インドの超巨大市場、代理母出産ビジネスの闇

zeromine
インドの代理出産ビジネスについて、倫理や感情論を除外し、実際に問題となっている実害に焦点を当ててまとめました。代理母出産に否定も肯定もしていませんが、法整備がないインドの代理母出産を伝えます。

インドは代理母出産ビジネス大国

2012年7月の国連発表では、インド全土に3,000以上の不妊治療クリニックが存在し、4億ドル以上の代理母出産ビジネスと推定
As surrogacy industry booms; India seeks controls – NBC News.com

インドは2002年に商業代理出産の市場を解放しました。2013年初頭には年間20億ドル(約1800億円)と発表。そして2014年には60億ドルを超えると推定されています。

医療技術が高度であることや代理母出産に関する規制がないことに加えて、先進国に比べて代理母出産にかかる費用が安価である
インドで急拡大する医療市場
注目は代理母出産ビジネス:日経ビジネスオンライン

インドの代理母ビジネスは、安価で合法的に親となれることから、子どものいない外国人カップルらが大挙し大繁盛
「子宮貸します」、インドで急成長の代理母出産ビジネス 写真3枚 国際ニュース : AFPBB News

外国人の内訳は英国・米国・アラブ首長国連邦など。なお、近年は日本人も多く含まれます。普通、1000万円かかるところを200~300万円で済むためです

インドの代理出産業界の不妊治療クリニックは「金持ちのための”赤ちゃん工場”」以外の何物でもない
India’s ‘rent-a-womb’ industry under scrutiny

インド女性の権利団体が述べました。

代理出産の背景

大都市には先進国並みの設備と技術を備えた私立病院があり、外国から医療を受けに訪れる「医療ツーリズム」も盛んに行われる
人口12億人を支えるインド医療の多様性 < 世界の医療 | 健康かけいぼ

最先端の医療を安価に受けられます。この事が代理出産ビジネスにも拍車をかけています。

インドの貧困女性の間で、富裕層の夫婦の代理出産をすることが人気となっている
インド、貧困女性による英米夫婦の代理出産増加、法律は未整備(7月26日) – La Golondrina

高額の報酬が魅力的にうつるからです。また、マスコミや業者の宣伝効果で代理母がステータスの一種と錯覚させられる人も多くいます。

いくつかの悪徳エージェントが、未教育の無学な貧困女性に代理出産契約の署名を勧める
In India, a rise in surrogate births for West – The Washington Post

これが一番の問題です。リスクを含めた全ての知識を得て代理母になるのではなく、リスクを知らないまま代理母になる女性が後を絶ちません。

法律面の弱さ

数年前からタイでの商業的代理出産は同国内で違法。他国も規制は厳しくなっているが、インドは今も、代理出産で赤ちゃんが誕生
代理出産ドットコム/代理出産コーディネーター Baby for All公式サイト

2005年に政府は代理出産の規制や補助·再生診療所のためのガイドラインを発表。 しかし法案は議会で導入されていない
In India, a rise in surrogate births for West – The Washington Post

引用元は2013年7月26日の記事です。つまり現在もガイドラインが法整備化されていない事になります。

最近になって外国人の同性愛カップルや独身者の代理母ビジネス利用を禁止した。この点を除けば、代理母ビジネスへの規制は、ほぼない
「子宮貸します」、インドで急成長の代理母出産ビジネス 写真3枚 国際ニュース : AFPBB News

これまた同性愛偏見だのと別の人権団体に騒がれました。また法律が成立してから独身男性が代理母を依頼し実際に出産していたケースもあります。

女性の動機

代理母女性のほとんどが自分の子供を持っています。そして貧困に苦しんでいます。

私が代理母を引き受けたのは、子どもたちの将来のための預金が欲しかったから。それに子どもを持てない人たちが親になることを助けてあげたかった
「子宮貸します」、インドで急成長の代理母出産ビジネス 写真3枚 国際ニュース : AFPBB News

ほとんどの代理母女性が同じ事を理由にしています。

彼女は日本人カップルの赤ちゃんを妊娠し8000ドルを受け取る。英語圏の学校に二人の子供を通わせ、新しい家を購入する。「私は心から満足しているわ」
BBC News – Living inside the house of surrogates

そんな彼女も代理出産する子の話をする場合は無口になります。

代理母や子供にかかる弊害

日本人夫婦がインド人女性に代理出産を依頼して誕生した赤ちゃんが、誕生を前に夫婦が離婚したことが原因でパスポートがなく、インドを出国できないでいる
Because It’s There代理出産児、インドから出国できず~日本人夫婦が誕生前に離婚したことが影響

古いですが2008年におきた出来事。父親が引き取ろうとしたが、インドの法律では独身男性を女児の義父とする事ができず、また、孤児はインドを出国できない法律でした。このような問題は現在もあります。

障害や病気のある子が生まれて、依頼者にも代理母にも引き取りを拒否されたケースは多々あり、業者は子供を児童養護施設に送る
健康フレンドハローフレンドスタッフだより

代理出産契約は、代理母でなく依頼者の子供の健康が優先されることに代理母とその夫が同意する
インド代理母、合併症で死亡 その2 : 生殖テクノロジーとヘルスケアを考える研究会 [忘備録]

悪徳なクリニックの常套手段です。

代理母の事故死で病院の免許剥奪は起こらない
インド代理母、合併症で死亡 その2 : 生殖テクノロジーとヘルスケアを考える研究会 [忘備録]

代理母の家族への死後の保障もほとんどありません。なお、妊娠女性の出産死についてインドは全世界の19%を占めています(代理母以外も含みます。)

代理母のほとんどは保守的なインドで社会的不名誉にならないよう妊娠を秘密にする
India’s ‘rent-a-womb’ industry under scrutiny

代理母の病院での待遇など

不妊治療クリニックは普通に見れば、清潔で、一般的な先進国の病院と変わりません。

代理母は病院の寮に隔離され9ヶ月程過ごす
BBC News – Living inside the house of surrogates

家族や隣人とほとんど会うことはできません。なお、インタビュー先のクリニックは代理母に新しい仕事のためのスキルを教えるそうです。

あるクリニックはクライアントから280万円受け取り代理母に80万円支払う
Wombs for rent in India: Inside the ‘house of surrogates’ where | Mail Online

インドの平均月収は25,000円です。インドは貧富の差が非常に激しく代理母の平均収入は5,000円です。

早急に必要な法整備

子供と代理母、依頼する夫婦を守るために法整備を行うことは長年の懸案
India’s seeks to regulate commercial surrogate industry – CSMonitor.com

政府は法整備を行うよう圧力を受けています。

すべての不妊治療クリニックが政府に登録、監視する必要があり、違反者には厳格な処罰が必要
In India, a rise in surrogate births for West – Page 2 – Washington Post

代理母は21~35歳に制限し保険を提供。女性と依頼する夫婦の間でも公証契約を行う必要がある
India’s seeks to regulate commercial surrogate industry – CSMonitor.com

現在は40歳以上や未成年の代理母もいます。

関連リンク

インドのガイドラインです。ほとんど守られていない項目が多数あります。

https://matome.naver.jp/odai/2138058961776257701
2013年10月04日