慶次と仲間たち
慶次を殺した手柄で侍になることが夢だったが、主馬との再会でその機会を得た際、慶次の人柄を改めて知り「正々堂々と戦って殺らなきゃ罰があたる」と殺すことを思いとどまった。
前田家
前田利家
前田家を治める大名。かつては「槍の又左」と称されるほどの猛将だったが、現在ではプライドばかり高く周囲を気にする小心者である。作中では慶次と対比して器量の狭い人物として描かれている。「俺は今まで誰からも好かれた事がない」と自認しており、万人から愛される慶次に嫉妬すると同時に自身の地位を脅かす最大の内敵と恐れている。
史実においても、柴田勝家をして「沈着にして豪胆」と言わしめた人物である。一方、作中では慶次ともども青年のように描かれているが、史実ではもっと年老いている。16年前の荒子城で慶次や猿と共に立てこもった場面では(18)と表記されており、34歳が本作での年齢になると思われる。
後に加奈がまつが書いたように偽造して書いた慶次宛の恋文を付議密通の証拠として利家に送り、慶次へ復讐しようとしたが成功したかは不明。
お春
慶次の実母。滝川益氏の側室であったが、彼女に激しいほどに夢中になった前田利久の強引なまでの願いで彼の妻となる。彼の誠実、そして熱意に惹かれついて来たがお腹に子を宿していたことを告白、利久に自分を斬り捨てるように言う。しかし、「惚れたお前の子ならば良い子に違いない、わしの元にいてくれないか」と利久に請われた事で彼の妻になる事を決意し、慶次を生んだ。慶次が子供だった頃の回想には出てこなかった事から、どうやら慶次を生んで間もなくして亡くなった模様。
村井若水
利家配下の隻眼で小柄な老将。利家が秀吉から拝領した信長の遺品の甲冑に傷をつけたため、切腹となるところを慶次の機転で救われる。その後、利家が兵力の不足から見捨てようとした末森城への援軍をただ一人断固として主張するが認められず、息子とわずかな手勢を率いて勝手に救援に向かう。そして慶次の助勢で見事功名を挙げ、出来の悪い息子の陽水に武士の、漢の何たるかを教える。通称や諱は異なるが藩主・前田利家の甲冑を下賜された忠臣村井長頼をモチーフにしているようだ。息子が陽水であることから、諱は井上陽水の父親の名から引用したものとみられる。
小柄な体格に似合わず、慶次と対等に酒を酌み交わすほどの酒豪。
前田利長
徳川家康の会津攻めに参加した。原作では助右衛門の要請で、慶次の上杉助命運動に助力する。
上杉家
慶次と終生の友であり、慶次は出家後、兼続の一言により米沢30万石に転封された上杉家とともに米沢で生涯を過ごすこととなる。
石田三成とも義兄弟の契りを交わす仲であった。
孫八、孫六
慶次と果し合いをした13人の上杉小姓たちの一人。他の11人と共に弥之助を殺した罪で、慶次に制裁された。
藪田惣右衛門、田所真十郎、池尻某
蛮頭大虎に殺された男達。蛮頭は彼らの名前を数珠にいれて身に着けていた。
山上道及
関東牢人。かつて慶次とともに滝川の陣で戦ったことがあり、会津に行く途中で久々の再会を果たす。慶次にも引けをとらない根っからのいくさ人であり、本人曰く「俺の体は因果なもので、自分がいい加減飽きているのに死なない」というほど激戦をくぐり抜けてきた剛の者。「惜け」が口癖。
慶次らと合流後は上杉軍に参加。最上軍との戦いの中、瀕死の重傷を負う。傷口は泥で汚れ破傷風の危険があったが、傷を洗おうにも水が無く、慶次の小便で傷口を洗い流してもらい、捨丸の治療を受け持ち直す。その返礼として愛刀(千住院村正)を慶次に譲った。その後の生死は不明だが、慶次は必ず生き延びるだろうと確信する台詞を述べている。
宇佐美弥五左衛門
会津での戦に出るため上杉軍に参加。血気盛んな性格で、慶次に腕比べを挑んだ。しかし一撃で叩きのめされ敗北、顔面に手刀の痕が残った。慶次の朱槍に異議を唱えた一人。
千坂景親
上杉家臣。慶次に和平の使者になることを頼む。傾奇者である慶次のことを快く思っていない。原作小説においては慶次の事を「婆娑羅に何ができる」と南北朝時代の流行語で述べており、「傾奇者」という当事の先端の流行語すら知らない様子である。
織田家
織田信長
すでに故人となっているが、回想でたびたび登場する。少年時代の奥村助右衛門が信長の接待役を任されるも、緊張のあまり信長に茶をかけてしまい険悪な雰囲気になった時、慶次が武士の本来のあり方を信長に説きこれをうまく収めている。前田家に預けられた信長の鎧に関したエピソードも多く、慶次はこの鎧を「殿(利家)に無礼を働く不埒者」として刀で両断し、修復された後は無断で拝借して末森の合戦に向かった。
家康らと呼応して加賀に攻め込み末森城攻略を目論むが、予想外の苦戦を強いられている隙に前田軍の援軍から攻撃を受け壊走状態に陥る。自らの潮時を悟った成政は信長と同じく炎の中に身を置き自決しようとするも、踏み込んできた慶次と助右衛門から説得され、思い止まる。その後慶次が纏っていた「大ふべん者」のマントを譲り受け、単身前田軍勢へ突撃した。
豊臣家
豊臣秀吉
時の天下人。傲慢で狡猾な権力者と百戦錬磨の武将(いくさ人)という二面性を持った人物として描かれている。天下人として権力を振りかざす尊大な言動が目立つが、その一方で亡き信長への忠義と尊敬の気持ちを忘れてはいない。
天下一の傾きぶりを見せるという慶次に興味を持ち、自らに謁見させる。当初は殺意すら露にしたが、謁見のあとは慶次に惚れ込み、傾奇御免の御意を授けた。その後二人の間には友情さえ芽生えており、秀吉のほうは一度百万石という、事実上五大老と同等の扱いである破格の条件で家臣にしようとした。結局断られたが、悪態をつきながらも優しい顔で慶次に酌をしており、否定の返事は最初から分かっていたようである。
昔は「人たらし」と呼ばれた武将だったが、天下を手に入れた後は冷酷な面をたびたび覗かせる。猜疑心の強い、あるいはわがままな小人物として描かれる一方、本人も慶次にもひけをとらない傾奇者であり、歴戦のいくさ人・カリスマを持った大人物として描かれる。
秀吉の側近に相応しい優れた知略家。しかしその命令に対して常に従順であるわけではなく、秀吉が朝鮮出兵を画策した際には慶次らを前に「無益で残忍ないくさが始まろうとしているのに、誰も止めようとはしない」と涙ながらに心の内を吐露している。
石田正澄
石田三成の兄。堺奉行を勤める。肥満体型。与次郎と慶次がカルロスと堺沖で戦った時出陣した。「弟の口利きで奉行になった」というもっぱらの評判の人物。
徳川家
史実では忍者の統率者ではあるが自身は忍者ではなく、また剣ではなく槍の名手である。
松平信康
家康の長男。秀康の唯一の理解者で秀康を家康に対面させた。信長の命により切腹させられる。家康により、家中で最も剣の腕の立つ半蔵が介錯を務めた。
結城秀康
家康の次男。母親が正室の侍女であったことから実父である家康に疎まれ、幼少の頃から不遇な扱いを受けてきた。成人した後は自暴自棄になり、家来を引き連れて町を練り歩き、傍若無人な振る舞いをして憂さを晴らしている。しかし利沙が奏でる胡弓の美しい音色に心を洗われ、自身の荒みきった行いを悔い改めた。それ以後は慶次の屋敷にたびたび顔を出すようになり、彼を終生の友と感じている。複雑な生い立ちゆえに戦場に赴いた経験が無く、武人として慶次と立ち合うのが夢。関ヶ原の後、慶次との念願の一騎討ちを果たし、上杉助命の仲介役となる。
本多正信
徳川家譜代の重臣で、家康が最も信頼する6人の家臣の1人。「家康以上の狸」と評される。慶次の和平の申し込みに対し、他の者の肯定を見定めてから「結構でござる」と、まるで真っ先に賛成したかのような大声を上げた。
千家
佐助
侘助の兄。秀吉暗殺を謀ったが失敗。しかしこれは、連判状から秀吉の目を反らさせるための囮であり、最初から秀吉の暗殺をする気はなかった。切支丹であるため自害が出来ず護送されている時に侘助に首を斬らせた。
本間家
楯藤兵太夫
本間方の兵。坂田雪之丞の相手をした。が、威勢に飲まれ錯乱した雪之丞が朱槍を振り回したのに当たり敗れる。
真田家
源爺
佐助、沙霧とともに真田忍軍の生き残り。慶次と佐助が座談しているとき、天井から慶次の杯に毒を垂らしたが、ことごとくかわされた。正確に慶次の実力を見抜いた。
三好清海
幸村の家臣。破壊活動に従事していた忍び。生来、髪がないがそのことに触れられると烈火の如く怒る。小田原の役に従軍する。佐助同様に架空の人物であり、原作小説では登場しない。
堀田五兵衛
真田の老臣。清海たちが幸村の帰城、そしてそれに同行する慶次の力を見極めるためあのような行動に出たことを慶次に伝え謝罪する。
北条家
大道寺政繁
松井田城城主。慶次が幸村の初陣の手柄にしようとした男。以前神流川の戦いで滝川軍が北条軍に負けた後、慶次が一騎打ちを挑んだ。鐙(あぶみ)をなくした状態[19]でも慶次と互角に渡り合うほどの武芸者である。
北条氏規
北条氏政の弟。容貌は兄より老けている感がある。上洛して秀吉と会見しその圧倒的な財力、兵力を感じ秀吉と戦う愚かさを氏直と共に説いたが聞き入れられず。
北条氏邦
古屋七郎兵衛を配下に持つ。第一話でしかめっ面でうろたえていた七郎兵衛の「殿」とは氏邦と思われるが、後に小田原の陣編で再登場した時には似ても似つかない強面の髭面になっていた。
松田左馬助
松田憲秀の息子。秀吉方に寝返ろうとした父を裏切った。
成田氏長
北条家家臣。秀吉方に寝返ろうとした。しかし、秀吉はその書状を氏政に届けさせた。史実では氏長の居城である武蔵国忍城は小田原開城後も篭城を続けている。
伊達家
初体面時の慶次の印象は最悪で、政宗の事を餓鬼呼ばわりした。その後、小田原への参陣を求める秀吉からの使者として慶次と正式対面した際も、生来の疑い深さから不遜な態度を崩さず、慶次を辟易させた。だが慶次と殴り合いを演じたことをきっかけに心が通じ合い、和解する。
片倉小十郎
伊達政宗の側近。度々政宗を諫言した。
伊達輝宗
政宗の父、本作では名前の記述は無い。隻眼であることから母親から疎まれ、心を痛めていた少年の頃の政宗を、熱い拳と深い愛情で一人前の武将へと育てあげた。
海の民
与次郎
与四郎の子。ヌンチャクによる棒術が得意。与四郎の死後、海族の長となる。慶次たちの首里の戦いに同行。登場の際の三べん回ってワンを行うエピソードは原作の庄司甚内(甚右衛門)のものの流用。
じいさん
与四郎が棟梁の頃からの仲間。与四郎が逝った後は与次郎を良く支える。カルロス率いる南蛮船との海戦後にやって来た堺奉行の船団を道連れにするためルソン壺で挑発、与次郎に「自由な海を行きなされ」と言い残し船と命を共にした。
涼花
宗次の妹で与四郎の妻。胡弓が得意。
コエーリョ
キリシタンに協力しない島津を討とうと、軍隊の派遣をイスパニア政庁に要請した宣教師。
納屋助左衛門
ルソン島からルソン壺を持ち帰った堺の商人。
宗次
琉球の海族の棟梁。与四郎を救おうと矢玉100本を体に受け重傷となる。島に着いた後、与次郎に後事を託し息を引き取る。
張啓
春麗の婚約者で明の海賊の首領。劇中では既に故人。春麗の口ぶりからしても、つい最近に戦死してしまったようである。
琉球王国
竜嶽親方
尚寧王の重臣。海賊上がりだが、琉球の国庫を任されるほど出世した。毛虎親方五人衆をまとめて倒すほどの腕前。クーデターを起こし、慶次と互角以上の戦いを繰り広げたが尚寧に阻まれ、斬り捨てられる。斬られた直後は、まるでそれを望んでいたかのような晴々とした表情をしていた。
美耶
利沙に仕える侍女。最初は慶次をカルロスの手先と誤解して警戒していた。「自分の言っていることが間違いない」と言い張っていたが、結局全部間違っていた。
虞
琉球の役人。武が挨拶を済ましたらしい。
善継、鏘、胤芾、遵
宗元の部下。慶次と宗元が飲んでいた店で他の客のふりをして慶次を監視していた。
長英
宗元の従弟。琉球王族の血を引いている。しかし、宗元が会った長英は毛虎親方が変装していた。
琢全
琉球の役人。がめつい性格で賄賂がないと何もしない。松風を気に入り我が物にしようとしたが、結局お仕置きされた。