1.「禁断の惑星」(1956)フレッド・マクラウド・ウィルコックス
SFが「子供のおもちゃ」とされていた時代に、SF映画の枠組みを持ちながら「潜在意識」という心理学的なテーマを扱った異色の作品。潜在意識のヴィジュアル化に挑戦している。製作当時は「わかりにくい作品」とする評価もあったようだが、現在ではその先見性を認められている。思索的世界を扱うフィールドとしてSFを使ったという点で、SFのその後の発展につながった金字塔的作品とも評価される。
2.「リオ・ブラボー」(1955)ハワード・ホークス
メキシコとの国境に近いテキサスの町で保安官のチャンスは、殺人犯ジョーを確保したが、この地方の勢力家でジョーの兄・バーデットが、部下に命じて町を封鎖したため、チャンスは窮地に陥る。テキサスの西部劇を舞台にチャンスたちと犯罪者との壮絶な戦いを繰り広げる。
3.「めまい」(1958)アルフレッド・ヒッチコック
床が落ちるような「めまいショット」はあまりにも有名で、この作品以後、数え切れないほどの映画やCM、テレビドラマで引用されるようになった。ズームレンズを用い、ズームアウトしながらカメラを前方へ動かすことで、被写体のサイズが変わらずに広角になる。鐘楼のシーンでは、ミニチュアを作成して横倒しに置き、レールに置いたズームレンズ付きカメラを移動させて撮影している。
4.「原子人間」(1955)ヴァル・ゲスト
クオーターマス博士が三人の宇宙飛行士を乗せて宇宙探査に送り出した宇宙船が、地球に戻り不時着した。中で生存したのはヴィクター一人だけで、残る二人は宇宙服だけを残し姿を消していた。博士が宇宙船に残されていたカメラの映像を調べると、何物かが飛行中船内に侵入し、飛行士たちを襲撃したことが判明した。そのころ、病院に運ばれ妻が付き添っていたヴィクターの触ったサボテンが、彼の手に同化してしまった。ヴィクターは、正体不明の宇宙生物に体を乗っ取られていたのだ。
5.「フランケンシュタインの逆襲」(1957)テレンス・フィッシャー
戦後停滞傾向にあった古典的なホラー映画の分野を本作のヒットにより復興させた金字塔的作品である。閉鎖的な空間で生命の実験に万進するマッドサイエンティストとしてのフランケンシュタイン男爵の狂気と、それにより巻き起こされる恐怖の数々、その男爵の意外な形での破滅を中心に描いた本作は世界的なヒットを記録した。本作のヒットは古典派ホラー映画の分野に再興をもたらした。
6.「HELP!四人はアイドル」(1965)リチャード・レスター
ザ・ビートルズの第2作目の主演映画。前作の『ビートルズがやって来るヤァ!ヤァ!ヤァ!』同様リチャード・レスターが監督をつとめる。前作が予算が56万ドル、モノクロだったのに対し予算100万ドル、そしてフルカラーで撮影された。内容は、リンゴの持っていた指輪を巡ってメンバーたちがトラブルに巻き込まれる、というもの。
7.「黒い罠」(1958)オーソン・ウェルズ
同時代のヌーヴェルヴァーグの監督たちからは彼らの信奉する作家主義の完璧な実践例として絶賛された。作品で用いられた映画技法も当時としては革新的なものであり、それらを含めて現在ではカルト映画としての地位を確立している。特に映画冒頭における、爆弾を仕掛けられた車をカメラが延々と追い続ける3分20秒にも及ぶ長回しは、後続の映画製作者たちに衝撃を与えた。
8.「Not of This Earth」(1957)ロジャー・コーマン
9.「コンドル」(1939)ハワード・ホークス
ニューヨークのショーガール、ボニー・リーは南米での巡業を終えてパナマへ帰る途中、エクアドルの港町バランカに立ち寄る。そこで彼女は、地元で郵便運搬を行なっている小さな航空会社のパイロットたちと知り合う。ボニーは、彼らの命がけの仕事ぶりに驚くとともに、彼らを指揮しているジェフに強く惹かれる。そして乗るはずだった船を見送り、次の船が来るまでの1週間、そこに留まることにする。
10.「怪獣ウラン」(1956)レスリー・ノーマン
各地でさまざまな人間が原因不明の放射能に被爆したり、放射能半減期30年のトリニウムが一夜にして無害な物質に変わったりなどの怪奇現象が続発する。その正体は、放射能を吸収して成長する、太古の昔に地中に閉じ込められた不定形生物で、怪物に軍隊の攻撃はまったく通用しなかった。怪物はコバルトを吸収してさらに巨大化するが、放射能を中和する装置によって無力化、泥の塊と化すのだった。
出典元:
『TOP 10 FILMS THAT MADE ME WANT TO BECOME A DIRECTOR: A LIST BY JOHN CARPENTER』
http://dailygrindhouse.com/2013/03/25/