暮らしの中の美を訪ねて 東北民芸紀行 I

笠井量雲
“地方に旅をなさる時があったら、この本を鞄の一隅に入れてください。貴方がたの旅の良い友達となるでありましょう。(柳宗悦『手仕事の日本』岩波文庫)

津軽塗

弘前を中心に作られてきた伝統漆器。その成立は寛文年間(17世紀末)にさかのぼるとされている。仕上げまでの工程は数十回に及び、堅牢性と複雑な模様とを特徴としている。

雪に深い町でありますから、店の前に更に軒を設けて雪よけの囲いをします。これがいわゆる「小店」でそれがどこまでも連なり、一種の風情を醸し出します。

その冬の日、この小店を縫って、店を次から次へと見て歩くのは、旅する者の眼を忙しくさせます。

すぐ眼に入るのは「津軽塗」であります。色漆を用いて雲形の斑紋を作り、それを研ぎ出して仕上げます。
柳宗悦『手仕事の日本』(岩波文庫)

あけび蔓細工

岩木山麓に群生するあけびを利用。江戸時代、湯治客への土産品としたのが始まりで、明治に入ってからは海外まで販路を広げたという。

また少し歩きますと通草細工が眼に止まります。この細工は秋田県や岩手県にも見られますが、仕事が盛んなのは弘前だといいます。便宜な材料でありますから、更に美しい形を与えたら、まだまだよい仕事に延びて行くでありましょう。
柳宗悦『手仕事の日本』(岩波文庫)

こぎん刺し

伝統的な刺し子の技法。野良着をこぎん(小布の意)と呼んだためにこの名がある。木綿を気軽に使えなかった津軽地方では、麻布の布目を刺繍で埋めることで防寒性を高めたのである。

ごく娘の時から習い始めるといいますが、随分手のかかる仕事で、刺子としてはこれほど念入りのものは他にありません。

狭い地域の中に自から特長があって、「東こぎん」「西こぎん」「三縞こぎん」などと名を附けて区別します。いずれも美を競うほどの出来栄であります。
柳宗悦『手仕事の日本』(岩波文庫)

2Fあおもり体験ホールに、こぎん刺し実演コーナーがあります。

南部裂織

古布を細く裂き、緯(横糸)にして織り上げた織物。南部地方では木綿の入手が難しく、その貴重な布を大事に使う中で生まれた。

様々な布が交るので、しばしば美しい彩を示し、白雪一色の冬の暮しを温めてくれます。
柳宗悦『手仕事の日本』(岩波文庫)

4Fものづくりスタジオに南部裂織作家、井上澄子さんの主宰する工房「澄」があります。

泊まってみたい こんな宿

樺細工

山桜の樹皮を用いた伝統工芸品。天明年間より、ほぼ220年の歴史をもつ。藩政期には藩主に手厚く庇護され、下級武士の手内職として作られていた。

樺細工は全く外国には見られず、日本の材料と日本の手技とから生まれた美しい仕事の一つであります。その色や艶やまた強さは、天与の賜物でありまして、この仕事の持つ大きな強みであります。
柳宗悦『手仕事の日本』(岩波文庫)

川連漆器

鎌倉時代、小野寺道矩が家臣に命じ、内職として武具に漆を塗らせたのが始まりとされている。本格的に産業化したのは17世紀中頃である。

雄勝郡に川連の町があります。漆器の産地で名が知られています。昔から形をくずさない品物は、伝統のお蔭で見ごたえがあります。
柳宗悦『手仕事の日本』(岩波文庫)

泊まってみたい こんな宿

秀衡塗

平安末期、藤原秀衡が京の職人に命じて漆器を作らせたのが発祥と記録には残されている。源氏雲、および菱形の組み合わせによる有職菱文様が特徴。

陸中の大部分は岩手県に属します。大きな地域を有つ県で、昔は南部領でありました。更に遡れば藤原一門の文化が栄えた所で、有名な平泉の「金色堂」は、その栄華の夢の跡を語ります。

南部の名を有つものに古くから「南部椀」があります。時にはこれを呼んで「秀衡椀」という人もあります。
柳宗悦『手仕事の日本』(岩波文庫)

泊まってみたい こんな宿

浄法寺塗

国産漆のうち6割を生産しているのが浄法寺町である。その良質な漆で作られ、天台寺山内で使われていた「御山御器」が浄法寺塗の起源とされている。

二戸郡の荒沢から荒物新町にかけて漆の業に従うものが少なくありません。界隈で有名な斎藤善助の邸の如き仕事が栄えた頃の面影をよく宿します。「浄法寺椀」の名も残りますが浄法寺は同じ街道にある村の名で、そこや一戸などに、今も市が立って品物を売ります。
柳宗悦『手仕事の日本』(岩波文庫)

鳥越竹細工

平安初期、鳥越観音を開いた慈覚大師円仁(794-864)。その円仁が技法を伝えたともいわれるから、鳥越竹細工の歴史は古い。この地に自生する良質なスズタケの、その一年物だけを使った細工は弾力性に富み、使い込むうちに独特の艶が出る。

陸中のものとしては竹細工も挙げねばなりません。二戸郡の浪打村鳥越が最も沢山作る部落であります。かくて近くの一戸、福岡などの荒物屋に数多く運ばれます。南国の竹細工とは全く違うもので、細い篠竹を材料とします。土地では「黒竹」とそれを呼びます。
柳宗悦『手仕事の日本』(岩波文庫)

小久慈焼

ちょうど200年前の江戸後期、初代熊谷甚右衛門が相馬焼の陶工を招き、技術を学んだのが起源とされている。地元久慈の粘土と釉薬を使って焼かれる。

この国の唯一の窯場としては九戸郡の久慈があります。白釉や飴釉で片口だとか鉢だとかを焼きます。
柳宗悦『手仕事の日本』(岩波文庫)

安比塗

岩手県北部に位置する安代も、国内有数の漆採取地である。その良質な漆を使った安比塗は透明度が高く、また堅牢性に優れている。

南部紫根染

南部の名といつも結ばれるものに「南部紫」があります。紫とは紫根染のことで、この紫で今も絞を染めているのは、わずか盛岡と花輪だけのようであります。共に茜でも染めます。どんな紫もこの紫根の色より気高くはありえないでしょう。
柳宗悦『手仕事の日本』(岩波文庫)

南部鉄器

南部といえば誰も鉄瓶を想い起こします。それほどこの仕事は盛でありました。盛岡の町には大きな店構えが並び今も仕事を続けます。
柳宗悦『手仕事の日本』(岩波文庫)

お洒落な地元誌を見つけました!!

泊まってみたい こんな宿

https://matome.naver.jp/odai/2138035168508462901
2013年10月04日