2月24日〜3月1日
本土空襲に備えた準備が進む中、建物疎開の責任者として神経をすり減らす悠太郎は
火災現場の悪夢にうなされたり、一人で考え込んでしまうことが多くなっていた。
川久保や希子もそれぞれの仕事でストレスを抱え込み
め以子はそんなみんなを元気づけようとするが、なかなかうまくいかない。
そんな中、妊娠中のふ久の疎開先を探していため以子は
お静と共に和枝の家に疎開のお願いに行くことになった。
嫁ぎ先の農家で一人暮らしをしている和枝の元を訪れため以子とお静だが
ふ久を受け入れるなら西門家の権利を譲れと言われて意気消沈。
結局、父親の別荘に疎開が決まった桜子にふ久のことをお願いすることに。
一方、民間の防空指導を担当するために
軍事の初歩を勉強しようとしていた悠太郎の元に
建物疎開の現場で死者が出たという報告が入る。
一方、活男が料理人として実戦部隊に配属されることとなった。
活男のように夢を叶える間もなく建物疎開の犠牲になった少年を思い、胸を痛める悠太郎。
建物疎開の計画も思うように進まずに悶々とする中、東京で空襲が始まった。
桜子たちが疎開していく中で、火事で母を失った悠太郎は
今度こそ自分の力で家族の命を守りたいと人知れず思いを巡らせる。
そして悠太郎の防空指導が始まった。
防空指導の場で、空襲の炎から街を守るよりも
自分の命のために逃げろと訴えた悠太郎が逮捕された。
め以子は悠太郎を救うために奔走するが
そこに悠太郎に軍事関係の資料を貸した張本人である藤井がやってきた。
藤井はめ以子に焼き菓子のカラメルを焼かせると、幼馴染の軍事関係者の元へ出向き
逮捕された市の職員は優秀な建築家なので、恩に着せて軍の施設を作らせることを提案。
更に大の甘党のその男にカラメルを差し出し、うまくまるめこむことに成功。
悠太郎は無事に釈放されるが、そんな彼にめ以子は感情を爆発させる。
これが原因で市役所をクビになった悠太郎は、陸軍の軍属として満州に行くことになる。
家族には内緒で旅立ちたいと、め以子にも満州行きを打ち明けないまま
子どもたちの元を訪れ、遺言めいた言葉を残す悠太郎。
兄の異変に気付いた希子は、藤井を問い詰め事実を聞き出し
め以子には言い出すことができなかったが、川久保とお静にそのことを告げる。
そしてラジオ局を訪れてきた兄のために心をこめて歌うのだった
出発の前晩、悠太郎は源太に満州行きを明かし、め以子を助けてほしいと頭を下げた。
翌朝、悠太郎はめ以子に「職探しに出かける」と告げて家を出る。
だが、真相を隠しきれなくなったお静にすべてを聞かされため以子は
大慌てで家を飛び出して悠太郎に追いつき、別れを告げるのだった。
2月17日〜2月22日
1944年、悠太郎は空襲に備えた建物疎開と呼ばれる住居の取り壊しを担当することに。
そして、徴兵される前に結婚する若者が増える中、お静がふ久に縁談を持ってきた。
恋愛には興味がなさそうなふ久に結婚など無理なのではないかとめ以子は心配するが
そんな中、泰介と同じ野球部の諸岡が、徴兵検査を終えて最後の挨拶にやってきた。
ふ久は突然「諸岡君を複製したい、諸岡君の子供を産みたい」と言い出す。
結婚はしなくても子供さえ産めればいいと言うふ久に、悠太郎は猛反対するが
結局、ふ久を不幸にするような結婚は出来ないと諸岡にバッサリ断られてしまう。
ふ久が初めて他人に興味を持ったことを喜ぶめ以子は娘の恋を応援しようとするのだが…。
一方、思い立ったら人の言うことを聞こうとしないふ久は、諸岡の自宅に押しかける。
諸岡に夜這いしているところを泰介から止められたふ久は、諸岡に対する複雑な乙女心を告白。
ふ久が純粋に諸岡を思っていることに感動したと泰介から聞いた悠太郎は
娘の幸せのために、諸岡の家に改めて結婚のお願いに出向くことを決意する。
諸岡家の両親も涙ながらにふ久の申し出を喜び、すぐにふ久を諸岡家で預かることに。
一方、軍需工場で働き始めてから元気がなくなった活男にも転機が訪れる。
海軍の本格的な料理に魅せられた活男が、軍隊に志願したいと言い始めた。
海軍に入ったからといって必ず料理人になれるわけではないと反対するめ以子。
悠太郎は志願しなくても空襲で命を落とす可能性もあると
活男の意志を尊重するようめ以子を論す。
そんな矢先、活男の軍需工場で事故が起こり、活男の友人が犠牲になった。
彼が大きなショックを受けた様子に、め以子は深く傷つく。
活男は、これ以上やりたくないことをやり続けるくらいなら、好きな料理をして死にたいと告白。
悠太郎は活男の意志を尊重したいというが、め以子は
自由に料理ができれば活男が翻意してくれるのではないかとある作戦に出ることに。
そして、西門家でふ久の内祝いの当日、活男が創意を凝らした料理の数々を前に
久しぶりに一家に穏やかで幸せな時間が訪れるのだが…。
豪華な食事に諸岡は涙を流して喜び、諸岡の涙で
活男の「兵隊さんの『ごちそうさん』になりたい」という決意は固まった。
そして活男の強い決意の前にめ以子はついに折れるのだった。
戦いの最前線に行くのではなく確実に料理人になってもらうために
手を尽くそうと決意しため以子は、さっそく大五に助けを求め
大人数用の食事を作る訓練を開始する。
そして、うま介での送別会を経て、活男が旅立つ当日。
め以子と活男は最後の朝食を一緒に作ることに。
「兵隊さんのごちそうさん、いっぱい聞いて来てな」と送り出すめ以子に
活男は笑顔で「お母ちゃん、ごちそうさんでした」と返し、旅立ってゆくのだった。
2月10日〜2月15日
資材不足に伴う今後の地下鉄建設計画についての苦渋の決断を下した悠太郎は
竹元のもとにその報告に向かう。
結局、人命を守るために竹元と絶縁することになり
深く落ち込む悠太郎のため、め以子が竹元のご機嫌伺いに行くも
手土産の壷に詰めた梅肉エキスのみ受け取り、め以子を追い返してしまう。
一方、お粥なら食べられるようになった源太は西門家を出ていくことを決意。
時を同じくして、泰介の甲子園予選も再開が決まった。
太平洋戦争に突入し、日本の敗戦の色が濃くなりつつあった昭和18年。
食糧難が続く中、め以子は闇で食料を調達しながら
家族や近所の子供たちのためのごちそうさんであり続けようと努力を重ねていた。
事実をありのままに報道することができずに悩む希子は
自然体のめ以子をうらやむが、そんなめ以子をよく思わない人の通報によって
西門家が闇で手に入れた食料がことごとく没収されてしまう。
め以子に嫌がらせをはじめた婦人会仲間の多江が
闇米を密告したとにらんだめ以子は多江と大喧嘩に。
この騒動で、め以子の「ごちそうさん」の評判が
雑誌に掲載される話しも流れてしまうことになる。
これまで婦人会などにお菓子をつくって持って行ったのに
そのお返しがこれなら、人にごちそうするのはやめると、怒り心頭のめ以子。
希子は、そんな覚悟のごちそうさんだったことに落胆したと告げるのだった。
一方、戦意を高揚させるために作られた自分の番組を聞いて
息子を兵隊に志願させたという 母親からの手紙を受け取った希子は
番組降板を考えるようになる。
希子の悩みとラジオ局が置かれる状況を川久保から聞かされため以子は
自分と希子の考え方の違いを思い知らせれ、愕然とする。
一方、お金のために書きたくもない小説を書き続ける室井を見かねた桜子は
ついに離婚を宣言。
その二人が「うま介」で言い争っているところに、ある男がやって来る。
亡き妻が生前食べたがっていた焼き氷の味を
自分が死んだ時に、あの世で妻に教えてあげたいと男は語る。
入手困難な材料をかき集め、やっとつくった焼き氷を食べ始めたところに
特高警察が入ってきた。
その男を連行しようとする警官に馬介は
この人に全部食べさせてほしいと土下座して懇願。
馬介の姿を見ていため以子は、馬介こそが「ごちそうさん」だと反省するのだった。
次の日、希子のラジオ番組で、室井が自作した「おでん皇国戦記」の朗読をすることになった。
おでん皇国が勝利を収めるというストーリーは、両軍の軍艦の乗組員が
マグマで沸騰した海で一つの鍋物になる、という結末に書き換えられていた。
検閲に引っ掛かってもおかしくない内容だったが
川久保と希子が機転をきかし、室井は無事に帰宅する。
放送を聞いていた桜子は、涙ながらに室井を迎えるのだった。
室井の話に心打たれため以子のもとに
竹元から梅肉エキスのお返しにカレー粉が届く。
め以子は、婦人会で「うま介」を借りて共同炊事を開くことを提案。
持ち寄った食材とカレー粉でカレーうどんをつくり、喧嘩した多江とも仲直りする。
竹元から届いたカレー粉も大活躍するが
その壺の中には落ち込む悠太郎へのメッセージが隠されていた。
2月8日(土)
亜貴子の話を聞いて、め以子は源太の戦争での過酷な体験に心を痛める。
命あるものを食べられなくなった源太を思い涙ぐむめ以子と寄り添う悠太郎。
泰介(菅田将暉)は源太に、また戦場に送り込まれるかもしれないのに
何故生きようとするのかと問いかける。
源太は、自分には夢があると語り始める。
それは「千人のおねえちゃんとつきあう」ことだった。
め以子が源太にも食べられるものを思いついた矢先、源太が危篤状態に。
亜貴子が処置を試みるかたわらで、め以子は源太の名を呼び続ける。
子供の頃に池に落としたジャムを返せ!
ジャムを返さないまま逝ってしまう男だったのか?と。
そしてめ以子の叫びが届いたかのように源太は息を吹き返す。
め以子は源太に牛乳を飲ませながら「乳出したかて、お母ちゃん牛は死なん」と
戦場で命を奪うことがトラウマになった源太を諭す。
その様子を見ていた泰介は、このところ死んだように生きていた自分を反省し
甲子園を目指すことを、ふたたび堅く心に誓うのだった。
2月7日(金)
源太(和田正人)は何も食べられなくなっている。
自分に知らされずに、西門家で看病すると決まり、悠太郎は面白くない。
医者にみせても効果がなく、め以子は焦り
思い切って亜貴子(加藤あい)を訪ねて相談する。
いずれまた出征する源太を思った泰介(菅田将暉)から
静かにみとってやることを提案され、め以子は怒る。
そんな中、亜貴子が源太の往診に訪れ
源太が食べられない本当の理由を聞きだす。
2月6日(木)
甲子園に行けないことになったのに
なぜか冷静な泰介(菅田将暉)にめ以子や悠太郎は戸惑う。
そんな中、室井(山中崇)の小説が検閲に引っかかって
出版差し止めになり、桜子(前田亜季)は怒る。
一方、源太(和田正人)は、め以子の前で倒れてしまい
西門家で看病されることになる。
食べることができない源太は栄養失調に陥っていた。
資材調達に悩む悠太郎は、室井や馬介(中村靖日)と話すうちに、
大切にすべきものとは何か考える。
2月5日(水)
カツの材料を求めて市場に出かけため以子は
源太(和田正人)と出くわして驚く。
病気のため除隊になったのだというが、め以子はそのやつれた様子を心配する。
一方、鉄筋不足に悩む悠太郎は、藤井(木本武宏)から
竹筋コンクリートなるものについて聞かされる。
そんな中、甲子園大会がしばらく開催されないことが決まる。
泰介(菅田将暉)と諸岡(中山義紘)が戻ってくると
め以子は、苦労して手に入れた卵でタルタルソースを作り、カツをふるまう。
2月4日(火)
その頃の悠太郎は大阪地下鉄の延長工事を担当していた。
資材が手に入らないことから、鉄筋を使わない建築工法が考案されるが
安全性を重んじる悠太郎は納得がいかず、竹元 (ムロツヨシ)とやりあう。
一方、大会直前に突然、泰介(菅田将暉)のミットが壊れてしまい
夜なべして修繕するめ以子と悠太郎。
そんな中、泰介のため、啓司(茂山逸平)が新しいミットを手に入れる。
め以子は相変わらず料理で甲子園に行かせようとしており
予選を勝ち上がると、より豪華なカツが食べられる制度を思いつく。
活男(西畑大吾)まで 乗り気で、西門家は甲子園への熱意に盛り上がる。
2月3日(月)
1941年の夏、配給制が敷かれ食料事情が日に日に悪化する中
め以子は節約して余った食材を工夫しておやつを作っては
近所の子供たちに配り、「ごちそうさん」と呼ばれ親しまれていた。
そんな中、長男・泰介(菅田将暉)の甲子園行きを 応援しようとするめ以子。
料理修業中の次男・活男(西畑大吾)とともに
弁当を出来るだけ豪華にしようと知恵を絞っていた。
西門家には、ピッチャーの泰介とバッテリーを組む
キャッチャーの諸岡(中山義紘) が部活のあとに、よく来てごはんを食べていた。
年頃のふ久(松浦雅)は、その諸岡のことが少し気になり始めていた。
め以子は、二人に力をつけてもらおうと肉屋に向かうが
もはや普通の肉は手に入らなくなっていた。
あらすじ 17週 1月27日(月)~2月1日(土)
正蔵が亡くなって数年後、日中戦争が勃発。
戦争は次第に激化し、昭和15年には資材や燃料だけでなく
食料まで節約が求められるようになっていた。
根が単純なめ以子は工夫を凝らした節米料理や
婦人会の行事に精を出していたが
女学生になったふ久は母の態度に疑問を抱く。
一方、悠太郎は、資料のやりくりが滞って
思うように建築計画が進まないことに悩んでいた。
源太の元に召集令状が届いた。
これまでお国のためにならばと、戦争と前向きだっため以子は
突然のことに戸惑いを隠せない。
そんな中、源太が突然失踪。
兵役逃れかと血相を変えて源太を探していため以子は
竹元とふ久が一緒にいるところに遭遇。
全員が同じことをさせられる女学校のやり方に反発したふ久は
学校をボイコットして竹元に勉強を教わっていたのだ
何もなかったように戻ってきた源太の出征が明後日に決まった。
源太から出征の祝いにイチゴが食べたいと言われため以子は
イチゴを探し回るのだが、戦争のせいで
イチゴが市場から消えてしまったことを知りショックを受ける。
そして源太の送別会が開かれた。
終始明るく振舞っていたが、酔いつぶれた源太から
「行きたくない」という本音を聞いてしまっため以子は、無力感に襲われる
源太が出征し、虚脱状態のめ以子を更なる衝撃が襲う。
砂糖が配給制になるという。
戦争が自分の大切なモノをすべて奪っていくのではないかという不安に
押しつぶされそうになるめ以子。
一方建築のための資材が不足していることに悩む悠太郎は
鉄筋を闇で手に入れるためにある企業を訪れる。
そんな中、め以子は婦人会の命令で限られた食材を使ってパンを作ることに。
め以子は国の栄養評議会から発行されたレシピ通りに
栄養満点のパンを作って小学校に差し入れることになった。
しかし、レシピをみため以子はパンの味のひどさを直感。
ふ久はイヤなら作らなければいいと母を止めようとするが
意地になっため以子は聞く耳を持たず
結果、完成した激マズパンは学校から差し戻されてしまう。
おいしい食材をおいしくいただけない世の中に墳っため以子は
おいしい料理をつくり抜こうと決心するのだった。
あらすじ 16週 1月20日(月)~1月25日(土)
正蔵が病に倒れてしまい、かなり危険な状態となる。
め以子は正蔵のために、先妻の得意料理だった柿の葉寿司に挑戦する。
しかし、その味の再現は、なかなかうまくいかない。
和枝に作り方を教わろうと決意を固め、嫁ぎ先まで訪ねてはみたものの
和枝はまだ正蔵の過去を許しておらず、め以子を追い返してしまうのだった。
一方、希子(高畑充希)に同僚の川久保(茂山逸平)がプロポーズする。
家族に紹介するために、希子は川久保を西門家に連れてくる。
祝言は家で挙げることに決まり、早速、め以子は
しきたりや式に出す料理などを正蔵から教えてもらうのだった。
和枝にも自分の祝言に出席してもらいたい希子は
和枝の嫁ぎ先まで一緒に行って
説得に力を貸して欲しいと倉田(綾田俊樹)に頼む。
最初は出席を拒む和枝だったが、条件を呑んでくれれば出席をしても良いと言う。
その条件とは、め以子が祝言に出席しないことだった。
結局、柿の木の葉っぱが残っていたら出席すると賭けていた和枝が
結婚式当日に出席する。
希子は兄夫婦の結婚式も一緒に挙げると言いだす。
金屏風の広げてある部屋に座る悠太郎と花嫁姿のめ以子。
西門家一同や子ども3人も正装姿。
祝言は進み、悠太郎の「ごちそうさんでした!」の言葉の後
め以子は涙ながらに深々とお辞儀をした。
そして二人は、西門家の一同から、心より祝福された。
祝言が終わって間もない頃、事情を察する上司・竹元の計らいで
悠太郎は正蔵を開業前の地下鉄に招待する。
そこで二人は改めて、互いに一人の男として向かい合い
これまでの湧き上がってきた思いを、淡々と口にしてゆく。
それからしばらくして、悠太郎とめ以子の幸せに安堵した正蔵は
静かに先立って行くのだった。
あらすじ 15週 1月13日(月)~1月18日(土)
医師となり、夫を亡くした幼なじみの村井亜貴子(加藤あい)と再会した悠太郎は
理由を見つけては、毎朝、出勤前に亜貴子の病院に通い始める。
そんな事とは知らないめ以子は、悠太郎の傷に効くと聞いた
牛すじ煮込みのカレーを作ろうとする。
処方箋を横目で見ながらレシピを作成して
牛すじの箇所に赤鉛筆で丸印を入れたり、傷の良さの度合いを記入したり…。
心躍るめ以子だったが、偶然、悠太郎の職場にて
亜貴子と仲睦まじそうな悠太郎の姿を目撃してしまう。
問い詰められた悠太郎は言い訳に必死だったが
め以子の怒りは治まらず、周囲の人間も持て余してしまうほど。
そして、悠太郎が寝言で亜貴子に謝るのを聞いてしまった め以子は
ついに悠太郎を家から追い出してしまうのだった。
途方に暮れる悠太郎は偶然(?)にも亜貴子に出くわして、そのまま亜貴子の家へ。
悠太郎は亜貴子からカレーを振る舞われる。
二人でカレーを食べる中、亜貴子が涙を流す。
「悠ちゃんと こんなことするなんて2度とないって思ってた、私の夢やった」
悠太郎は、思わず亜貴子を後から抱きしめる。
しかし、亜貴子は、夫のミツオが亡くなった悲しみを断ち切れていないのだ。
特に、亡き夫にとってカレーは大好物であって、料理の上手くない自分だが
「美味しい」と口にしながら食べてくれるのが、一番嬉しかったという。
ありのままの思いを語り合う中、亜希子は亡き夫へ、悠太郎はめ以子へ
それぞれの愛情を思い出し、お互いの気持ちを尊重するようになってゆく。
そして二人は、それぞれの幸せへの祈りと思いを馳せて、別れることに。
あらすじ 14週 1月6日(月)~1月11日(土)
時は流れ1932(昭和7)年、め以子(杏)は大阪の地にも すっかりなじみ
1女2男を育てる3児の母として、日々子供たちの世話に奮闘している。
悠太郎(東出昌大)は竹元(ムロツヨシ)の移動命令により
大阪の地下鉄建設に関わることに。
希子(高畑充希)もすでに女学校を卒業し、ラジオ放送局に就職している。
め以子は、食べものに全く興味を示さず
何を考えているかわからない長女のふ久(原見朋花)に悩んでいた。
ある日、ふ久が近所の男子に石でけがをさせる騒動が起きる。
問いただすめ以子に、石を落としただけと返事するふ久だか
実は事件の原因は、ふ久の引力への興味からだった。
落ちない石を見つけたくて、試しに上の階の窓から石を落としたところ
たまたま下を通りかかった近所の男の子をにケガをさせてしまったという。
さらにその後、小学校でボヤを出し、遂には停学になってしまう。
いよいよ、ふ久が普通でないのではと思い、真剣に悩み始める め以子。
悠太郎に打ち明けるが、逆に母親としての自覚を問われて言い合いになる。
め以子は正蔵(近藤正臣)にアドバイスを求め
改めてふ久に真正面から向き合おうと決意。
そして ふ久をよく観察してみると
ふ久が浮力や重力による物理現象に強い興味を持ち
いろいろな実験を自分なりに試みていたことを知る。
ある日、普段はまったく食べ物に興味のないふ久が
露店のアイスクリンには珍しく興味をそそられ、勢いよく食べはじめる。
自分の作った料理には、こんな反応を示されたことのないめ以子はショックを受けるが
ふ久から家でアイスクリンを作ってくれと頼まれて張り切る。
そして、め以子が作ったアイスクリンを食べて、初めて「美味しい」と言う ふ久。
今まで め以子の作った料理しか食べたことのなかった ふ久は
ほかの食べ物と比べて め以子の作る料理が美味しい事を知らなかったのだ。
そして、め以子が「見えない力」を出してご飯を作ってくれるのだからと
喜んで食事をとるようになり、め以子を感動させるのだった。
一方、悠太郎は竹元の厳しい要求と難事続きの現場との板挟みの毎日。
現場でけがをした悠太郎は、担ぎ込まれた病院で亜貴子(加藤あい)と再会する。
その後も、亜貴子のことばかりを ついつい考えてしまう悠太郎。
傷口の消毒をしに再び病院に行った時、亜貴子から思いがけない告白をされて動揺する。
あらすじ 13週 12月23日(月)~12月28日(土)
1
冬が近づく頃、悠太郎が参加していた小学校の建設が
コンクリート造りになることが決まった。
竹元が言い出したのだ。
関東大震災の調査も済んでいないので
時期が早すぎると反対する悠太郎だったが
悠太郎の責任感と経験を信頼する竹元と
上司の大村、藤井の推しもあり
悠太郎が責任者となるのだった。
そんな悠太郎がある日帰宅すると、め以子たちの様子がおかしい。
どうやら年末に宇野一家が西門家に来たいと言っているらしい。
2つ返事で了承する悠太郎に
め以子は言いにくそうに正蔵も呼びたいと切り出した。
みるみる表情を変える悠太郎。
正蔵がしてきたいい加減なことを今だ許せない悠太郎だった。
岩淵護という男がある日訪ねてきた。
聞くと正蔵の下で働いていたという。
め以子が正蔵のところへ案内すると
正蔵は岩淵の姿を見て凍りつき2人で家の中へ消えてしまった。
怪しむめ以子は、かつての正蔵の仕事について西門家の面々に聞くが
不思議なことに誰も詳しくは知らないのであった。
年末が近づき西門のおせちを教えてもらっため以子は日々アイデアを練っていた。
そんな中、大五たちが大阪へ到着する。
喫茶うま介で再会した宇野家の家族。
あいかわらずのやり取りをしながら西門家へに迎えられた。
姑と小姑を怖がっていた大五だったが、お静と希子に迎えられ安心する。
照生はひとつ下の希子を意識しているようだ。
お静と希子も気取らない大五に好感を持ったようだった。
2
仕事納めの日、悠太郎は竹元に
コンクリートの設計に自信が持てないことを話した。
震災の被害を目の当たりにし、安全性に確信が持てないのだ。
小学校の図面も、結局提出できなかった。
腹を立てる竹元。
「責任を負う覚悟が足りていない、失望した」と悠太郎を追い出す竹元。
完璧な安全を追求しすぎるが故の葛藤だった。
夕食時、悠太郎の口数の少なさに気付いた大五は
「何でも話してみろ!」と悠太郎の悩みを聞く。
しかし、あいかわらず難しい話は大五にはわからない。
2人の会話に何気なく口を挟んだめ以子。
こっちの父ちゃんに相談してもダメよ、あっちのお義父さんに・・・
大失言だった。
大五たちには正蔵はまだ死んだことになっていたのだ。
聞いてねえぞ!悠太郎に食って掛かる大五。
信用していた悠太郎から隠し事をされていたと知った大五は
怒り心頭で部屋を出ていってしまう。
夕食の後、ふて寝をしていた大五の気持ちがイクはよくわかる。
しかし、それが嫁に行くということ。
そこへお静もやってきて、正蔵が飛び出した原因は
自分と和枝にあることを説明する。
大五も自分の短気を反省するが、翌日、無言でどこかへ出かけていった。
大五は正蔵に会いに行ったのだった。
案内役は、食材を調達しているときに偶然再会した源太だ。
てっきり正蔵はやくざな人間と思っていた大五は優しげな正蔵に面食らった。
家の中に招かれ、酒をご馳走になる。
調子が狂った大五は悠太郎から聞いた話を正蔵にするのだった。
なかなか帰ってこない大五を、悠太郎は探しにいった。
その二人が酔っ払って仲良く肩を組んで帰ってきた時、め以子は大変驚いた。
正蔵と飲み、酔っぱらった大五の元に悠太郎が来て
そのあと、大五と悠太郎は酒場で腹を割って話しあったらしい。
悠太郎は正蔵について
振り上げたこぶしを下ろすきっかけがないだけと大五に告白したのだ。
非情に共感できる大五は、悠太郎と意気投合したのだった。
俺よお、悠さんと血がつながってきた気がするわ・・
ボクもです!お義父さん!
3
男達はもちつき、女たちはおせち作りに大わらわの大晦日。
め以子と希子は正蔵のところへ御節を届けに行くことになり、他は一休みすることに。
すると、希子が慌てて戻ってきた。
生まれそうです!
正蔵のところからの帰り道で産気づいたのだ。
支えられ帰宅するめ以子。
苦しみながらも、つきたてのもちを食べる。
そして、悠太郎に正蔵からの手紙を渡した。
手紙には、語られることの無かった正蔵の過去の仕事が書かれていた。
鉱山技師として胴の精製をしていたこと。
鉱毒の被害が深刻だったこと。
対応する仕事を任されたこと。
悠太郎達の母がなくなったことをきっかけに全てから逃げ出したこと。
逃げだしたことで失ったもの。
以前訪ねてきた岩淵という男はかつての正蔵の部下だった。
抗議運動をしていた人の遺髪を持ってきたのだ。
彼は、いまでも正蔵が逃げ出した現場に残っていた。
正蔵の手紙には、仕事に対する姿勢を反面教師として伝えられた、と書かれていた。
悠太郎には、自分のようになってほしく無いということも。
気がつくと悠太郎は、正蔵の長屋へ走っていた。。。。。
長年の確執が解消した悠太郎と正蔵は無事生まれた赤ん坊と対面する。
頑張っため以子は腹ペコだ。
悠太郎が食べさせる年越しそばをおいしそうに食べるのだった。
4
そのころ他のみんなは、名前の由来について盛り上がっていた。
室井が「め以子」の名前の由来を大五に尋ねる。
命の子は大げさすぎるので、かなで崩してめ以子
照生は、最初生きとし生けるものを守る「天道」だったが
「生きることを照らす」ということで、「照生」に。
西門家の名前の由来は、正蔵が答える。
美しい文字を一文字ずつ。
和枝には「和合」の和、悠太郎には「悠久」の悠
希子には「希望」の希。
そうして大晦日の夜は更けていくのだった。
元旦の朝、め以子が作ったオリジナルのおせちがならぶ。
独特な料理に、め以子なりに込めた祈りの意味を話す。
希子が波に乗っていくように、海苔を使った波型の料理。
お静がずっとおふくろでいてくれるように、袋で縛った料理。
大五には、鯛の子を使った駄洒落料理。
照生には、大五を超えるように中に鯛を使った料理。
正蔵には、見守っていてくれるように蓮根を望遠鏡に見立てた料理。
和枝、め以子自身には、「うまいこといわしていきたい」鰯を使った料理。
悠太郎には、ふぐを使った料理。
ふぐを食べられるようにするまでには、多くの人が命を落としている。
その人たちのおかげで美味しく食べられる。
悠太郎の仕事を応援する祈りを込めたものだ。
そのとき、大五が叫んだ。
この子の名前!福じゃないか??
ふ久と字を開くと、悠太郎の「久」と同じだ。
これしかねえ!!
悠太郎とめ以子が赤ん坊に呼びかけると、
赤ん坊は、答えるようにふっと目を開いた。
あらすじ 12週 12月16日(月)~12月21日(土)
1
悠太郎の上司藤井から関東大震災が起こったという知らせが入る。
しかし、め以子の実家も桜子の実家もまったく状況がつかめない。
そんな中、室井と悠太郎は東京へ向かうことになる。
め以子は避難所での炊きだしに出かける。
大阪の避難所では東京からの被災者を受け入れていた。
そこで、め以子は実家のある本郷の隣町から避難してきた女性を見つける。
不躾に家族の安否を尋ねるめ以子に、反発する谷川ふみという女性。
自分の無神経さに落ち込むめ以子。
お詫びに、炊き出しをもっていくが、ふみは料理をはねつけてしまう。
食べることの大切さを語るめ以子だが
そんなめ以子を平手打ちして、ふみは叫んだ。
「あんたに私の何がわかるの!」
被災者の神経を逆なでしてしまっため以子は
避難所への出入りを禁止されてしまう。
正蔵に胸のもやもやを聞いてもらうめ以子。
不安を紛らわすために避難所へいき
面倒を起こしてしまったことに自己嫌悪になるめ以子。
そんなめ以子に正蔵は、自分を引き合いに出し
人の役に立てることのありがたさを説いた。
自分が救われ、それが人の役に立ったら素晴らしいこと
という正蔵の言葉が残っため以子は
表に出ないという条件で、再び炊き出しに参加させてもらうようお願いする。
しかし、ふみは物を口にしなくなっていた。
誰が説得をしても、食べないらしい。
どうやら、め以子が原因というわけでもなく理由は不明だ。
なんとかしなければと、頭をひねるめ以子に、東京の悠太郎から手紙が届いた。
手紙には、め以子の家族、従業員含め全員が無事だと書かれていた。
ほっとするめ以子だったが、ふみのことを思う。
ふみは、自分だけが生き残ったのかも・・・
人の気持ちになることの難しさを痛感するめ以子。
2
ある日源太は、ふみについてわかったことをめ以子に伝えた。
ふみは、火が元で自分だけ助かったらしい。
食事を取らないのは、自分を責めているのではないか・・。
そんな中、ついにふみが倒れてしまう。
空腹で起き上がれなくなったふみ。
病院へつれていくことになった源太だったが
ふみの傍らで、源太は七輪でさんまを焼き始めた。
流れてくるさんまの匂いに
ふみが涙を浮かべていたのを見逃さなかったのだ。
さんまを無言で見つめるふみ・・・。
ふみは、あの頃を思い出していた。
いつもさんまが並んでいた食卓。
さんまが大好物なふみに、子供達と夫が、からかいながら
さんまを分けてくれた、あの、いつもの団欒。
お母ちゃん、さんま好きだよねぇ
沢山食えよ
震えるふみの手に、さんまを渡す源太。
涙を流しながら、さんまを食べるふみ・・・。
その日以来ふみは食事を取るようになった。
日がたち避難所にはふみだけになった。
そのふみも、東京に戻るという。
め以子のぬか漬けもいろんな人の手に渡っていった。
炊事場を掃除しているめ以子の元に、ふみがやってくる。
ふみは、炊き出しをめ以子が作っていることに、とっくに気付いていた。
自分だけが助かったのに、お腹はすく
それが情けなかったというふみ。
痛いほど気持ちがわかるめ以子。
ふみへの言葉は自分でもわけがわからないものだったが
十分ふみにはめ以子の気持ちが伝わった。
め以子の料理に助けられたというふみの言葉に
め以子は、熱いものがこみ上げ何もいえなくなるのだった。
そうして、避難所は役目を終えた。
3
室井が東京から戻ってきた。
桜子の家族と民子の無事を伝える室井。
しかし、恩師である宮本が亡くなっていた。
ショックを受けるめ以子。
その日は、皆で桜子たちが作ったおでん(関東煮)を囲んだ。
食を大切にしていた先生の弔いでもある。
夜もふけた頃、酔いの回った室井が語りだした。
大変な光景を目にしてきた室井が
東京で炊き出しのおでんを食べようとしたとき。
余震でなべがひっくり返ってしまった。
その鍋のそこにくっついていたのが、こげた大根だった。
他の具がひっくり返った後に残された大根は
全力で旨くなければいけないんだ!
室井は、残った鍋底大根として、執筆を誓ったという。
帰還した悠太郎は家のよさをかみ締めた。
そして、め以子から室井の話を聞き、真剣な表情でうなずくのだった。
翌日出勤した悠太郎は、竹元に呼び出される。
被災した東京の建物の被害を興奮しながら確認する竹元。
そんな竹元に、悠太郎は反感を覚える。
あなたは見ていないから!
しかし、竹元は悠太郎に言い返した。
そうだ!見てきたのはお前だけだ!お前はそれを自覚しろ!
悠太郎の報告は、確実に都市計画に影響する。
何も言い返せず、釈然としないまま帰宅する悠太郎は
いつもどおりのめ以子と、美味しいご飯に笑顔を取り戻すのだった。
あらすじ 11週 12月9日(月)~12月14日(土)
①
和枝が交際している安西先生が家族に会いたいと言い出したらしい。
結婚を前提か、と大混乱に陥る西門家。
和枝自身も冷静さを失っているようで、め以子に
悠太郎の嫁らしくするように、そして当日の料理の相談と
その手伝いもするようにお願いしてくる始末。
大張り切りのめ以子に、和枝は鰯(いわし)づくしを提案する。
うだるような夏の日に安西はやってきた。
西門家全員が同席する中、和枝とめ以子が腕によりをかけた料理が並べられる。
物珍しそうに、何の料理か尋ねる安西。
出身を確認する和枝に、安西は
貧乏な育ちでこんなごちそうを食べられなかった、と言う。
安西の正直さに感激する和枝だったが、釈然としない悠太郎と静だった。
次の日、和枝は求婚されたことを皆に伝えた。
和枝も正直に西門家の洗いざらいを話したが
安西は受け入れてくれたという。
しかし悠太郎は、和枝の株仲間の倉田から
和枝が持っていた株が当たったことを聞く。
悠太郎から安西に疑いをかけられ、不安になる和枝。
実は和枝は、安西から先物買いを勧められていたのだ。
しかし、和枝が出資をやめようとすると、安西は縁を切ると言い出した。
結局、和枝は金を渡し、株券を悠太郎に持ってきた。
和枝は最初から、悠太郎に渡すつもりだった。
悠太郎とめ以子は、和枝の気持ちを知り、何もいえなかった。
め以子は和枝に氷り出し玉露の入れ方を教わりながら
和枝の擦り切れた巾着を縫おうかと聞いた。
和枝はとても大切にしていたが、め以子の申し出は断った。
意外に思っため以子は、和枝の再婚報告も兼ねて正蔵の元を尋ねる。
和枝の巾着は亡くなった息子の形見だった。
和枝は息子を亡くして以来、ずっと苦労続きだった。
そして、そのたび巾着を心のよりどころに気張ってきたのだ。
これだけ不幸だから、必ず幸せになれる、と。
擦り切れた巾着は、「もうそういう生き方をやめてもいい」
というメッセージではないかと和枝は思うのだった。
②
悠太郎は、市役所で建築家の竹元と再会した。
京都帝大に赴任してきたという竹元に、安西のことを尋ねると
まったくの別人だということが発覚した。
和枝は騙されたのだ。
和枝が投資した会社は存在しない会社だった。
この事件は組織的なもので、被害者50人。
被害総額百万円の大事件になり、報道された。
安西を演じた本名も知れない詐欺師は、行方をくらましたまま。
その後、抜け殻のようになっていた和枝がいなくなった。
蔵にいるかもしれないという、正蔵の言葉に
みんなが家に戻ると、鍵が締められている。
戸をこじ開け入ると、家の中はガス臭かった。
和枝がマッチを手にしていた。
手を振るわせる和枝に正蔵と悠太郎が飛び出す。
マッチを叩き落し、ぐったりしている和枝を、正蔵が揺さぶった。
詐欺師の思うつばやろ!生きて見返してやろうと思わなあかん!
その言葉に和枝は叫んだ。
ずっとそうしてきたやんか!
なんで、わてだけこんな目にあわなあかんねん!
もう疲れたんや!
誰も声をかけられない中、希子が口を開いた。
それは不幸せを他人にやり返す理由にはならない。
本当にいいことがひとつもなかったの?と希子は和枝に問う。
責めているのではない。
震えながら希子は和枝に訴えた。
無言のまま、和枝が立ち去ろうとしたとき
め以子が腹を押さえてうずくまった。
③
め以子が休養のため働けなくなると
和枝が台所に立つようになった。
誰とも口は利かなかったが、皆が和枝の再生を願って信じていた。
和枝からめ以子へ用意される食事は、優しい味だった。
希子はめ以子の変わりに市場に行き
め以子のために食材をたくさん分けてくれる皆に
め以子が愛されていることを実感する。
希子が帰ると、お静がめ以子に三味線を聞かせている。
大喜びのめ以子と談笑する2人。
洗濯物を持ってきたまま、中に入れない和枝は
そっと洗濯物を置いて立ち去った。
め以子は、苦手だった鰯(イワシ)を初めて美味しいと思った。
和枝の鰯料理は絶品だ、そして和枝の家事は完璧だった。
完璧にこなせるからこそ、あのいけずだったのだ、とめ以子は思う。
うれしそうなめ以子の顔を見て悠太郎は複雑だった。
和枝を励まし続け支え続けた株仲間の倉田が、新しい縁談を持ってきたのだ。
どんどん肩身が狭くなるんじゃないのか?という倉田の言葉には重みがあった。
しかし、今その話をすると、和枝を追い出す形になってしまう・・。
そして、1週間ほど経ち、め以子が動けるように医者の許可が出た。
裁縫をしている和枝は、過去を思い出していた。
姑に切られていた、和枝が息子のために心をこめて縫ったおむつ。
そのときめ以子が鰯を持ってやってくる。
裁縫を隠す和枝。
鰯料理を教えてほしいというめ以子。
和枝は、無言で鰯をさばいていく。
必死にまねしながらめ以子は、和枝へ気持ちを伝える。
和枝の料理が好きなこと、自分が未熟で許せなかったであろうこと
これから、直していくためいろいろ教えてほしいこと。
ふと、め以子が気付くと、和枝は無言で涙を流していた。
あかん。どないしてもあんたを好きになんか・・なれへんわ。
許されたほうがどんだけ惨めかなんて、思いもつかんやろ!
出て行こうとする和枝に必死に訴えるめ以子。
④
和枝は、め以子を押し、め以子は階段を数段滑り落ちてしまう。
これでもまだ好きなんていえるんか!?
呆然とするめ以子。
もう出て行ってください。
よくわからない涙を流しながら、め以子は言った。
それでええんや。わてをおいだすんは、あんさんや。
それから、ほどなく和枝は倉田の別荘に移ることになった。
数日後尋ねてきた倉田によると、和枝は落ち着きを取り戻したらしい。
庭弄りをしながら、以前に話した農家の縁談を気にかけているらしかった。
誰も和枝のことを知らない場所へ行ったほうがいいと倉田は考えていた。
和枝の荷物をまとめるめ以子は、縫いかけのおむつを見つける。
泣けてくるめ以子に、悠太郎は
姉さんに一番のいけずをしないか?と子供のように笑った。
和枝が農家へ旅立つ日。
駅へ向かう途中、め以子がまっていた。
和枝が大好きだと、ぬか床を差し出すめ以子。
不快そうに断る和枝に、め以子は言った。
これはいけずなんです!
どれだけうっとうしがられようが
和枝のことを好きといい続けることが、め以子のいけずだという。
和枝は、ぬか床を受け取り道に叩き落した。
あんさんのために、割ったってんで。
なんぼでもいけずができるように。
そう言って笑う和枝。
また送る、と言うめ以子を背に
和枝は、久しく見せていていない笑顔になっていた。
そんあなある日、め以子は和枝への荷物を包んでいた。
時刻は9月1日の昼時。
ふっとあたりが揺らいだ。
後にそれは、関東大震災と呼ばれた揺れだった。
あらすじ 10週 12月2日(月)~12月7日(土)
め以子は、正蔵(近藤正臣)を西門家に呼んで
みんなで一緒に獅子舞を見たいと思っていた。
話を聞いて戸惑う希子(高畑充希)。
め以子が「過去とは変わった」という正蔵に
静(宮崎美子)も興味がある様子だ。
正蔵を訪ねため以子だが、酒を飲んだ正蔵にのらりくらりとかわされてしまう。
それを物陰から見ていた静は、昔と変わらない正蔵に腹を立てる。
め以子と希子が正蔵のところから帰宅すると
放心状態の和枝(キムラ緑子)が座っていた。
嫌味もなしに立ち去る和枝を不思議に思っていると
酔いつぶれた静が、悠太郎と室井に担がれて帰ってきた。
正蔵の悪口ばかりの静は「ハモニカ」を注文したという。
楽器のハーモニカではないらしい。
悠太郎もしらないというハモニカが何なのか室井は気にしていた。
食事中、悠太郎に静のことを聞かれため以子は
天神祭と正蔵のことを話した。
みるみる不機嫌になる悠太郎。
め以子の説得もはねつけられてしまう。
翌朝、気まずい雰囲気の中で朝食を食べていると
和枝が久しぶりに顔を出した。
久しぶりに一緒に食べるという。
そして、和枝が謎の思い出し笑い。
和枝は、静の具合まで心配したのである。
一体、和枝に何があったのか・・・。
悠太郎は天神祭の準備で、上司大村に連れまわされていた。
そして、毎回飲み屋につき合わされるのだが
そこで信じられないものを目にする。
「姉さん逢引しとった・・」
め以子と希子に、和枝が外で食べてくることを伝える悠太郎。
安西真之介は京都大で経済学を教えており
和枝は株のことを教えてもらっているらしい。
翌朝、色気付く和枝に嫌味を言う静。
正蔵に人生を狂わされたという静に、和枝は
「居座ったのはあんただ」と切り返す。
静を気遣うめ以子だったがお静はめ以子すら受け付ける様子は無かった。
静に冷たくされ、うま介でメレンゲを混ぜるめ以子の元に、室井がやってきた。
ハモニカの正体がわかったらしい。
室井が調べたところによるとハモの形をしたお菓子らしい。
天神祭の夜店で昔出ていたことがあるらしい。
早速正蔵に聞きにいくめ以子。
正蔵はハモニカは知っていたが、静とハモニカの関係は知らないという。
あまりに軽い調子の正蔵に頭にくるめ以子。
うま介に戻った怒れるめ以子だったが、みんなの言葉でハモニカを作ることになる。
悠太郎の上司の大村からハモニカの材料を教えてもらうめ以子。
家に帰ると、和枝と希子が翌日の天神祭の準備をしている。
和枝は天神祭の日は、安西に大阪案内するために出かけると言った。
みんなで天神祭を楽しみたかった め以子はがっかりする。
悠太郎も大村の手伝いで、こき使われることになるという。
更には、静も芸者として料理屋に出るという。
実は前日、なじみの客から声をかけられたとき
静は芸者に戻ることを女将に告げていたのだった。
あいかわらず正蔵が女たらしをしているのを見ての決断だった。
みんなが出て行ってしまい、め以子はやさぐれていた。
め以子のハモ料理が食べたい、と思いやる
希子の優しさに心打たれて め以子が立ち直ったとき
買い物に行った希子が室井と帰ってきた。
桜子と馬介も来ると言う。
思いがけない賑わいとなった天神祭。
そこへ、ひょっこり和枝が帰ってくる。
天神祭について説明したところ、家族と過ごしたほうがいいと帰されたらしい。
そんな和枝を室井は、「どうもどうも一度話がしたかったんです」と客間に連れ去っていく。
室井と桜子のペースに乗せられ和枝が、安西との出会いの説明を5周したところで
源太が風呂敷をもってやってきた。
源太が説明しようとしたとき、希子が獅子舞の到着を知らせる。
表へ駆け出す一同。
やってくる獅子舞に興奮するなか、め以子は「はっ」と振り返った。
そこには静がいた。
やきが回ってしまい、抜けてきたと言う。
静はかつての、千代菊はもういないのだ・・と悟ったのだ。
獅子舞が近づいてきた時に希子が叫んだ。
「お兄ちゃんやー!」
なんと獅子舞のなかで奮闘しているのは、悠太郎だった。
そして、獅子舞の向こうに一瞬、正蔵の姿が見えた。
驚く、め以子、お静、希子。
獅子舞が通り過ぎた後、源太が持ってきた風呂敷をあけると
中にはお菓子のハモニカが詰めてあった。
涙をこらえながら、ハモニカを頬張る静。
家族全員で天神祭を迎えることが出来たのは小さな奇跡だった。
お静に入れあげた正蔵が、お静を酔わせ一筆書かせたという馴れ初め。
その結果、お静は芸者をやめ人生を狂わされた。
これは、偽りだった。
本当は、酔わせて一筆書かせたのはお静の方。
お静の部屋を訪ねため以子は、お静から驚きの事実を聞く。
お静がまだ小さかった頃、姐さん芸者の使いで買ったハモニカを
転んでダメにしてしまったとき、若かった正蔵がくれたのだという。
それから月日が流れても、お静は正蔵を忘れたことは無かった。
そして、芸者となったある日、落ちぶれた正蔵と再会する。
一目でわかったお静は、その日のうちに一緒になったのだという。
正蔵がついたうそは、元々和枝とお静のケンカの中で、お静が言い返した言葉だった。
それに正蔵があわせていたのである。
そのころ正蔵の長屋では、源太が正蔵と月を見ていた。
「帰りたいなら帰ったらいいのに」という源太に
「13のときから家長やってきた男がいる。
戻らないのがせめてもの筋だ」と正蔵は返した。