『マーケティング』をアカデミックに斬る!

pitot
経済学を応用して、『マーケティング戦略』や『企業と消費者の関わり方』を日夜考えている研究者たちの発見をセレクトしました。アカデミックなアプローチでマーケティングを考えるとどうなるのか!?

(1)「試し買い」は極めて論理的な行動なのか!?

商品を買うとき、消費者は、いままで買ってきたのと同じ商品を買うこともできるし、いままでと違う商品を試しに買ってみることもできる。「いままでと同じ商品を買う」行動と、「知らない商品をサンプルする」行動を、経済モデルで表したのがErdem and Keaneの研究。

consumers may sample (i.e., buy) different brands exclusively to gather information about them
Erdem and Keane (1996)

消費者は、異なるブランドに関する情報を集めるために、その商品を「サンプル(購入)」することがある

When consumers first enter the market for a frequently purchased product, they may sample brands to gather information
Erdem and Keane (1996)

頻繁に購入するつもりの商品を買うとき、消費者ははじめ、さまざまなブランドをサンプルして情報を集める

Eventually the purchase decision process become routinized (i.e., the expected cost of additional search exceeds expected benefits) and consumers may buy a subset of brands repeatedly.
Erdem and Keane (1996)

次第に、購入に関する判断はルーチン化し(換言すると、新たなブランドをサンプルする手間が、新たなブランドから得られるかもしれないベネフィットを上回る)、消費者は同じ商品を繰り返し買うようになる

However, the sampling activity for learning purposes may be resumed at certain times due to attribute changes, brand introductions, …, dramatic price cuts for unfamiliar brands etc.
Erdem and Keane (1996)

しかし、知らない商品をサンプルする行動は、商品の属性の変化、新たなブランドの投入、知らないブランドの大きな値下げなどによって、再開することがある。

Erdem and Keaneは、このモデルを、液体洗剤の市場に適用してみた。

はじめに購入したブランドを充分に気に入った消費者は、ほかの商品をサンプルしない。購入した商品が気に入らなかった消費者は、満足のいく商品が見つかるまで試し買いを続ける。こうして、消費者の間で購入パターンが変わってくる。Erdem and Keaneはこれを、経済モデルで説明した。

Brand loyalty is formed over time via positive use experience
Edrem and Keane (1996)

ブランド・ロイヤリティは、商品のポジティブな使用経験によって、次第に形成されていく。

(2)テレビCMで大統領選の結果が覆る!?

広告の効果を正確の測定するのはむずかしい―たとえば、売れる見込みの商品に対して、重点的に広告が打たれているとすれば、広告に効果がなくても、「売上」と「広告」に正の相関が生まれる。こういう相関を考慮しつつ、大統領選における広告の効果を考えたのがGordon and Hartmann (2013)。

We examine advertising effectiveness in presidential elections, potentially one of the most important contexts in which to study advertising.
Gordon and Hartmann (2013)

私達は、もしかすると広告を知るうえでもっとも重要な環境のひとつかもしれない、大統領選における広告の有効性を検証した。

経済学の理論を用いて、Gordon and Hartmannは、それぞれの候補の広告による説得力や、人が投了するか否かの判断をモデル化した。

our model and estimates imply advertising’s persuasive effects drive up Gore’s electoral votes, but turnout effects run in favor of Bush
Gordon and Hartmann (2013)

我々のモデルと推計は、広告の説得的な効果によってゴア候補の投票が増えるものの、ブッシュ候補を支持する人の投票率が伸びることを示している。

Gordon and Hartmannは、広告の効果をわかりやすく示すため、「もし仮に、2000年の大統領選でCMがなかったら?」という架空のシナリオを再現する。

Under zero advertising in 2000, Bush would have won Oregon, but lost Florida and New Hampshire to Gore.
Gordon and Hartmann (2013)

2000年の大統領選に広告なかったシナリオのもとでは、ブッシュ候補はオレゴン州の選挙人票を獲得していたが、フロリダ州とニューハンプシャー州の票をゴア氏に奪われたいたかもしれない。

広告がなかったら、2000年大統領選で当選していなかったかもしれないブッシュ大統領。

Our findings illustrate that advertising is capable of shifting the electoral votes of multiple states and consequently the outcome of an election.
Gordon and Hartmann (2013)

我々の研究は、広告が、複数の州の選挙人票を変え、その結果として、選挙の結果をも変えることができることを示している。

https://matome.naver.jp/odai/2138491673423206101
2013年11月24日