距離ができてしまいます。
そして本人もゴミを捨てることを強く拒否し…悪循環が生まれてしまいます。

セルフネグレクトの原因

岸 恵美子著『ルポ ゴミ屋敷に棲む人々』では以下のような原因が挙げられています。

(1)家族・親族・地域・近隣等からの孤立
(2)ライフイベントによる生きる意欲の喪失
(3)認知症、精神疾患、アルコール問題などによる認知・判断力の低下
(4)世間体、遠慮、気兼ねによる支援の拒否
(5)サービスの多様化・複雑化による手続きの難しさ
(6)家族からの虐待による生きる意欲の喪失
(7)家族を介護した後の喪失感や経済的困窮
(8)介護者が高齢あるいは何らかの障害を持っている場合
(9)経済的困窮
(10)引きこもりからの移行
(11)東日本大震災の影響
通勤時間の本は何にする? : 【精神疾患】セルフ・ネグレクトとは何か?

誰にでも起こりうることではないでしょうか。

積極的に自分を傷つけるわけではなく、自分の管理を放棄し、命に関わる病気の治療も行わず、死に至ることも。

また金銭の管理も行わず生活ができなくなり、失踪や自殺…ということもあります。

高齢者だけではありません。
若者も同じ状況に陥ります。

遺品整理業者の方によると、20~30代の方の遺品整理でも、ゴミ屋敷のような状況になっていることが多いそうです。

解決するには…

長い期間をかけてその状態に至った人たちに、セルフ・ネグレクトだと自覚してもらうことは、極めて難しいことです。

家族であっても、責めたり説得したりすることでかえって反感をかってしまい、「今後一切自分に関わるな」と言われてしまうこともあります。
【読書感想】ルポ ゴミ屋敷に棲む人々 – 琥珀色の戯言

例え家族でも、セルフネグレクトの状態に陥った人を助けるのは難しいのです。
行政などのシステムからも漏れている、これらの人々に一体誰が手を差し伸べられるか…
非常に難しい問題です。

大事なのは、現実に目の前に起きていることで困っていること、あるいは望んでいることを聞くことです。「寒くて眠れないときがある」「体がかゆくて気になる」などの思いを聞いて、現状の問題を改善する方向に結びつけていきます。
【読書感想】ルポ ゴミ屋敷に棲む人々 – 琥珀色の戯言

一度は正常な生活を取り戻せたように思えても逆戻りすることも多いそうです。
しかし、絶対に治らないわけではありません。

『ゴミ屋敷』は近隣に迷惑をかけることが多いので、良く知られているでしょう。
しかし、その原因が『セルフネグレクト』かもしれないということは知られていないのではないでしょうか。

社会から孤立した人がいます。
まずは興味をもち、知っていくことが必要です。
自分自身や身近な人をこの問題から遠ざけることができるかもしれません。

ルポ ゴミ屋敷に棲む人々 岸恵美子
悪臭のする不衛生な「ゴミ屋敷」で、他者の介入を拒否し、物に埋もれながら暮らす人々が増えている。彼らの多くは、実は「セルフ・ネグレクト」の状態にある。セルフ・ネグレクト(自己放任)とは、自分の生活に極度に無関心となり、著しく生活環境と健康状態が悪化する状態のことで、やがては孤立死に至る。毎年2万人に上る孤立死の約8割は、このセルフ・ネグレクトが要因とも言われている。彼らはなぜ自らの人生を「放棄」し、ゆるやかな死を選ぶのか。少子高齢化、家族崩壊、高齢者虐待などを背景に急増する、現代の病理に迫る画期的な書。
https://matome.naver.jp/odai/2138600056943120901
2013年12月03日