花の慶次~登場人物にて御座候~

klain
花の慶次の登場人物を画像付で紹介しています。ウィキペディア:花の慶次の登場人物を画像にて補完するものです。詳細説明は最終ページにあるウィキペディアへのリンクからどうぞ。

慶次と仲間たち

前田慶次
天下一の傾奇者で、身の丈は六尺五寸(197cm)以上ある大柄の武将。滝川一益の従弟・益氏の次男で、前田利家の兄・利久の養子となったが、利家とは不仲である。自らの道理で生き、自由を貫き通す奔放な男。愛馬は松風。
捨丸
かつては四井主馬の家来だった小柄な忍び。弟を松風に蹴り殺され慶次を付け狙っていたが、その一方で惚れ込んでもおり、仲間7人を殺して慶次に仕える。
慶次を殺した手柄で侍になることが夢だったが、主馬との再会でその機会を得た際、慶次の人柄を改めて知り「正々堂々と戦って殺らなきゃ罰があたる」と殺すことを思いとどまった。
岩兵衛
鬼のような顔をした七霧の里の住人。おふうの育ての親でおふうを連れ戻そうと慶次の命を狙っていたが、慶次の人柄に惚れ、その後家来となる。高い身体能力を持ち、人の心も読める。
おふう
耳そぎ願鬼坊にさらわれ、耳そぎと耳持ちをやらされていた少女。外見は7~8歳前後の子供に見える。当初は表情も暗く喜怒哀楽を表に出さなかったが、やがて感情を取り戻し、合戦以外では慶次らと行動を共にするようになる。
松風
人を軽く踏み殺せる巨躯の馬で、上野国の厩橋城近くで野生の馬群を率いていた[4]。馬を手に入れようとする滝川勢を翻弄するが、並の馬では一合戦で乗り潰してしまう慶次に惚れ込まれ、彼に10日間をかけて「口説かれ」てその愛馬となる。慶次にとっては戦友で心を通わせあっており、馬銜をつけずに慶次は乗りこなす[5]。人の言葉を理解している。また実際に発声したわけではないが一度だけ劇中で「なにを甘ったれたことを言ってるんだ〜」と心の言葉を発した描写がある。
利沙
与四郎と涼花との間に生まれた娘。南蛮の血が入った絶世の美女で、カルロスや慶次が琉球を目指すきっかけとなる。しかしその美貌ゆえに、琉球国で利沙を巡り骨肉の争いが繰り広げられた。後に海を渡り、京で慶次と生活を共にするようになる。女神と呼ばれるほどの清らかな心の持ち主であり、その優和な人柄と深い愛情で周囲の人々の心を癒していく。母から習った胡弓が得意。

前田家

前田利家

前田家を治める大名。かつては「槍の又左」と称されるほどの猛将だったが、現在ではプライドばかり高く周囲を気にする小心者である。作中では慶次と対比して器量の狭い人物として描かれている。「俺は今まで誰からも好かれた事がない」と自認しており、万人から愛される慶次に嫉妬すると同時に自身の地位を脅かす最大の内敵と恐れている。

まつ
利家の正室。母性的でいて尚且つ少女のような可憐さを持つ美女。慶次が心底惚れている女性であり、何かと気の弱いところがある利家を支える女丈夫である。その奔放で天真爛漫な性格は、利家および配下の者たちの心配の種になっている。
奥村助右衛門
荒子城代、末森城主を務めた後に前田家家老となる。慶次とは莫逆の友で良き理解者。加奈の兄。誠実で争いが起きても彼がそこに現れるだけで争いは鎮まるという。また、寡兵で佐々軍1万5千から末森城を死守、その時昇り来る敵兵に慶次と共に小便をかけるなど豪勇さをも併せ持つ文武両道の傑物。
史実においても、柴田勝家をして「沈着にして豪胆」と言わしめた人物である。一方、作中では慶次ともども青年のように描かれているが、史実ではもっと年老いている。16年前の荒子城で慶次や猿と共に立てこもった場面では(18)と表記されており、34歳が本作での年齢になると思われる。
四井主馬
前田利家直属の加賀忍軍の棟梁。政治的な工作や諜報活動、またある時は利家の個人的なわがままのため常に奔走している。利家のために松風を手に入れようと慶次を暗殺しようとするも失敗、松風に蹴られ巨大な蹄跡が顔に残った。その後も慶次に右腕を斬り落とされる、果ては全裸で晒し者にされるなど散々な目に遭うが、それでも執念深く慶次の命を狙い続ける。優秀な忍びではあるものの変装だけは苦手のようで、作中たびたび見破られており、慶次からは「相変わらず下手な変装だな」とまで言われている。
後に加奈がまつが書いたように偽造して書いた慶次宛の恋文を付議密通の証拠として利家に送り、慶次へ復讐しようとしたが成功したかは不明。
荒井願鬼坊
四井主馬の配下。「耳削ぎ願鬼坊」の異名を持つ。切り殺した相手の耳をおふうに削がせ、桶に耳を溜め込んでいる。四井主馬の命により慶次を殺さんとするが逆に体を両断される。
前田利久
慶次の養父。利家の兄。病弱で前田家の家督を慶次に継がせようとするが、信長の一声で利家になる。妻はお春。弟の利家と対照的に忠と信と義を重んずる武将であり、婚姻の際にお春が前夫の子供(慶次)を妊娠しているにも関わらず、あえて実の子として育てた。過去に合戦にて兵糧攻めにあった時、乾きに苦しむ慶次に自分の血を飲ませてまで生き永えさせようとする行為に慶次は実父以上の存在として尊敬し、亡くなるまで加賀に居続ける決意をさせた。

お春

慶次の実母。滝川益氏の側室であったが、彼女に激しいほどに夢中になった前田利久の強引なまでの願いで彼の妻となる。彼の誠実、そして熱意に惹かれついて来たがお腹に子を宿していたことを告白、利久に自分を斬り捨てるように言う。しかし、「惚れたお前の子ならば良い子に違いない、わしの元にいてくれないか」と利久に請われた事で彼の妻になる事を決意し、慶次を生んだ。慶次が子供だった頃の回想には出てこなかった事から、どうやら慶次を生んで間もなくして亡くなった模様。

村井若水

利家配下の隻眼で小柄な老将。利家が秀吉から拝領した信長の遺品の甲冑に傷をつけたため、切腹となるところを慶次の機転で救われる。その後、利家が兵力の不足から見捨てようとした末森城への援軍をただ一人断固として主張するが認められず、息子とわずかな手勢を率いて勝手に救援に向かう。そして慶次の助勢で見事功名を挙げ、出来の悪い息子の陽水に武士の、漢の何たるかを教える。通称や諱は異なるが藩主・前田利家の甲冑を下賜された忠臣村井長頼をモチーフにしているようだ。息子が陽水であることから、諱は井上陽水の父親の名から引用したものとみられる。
小柄な体格に似合わず、慶次と対等に酒を酌み交わすほどの酒豪。

村井陽水
若水の息子。末森城救援が初陣。生意気なだけの未熟者と父親を嘆かせていたが、慶次らと共に戦う中で人間的に成長し武士としての生き方を真剣に考えるようになる。父親に似て非常に酒が強い。若水が利家の面目を保つため切腹を命じられた際、父のやりたいようにやらせてくれと涙ながらに訴え、慶次と酒比べをしたが、負けてしまう。
水丸
利家の小姓で美少年。末森城攻防戦の後、末森城で利家に風呂を勧めた。慶次から村井一族を許すという利家の発言の証人になる。
奥村永信
助右衛門の父。信長来城の折、子・助右衛門が信長に茶を出す場面で緊張した面持ちがうかがえる。
奥村加奈
奥村助右衛門の妹。おてんばで男勝りな性格で、その人柄は加賀では女傾奇者と呼ばれるまでに知れ渡り家臣たちを弱らせている。本作では富田流小太刀免許皆伝の腕前だが、原作では助右衛門があえて皆伝を受けさせず、目録に留まっている。慶次の弁では幼い頃は垢抜けない雰囲気の少女だったようだが、美しく健康的な女性へと成長し慶次を驚かせた。幼い頃から慶次に密かな想いを寄せており、これが騒動の引き金になってしまう。
雪丸
利家の小姓で美少年。性格は残忍酷薄で、利家の寵愛をかさに着て思い上がっている。加奈の下でまつに仕える侍女を妊娠させたが、嫁に貰うのを拒絶したばかりか笑い物にした上、怒った加奈を完全に侮ったことで顔に大きな十字傷をつけられた。一命は取り留めるも、その後、この傷が消えなかった事に恥辱と屈辱を感じたのか、逐電し行方不明となる。

前田利長

徳川家康の会津攻めに参加した。原作では助右衛門の要請で、慶次の上杉助命運動に助力する。

上杉家

上杉景勝
義を重んじる越後の大名。上杉という武門の名門を継ぎその重さと責任のため笑うことがない。それにより眉間の深いしわが生涯消えることがなかったという。原作小説においては兼続の主君というだけであまり描写は見られないが、本漫画作品中においては、上杉家の小姓のいざこざの時に見せた態度から、慶次郎が感服する事となった。
直江兼続
上杉景勝配下の武将。普段は温和で優しい性格。慶次が男として惚れるほどの文武両道の名将。上杉家の小姓のいざこざでは、上杉の老臣達を一喝した。慶次の朱槍を軽々と振るう。
慶次と終生の友であり、慶次は出家後、兼続の一言により米沢30万石に転封された上杉家とともに米沢で生涯を過ごすこととなる。
石田三成とも義兄弟の契りを交わす仲であった。
上杉謙信
回想で登場。小姓のいざこざの際に老臣たちにいくさ人の心を思い出させるため、景勝は謙信の姿になった。
草間弥之助
上杉家の小姓で礼儀正しい青年。原作には無い慶次が本気で振りかざした朱槍を片手で受け止める描写など、武士としての実力も相当である。景勝、兼続に気に入られており、兼続はいずれ妹なつの婿にと願うほどであったが、他の小姓達の嫉妬により袋叩きに近い形で殺されてしまう。
なつ
兼続の妹で、弥之助に好意を寄せる。慶次と上杉の小姓たちの果し合いに慶次の助太刀に出ようとした。

孫八、孫六

慶次と果し合いをした13人の上杉小姓たちの一人。他の11人と共に弥之助を殺した罪で、慶次に制裁された。

犬飼
上杉家の老臣。河原田城攻めの際「老兵」たちの心意気に感じ入り、自分の刀(上杉の魂)を治作(百姓の老兵)に渡した。
蛮頭大虎
単身河原田城に攻め入ろうとして制止した者を殺害してしまい牢で頭以外地中に埋められていた男。作中ではもっとも巨体で、その人並み外れた怪力ゆえに、なでたつもりでも人を殴り殺してしまうほどである。顔に似合わず頭がよく、本間左馬助が裏切っていることを見抜いていた。慕っていた兄の信忠は兼続を庇って討死。額に「丸に千鳥紋」の刺青をしているが、慶次は「おでこにヒヨコ」と言っている。戦の最中致命傷を負わされてしまうが「蓮に髑髏」の旗印を倒さないために、槍を自らの足に突き刺し不動の体勢で絶命する。
坂田雪之丞
朱槍を許された同僚に嫉妬して半殺しにしてしまい、牢に入れられていた男。慶次の計らいで上杉軍に復帰、慶次の朱槍を任される。粗野で乱暴なところがあるが、心優しく人情味のある青年。「いつか大手柄を立てて立派な大名になる」という夢を持つ。実は茂兵という百姓侍で、功名心の強さから名を詐称していたことを治作に明かした。佐渡の本間軍との戦闘では先陣に立ち奮戦するが、本間軍兵士の狙撃から子供をかばい銃弾を受け死亡。
治作
百姓の老兵。上杉の陣に参じた時は武器代わりに鍬(くわ)を持っていたが、老将犬飼より愛刀を託される。川中島合戦の一つ、八幡原の戦いを経験しており、その時に犬飼の陣にいた。見るからに非力な老人だが戦場における経験や知識は豊富で、まだ若く戦に不慣れな坂田雪之丞に助言する。合戦中に雪之丞に請われて部下になり、その後自ら「一の家来」と称した。

藪田惣右衛門、田所真十郎、池尻某

蛮頭大虎に殺された男達。蛮頭は彼らの名前を数珠にいれて身に着けていた。

蛮頭信忠
蛮頭大虎の兄。子供の頃、鬼の子と呼ばれ蔑れていた大虎を愛するが故に叱咤激励していた。その後、大虎の不始末を兼続への忠勤で果たすと日頃言っていた。刺客の魔の手から兼続を庇い戦死。

山上道及

関東牢人。かつて慶次とともに滝川の陣で戦ったことがあり、会津に行く途中で久々の再会を果たす。慶次にも引けをとらない根っからのいくさ人であり、本人曰く「俺の体は因果なもので、自分がいい加減飽きているのに死なない」というほど激戦をくぐり抜けてきた剛の者。「惜け」が口癖。
慶次らと合流後は上杉軍に参加。最上軍との戦いの中、瀕死の重傷を負う。傷口は泥で汚れ破傷風の危険があったが、傷を洗おうにも水が無く、慶次の小便で傷口を洗い流してもらい、捨丸の治療を受け持ち直す。その返礼として愛刀(千住院村正)を慶次に譲った。その後の生死は不明だが、慶次は必ず生き延びるだろうと確信する台詞を述べている。

宇佐美弥五左衛門

会津での戦に出るため上杉軍に参加。血気盛んな性格で、慶次に腕比べを挑んだ。しかし一撃で叩きのめされ敗北、顔面に手刀の痕が残った。慶次の朱槍に異議を唱えた一人。

千坂景親

上杉家臣。慶次に和平の使者になることを頼む。傾奇者である慶次のことを快く思っていない。原作小説においては慶次の事を「婆娑羅に何ができる」と南北朝時代の流行語で述べており、「傾奇者」という当事の先端の流行語すら知らない様子である。

織田家

織田信長
すでに故人となっているが、回想でたびたび登場する。少年時代の奥村助右衛門が信長の接待役を任されるも、緊張のあまり信長に茶をかけてしまい険悪な雰囲気になった時、慶次が武士の本来のあり方を信長に説きこれをうまく収めている。前田家に預けられた信長の鎧に関したエピソードも多く、慶次はこの鎧を「殿(利家)に無礼を働く不埒者」として刀で両断し、修復された後は無断で拝借して末森の合戦に向かった。

滝川一益
織田信長軍団の関東方面指揮官。北条氏と戦っていた。飼い犬は八郎丸と十郎丸で、ともに慶次に賭け事に使われた。本能寺の変において信長が討たれた時、配下の関東国人衆に正直にその事を打ち明ける誠実な人物として描かれているが、これは異説はあるものの史実そのままである。史実ではその後、北条氏に敗れて伊勢へと逃げ帰る羽目になるが、そのことは作中では描写されていない。
滝川益氏
滝川軍団の中で常に先陣をきる猛将。慶次の実父。原作では前田家の家督を利家に奪われた利久と慶次郎は「滝川軍団の中にいた可能性が高い」とだけ書かれているが、本作品中では実際に慶次が配下になっている事が描写された(どういう経緯かは不明)。わが子慶次に対する反応は前田利家に近く、イライラさせられっぱなしという感じである。
佐々成政
越中の大名。亡き信長を慕い続けており、主君亡き後に覇権を握らんとする秀吉を激しく嫌悪している。
家康らと呼応して加賀に攻め込み末森城攻略を目論むが、予想外の苦戦を強いられている隙に前田軍の援軍から攻撃を受け壊走状態に陥る。自らの潮時を悟った成政は信長と同じく炎の中に身を置き自決しようとするも、踏み込んできた慶次と助右衛門から説得され、思い止まる。その後慶次が纏っていた「大ふべん者」のマントを譲り受け、単身前田軍勢へ突撃した。

豊臣家

豊臣秀吉
時の天下人。傲慢で狡猾な権力者と百戦錬磨の武将(いくさ人)という二面性を持った人物として描かれている。天下人として権力を振りかざす尊大な言動が目立つが、その一方で亡き信長への忠義と尊敬の気持ちを忘れてはいない。
天下一の傾きぶりを見せるという慶次に興味を持ち、自らに謁見させる。当初は殺意すら露にしたが、謁見のあとは慶次に惚れ込み、傾奇御免の御意を授けた。その後二人の間には友情さえ芽生えており、秀吉のほうは一度百万石という、事実上五大老と同等の扱いである破格の条件で家臣にしようとした。結局断られたが、悪態をつきながらも優しい顔で慶次に酌をしており、否定の返事は最初から分かっていたようである。
昔は「人たらし」と呼ばれた武将だったが、天下を手に入れた後は冷酷な面をたびたび覗かせる。猜疑心の強い、あるいはわがままな小人物として描かれる一方、本人も慶次にもひけをとらない傾奇者であり、歴戦のいくさ人・カリスマを持った大人物として描かれる。

石田三成
豊臣家臣。初対面の際は秀吉の権力を傘に着て嫌味な態度で接するも、慶次のいくさ人としての気骨を目の当たりにし感服。その後は多少なりとも心を通わせる仲になったようである。原作では慶次にぞっこん惚れ込むほどになるのだが、本作ではそこまでは描写されていない。直江兼続の親友でもある。
秀吉の側近に相応しい優れた知略家。しかしその命令に対して常に従順であるわけではなく、秀吉が朝鮮出兵を画策した際には慶次らを前に「無益で残忍ないくさが始まろうとしているのに、誰も止めようとはしない」と涙ながらに心の内を吐露している。
茶々(淀殿)
秀吉最愛の側室。織田信長の妹お市を母に持ち、優雅で柔和な性格の女性。しかしその血筋からか、いかなる時も動じない女丈夫で、後の面影はあまり見られない。伯父の影響で能楽を好む。
前田玄以
五奉行の一人で京都所司代。文官だが顔に大きな斬り傷がある。侘助やおばば様を捕らえようとし、隙あらば慶次や家康をも暗殺しようとする。大勢の傾奇者達を雇って慶次抹殺を企むが、結局は自分が喧嘩を売る形で慶次と戦うハメになり、素手の慶次に刀を折られた挙げ句に殴り殺される寸前で家康に救われた。

石田正澄
石田三成の兄。堺奉行を勤める。肥満体型。与次郎と慶次がカルロスと堺沖で戦った時出陣した。「弟の口利きで奉行になった」というもっぱらの評判の人物。

徳川家

徳川家康
大大名でありながらも気さくで陽気な老人。原作にみられる内に冷徹な心を潜めた狡猾な「狸」という印象は薄く、秀吉の前での滑稽な舞いについては、緊張したその場の空気を和ませ、秀吉自身をも救ったという描写になっている[14]ように温厚で寛大な性格の好人物としての描写が目立つ。物語終盤になってからは秀吉亡き後の最高権力者として、冷徹な顔を露にする。
服部半蔵
徳川家康の家臣。忍者であり、また家中では最も剣の腕が立つ。「服部半蔵」と呼ばれる者は何人もいるのだが、年代的に考えて2代目の服部正成とみられる。初登場時は忍び装束の隙間から不敵な笑みを見せ、不気味な雰囲気を持つ忍者として描かれていたが、再登場後に見せた素顔は厳格な顔つきの初老の男であった。
史実では忍者の統率者ではあるが自身は忍者ではなく、また剣ではなく槍の名手である。

松平信康
家康の長男。秀康の唯一の理解者で秀康を家康に対面させた。信長の命により切腹させられる。家康により、家中で最も剣の腕の立つ半蔵が介錯を務めた。

結城秀康
家康の次男。母親が正室の侍女であったことから実父である家康に疎まれ、幼少の頃から不遇な扱いを受けてきた。成人した後は自暴自棄になり、家来を引き連れて町を練り歩き、傍若無人な振る舞いをして憂さを晴らしている。しかし利沙が奏でる胡弓の美しい音色に心を洗われ、自身の荒みきった行いを悔い改めた。それ以後は慶次の屋敷にたびたび顔を出すようになり、彼を終生の友と感じている。複雑な生い立ちゆえに戦場に赴いた経験が無く、武人として慶次と立ち合うのが夢。関ヶ原の後、慶次との念願の一騎討ちを果たし、上杉助命の仲介役となる。

本多正信
徳川家譜代の重臣で、家康が最も信頼する6人の家臣の1人。「家康以上の狸」と評される。慶次の和平の申し込みに対し、他の者の肯定を見定めてから「結構でござる」と、まるで真っ先に賛成したかのような大声を上げた。

千家

千利休
秀吉に仕える茶人。秀吉に従っているが、秀吉がたびたび見せる傲慢な言動に辟易もしており、秀吉本人も外見は取り繕うものの利休を嫌っているが、後に切腹させたことを気に病んでいた。慶次にも劣らぬ巨躯の持ち主であり、かつては武人として戦場に赴きその凄惨な有様を嘆いていた。慶次曰く「あれは茶人というよりいくさ人」と感嘆し、敬意を表した。慶次は後に家康と同席で茶をふるまわれるが、悠然と利休の茶を楽しんだ。
佗助
信長の伊賀攻め際、千利休が親代わりとなり育てた戦争孤児。兄の佐助と同じく切支丹。女装しても全く違和感がない程の美少年である。好きな花は白い椿で、兄とともに家康の「友達」である。利休が家康に渡した連判状の行方を知っており、豊臣家に身を狙われている。手傷を負ったところを慶次と出会い、大騒動を起こす事になる。最後は公界衆のおばばに「摩利支天の化身」と認められて引き取られた。

佐助
侘助の兄。秀吉暗殺を謀ったが失敗。しかしこれは、連判状から秀吉の目を反らさせるための囮であり、最初から秀吉の暗殺をする気はなかった。切支丹であるため自害が出来ず護送されている時に侘助に首を斬らせた。

千道安
利休の息子。傲慢な性格で、父親の権威を傘に日々傍若無人な振る舞いをしている。京で慶次たちといさかいを起こすが、慶次の怒りを買い手ひどく痛めつけられる。槍持ちをさせられた上に京の案内を強いられた事を恨み、父の利休に泣き付くが「子供の喧嘩に顔を出す親が何処に居る」と一喝された。このような性格になったのは、利休の養育に問題があった事を、当人が慶次に対して告白している。

本間家

本間左馬助
佐渡を支配する本間氏の一族で佐渡沢根城当主。佐渡に侵攻してきた上杉軍に味方するふりをして、その実、戦闘を長引かせて会津の蘆名盛隆の援軍を待っていたが、領地没収の上に越後への追放の憂き目を見た。低身長・極度の肥満体・ガマガエル呼ばわりされる風貌だが武勇はあり、慶次に脅されて泣きながら同族の高茂の城を攻めた際には最前線に立ち突撃。立ちふさがる雑兵たちを「うるせえ!」の一言ともに軽く斬り捨てている。落城後の会議で蛮頭や雪ノ丞の戦死を茶化したことで激怒した直江兼続に殴られた上に、前述の末路を迎えた。
本間(羽茂)高茂;
本間氏の一族で佐渡羽茂城城主。三河守。反上杉の急先鋒。左馬助と通じており、河原田城に籠城して上杉軍を苦しませる。血々丸という犬を可愛がっているが、その犬とじゃれている人質の子供を張り倒したり、自分に都合の悪い報告をした部下を刺し殺すほどに残虐な性格である。額に三日月の傷がある。落城後、逃亡したが妻子と共に捕らえられ磔にされ、妻子らが先に殺されるのを見せられて泣き叫びながら処刑された。自害していれば妻子は助かったとして、高茂が小人物であることにされており、処刑を命じた上杉景勝・直江兼続を擁護する描写になっている。
修理
本間左馬助の配下。直江兼続隊を奇襲したが慶次の朱槍に串刺しにされた。

楯藤兵太夫
本間方の兵。坂田雪之丞の相手をした。が、威勢に飲まれ錯乱した雪之丞が朱槍を振り回したのに当たり敗れる。

兵部
高茂の側近。奸物が多い本間家にあって数少ないいくさ人。落城寸前の城内で慶次を待っていた。

真田家

真田幸村
真田昌幸の息子。松風を欲して慶次と親しくなり、慶次は彼の初陣の時に、秀吉から拝領した名馬・野風[18]を譲った。大道寺との戦いに参戦後、伊達を小田原陣に参戦させるための交渉を任せられた慶次に同行する。秀吉に寵愛されているが、小田原の温泉において湯気で顔が見えなかったとはいえ、秀吉を「じいさん」呼ばわりしてしまい、秀吉本人と分かった瞬間は恐れおののいていた。
猿飛佐助
幸村の友で沙霧の兄。幼少の頃から幸村と修行をしていた。真田荘が北条忍軍に襲われ沙霧が失明したので出家していたが、沙霧が幸村への慕情にけりをつけ、佐助に配慮して出家の道を選んだため、伊達との交渉に赴いた幸村に同行する。本作中では幸村と同年代として描かれるが、架空の人物であり、他の創作物の描写では幸村より若い。

源爺
佐助、沙霧とともに真田忍軍の生き残り。慶次と佐助が座談しているとき、天井から慶次の杯に毒を垂らしたが、ことごとくかわされた。正確に慶次の実力を見抜いた。

三好清海
幸村の家臣。破壊活動に従事していた忍び。生来、髪がないがそのことに触れられると烈火の如く怒る。小田原の役に従軍する。佐助同様に架空の人物であり、原作小説では登場しない。

真田昌幸
幸村の父。秀吉に北条氏による名胡桃城奪取を知らせる。老獪で狡猾な人物であり、秀吉との駆け引きは慶次らに「サルとタヌキの化かし合い」と評された。景勝、利家とともに小田原の役に出陣する。
真田信幸
真田昌幸の長男で幸村の兄。松井田城攻めの時、幸村が軍にいないことを知った父を落ち着かせた。
沙霧
猿飛佐助の妹。幸村が好意を寄せていたが、戦で失明する。その後、兄・佐助の後顧の憂いを絶つため仏門に身を置く。

堀田五兵衛
真田の老臣。清海たちが幸村の帰城、そしてそれに同行する慶次の力を見極めるためあのような行動に出たことを慶次に伝え謝罪する。

北条家

北条氏政
家督を譲った息子、氏直とともに秀吉に対抗する小田原の大名。天下人である秀吉を「恐るるに足らず」と笑い飛ばすほどの豪胆な性格の人物だが、風魔を味方につけ豊臣勢を内外から揺さぶるなど、なかなかの策略家でもある。いつも酒を飲んでおり、盃を手放さない。しかし最終的には秀吉から圧倒的な数の軍勢をもって小田原征伐を受け、全てが灰燼に帰した。その際は黒々としていた髪やヒゲが見る影もなく真っ白になっていた。

大道寺政繁
松井田城城主。慶次が幸村の初陣の手柄にしようとした男。以前神流川の戦いで滝川軍が北条軍に負けた後、慶次が一騎打ちを挑んだ。鐙(あぶみ)をなくした状態[19]でも慶次と互角に渡り合うほどの武芸者である。

古屋七郎兵衛
北条氏邦配下の侍大将だったが、松風を捕らえようとして顔面を蹴られ、命は取り留めたものの顔に蹄の傷痕がつき、家中で「クツワ七郎兵衛」と呼ばれ侮られる。松風を手に入れた慶次に憎悪を燃やし、骨を雇って慶次と松風の暗殺を試みるが失敗。鉢形城大手門前で慶次と戦い右腕を斬りおとされる。だがその敗北に動揺し戦わずして総崩れとなった兵たちに決死の覚悟を決めさせるため、自らの首をはねる覚悟を見せて果てた。その最後には、彼を軽侮していた慶次と松風もその心意気に感じ入った。

北条氏規
北条氏政の弟。容貌は兄より老けている感がある。上洛して秀吉と会見しその圧倒的な財力、兵力を感じ秀吉と戦う愚かさを氏直と共に説いたが聞き入れられず。

北条氏直
氏政の息子。常に八の字眉毛で気弱な表情をしている。秀吉との戦争に反対したが、後北条氏当主にもかかわらず氏直に実権はなく、開戦派の父氏政らに押し切られた。

北条氏邦
古屋七郎兵衛を配下に持つ。第一話でしかめっ面でうろたえていた七郎兵衛の「殿」とは氏邦と思われるが、後に小田原の陣編で再登場した時には似ても似つかない強面の髭面になっていた。

黒部三左
大道寺政繁配下。現在は政繁の元で知略を振るっているが、昔は兵として慶次と同じ軍勢で戦った経験がある。大名に取り入る手柄首にするべく、立ち小便をしている最中の慶次を多勢で襲撃するも失敗。飛び出してきた松風に右足を踏みちぎられ、さらに慶次から顔面に小便を浴びせかけられたうえ、卑劣漢に相応しい名として「小便首の三左」というあだ名を付けられた。この一件で失った右足は膝から下が義足になっている。慶次のことを心底恨み続けており、特大の抱え大筒で背後から狙撃しようとするが、捨丸があらかじめ施していた細工で暴発・自爆した。
松田憲秀
秀吉との戦いのとき篭城策を提案した。その後秀吉方に寝返ようとした。ガマガエルのような風貌をしている。

松田左馬助
松田憲秀の息子。秀吉方に寝返ろうとした父を裏切った。

成田氏長
北条家家臣。秀吉方に寝返ろうとした。しかし、秀吉はその書状を氏政に届けさせた。史実では氏長の居城である武蔵国忍城は小田原開城後も篭城を続けている。

伊達家

伊達政宗
独眼竜の異名で知られる奥州の大名。プライドが高く、非常に疑い深い。秀吉とその配下の大名らを相手に覇権奪取の野心に燃える一方で、弟の小次郎や気性の激しい母・義姫との不仲に頭を悩ませている。
初体面時の慶次の印象は最悪で、政宗の事を餓鬼呼ばわりした。その後、小田原への参陣を求める秀吉からの使者として慶次と正式対面した際も、生来の疑い深さから不遜な態度を崩さず、慶次を辟易させた。だが慶次と殴り合いを演じたことをきっかけに心が通じ合い、和解する。

片倉小十郎
伊達政宗の側近。度々政宗を諫言した。

伊達輝宗
政宗の父、本作では名前の記述は無い。隻眼であることから母親から疎まれ、心を痛めていた少年の頃の政宗を、熱い拳と深い愛情で一人前の武将へと育てあげた。

保春院
政宗、小次郎の母。通称「鬼姫」。小次郎を溺愛しており、伊達家当主である政宗の毒殺を目論む[21]が失敗。逆に小次郎の処刑(実は偽首)を見せられ、精神的にダメージを受け自失した。
伊達小次郎
政宗の弟。母の保春院から溺愛され言いなりになっていたが、内心は兄である政宗を慕い、一人前の男として自立することを望んでいる。表向き処刑されたことになった後、名と身分を捨て僧形となり、自らの意思で伊達家を出た。
岩茎鬼十郎
政宗を説得に来た慶次を殺そうと、小次郎が差し向けた刺客。大柄で非常に人相が悪い。厳しい剣術の鍛錬によって陰流を修めており、腕前に相当な自信を見せていたが、慶次から「お主は元々弱いから、そこまで凶相になるほど鍛えなければならん」と一笑に付された上、何も出来ずに敗北した。

海の民

与四郎
南海の獅子と呼ばれ、琉球を拠点にする海族の長。若き日の千利休と南蛮海賊の虜囚にされていた南蛮人女性との混血児。利沙と与次郎の父。父・利休から秀吉の朝鮮出兵、そしてその背後にあるイスパニアの謀略を知り、病を患いながら日本にいくさ人を探しに来た。カルロスと壮絶な死闘を演じた後、利沙の絵を慶次に託して逝った。

与次郎
与四郎の子。ヌンチャクによる棒術が得意。与四郎の死後、海族の長となる。慶次たちの首里の戦いに同行。登場の際の三べん回ってワンを行うエピソードは原作の庄司甚内(甚右衛門)のものの流用。

じいさん
与四郎が棟梁の頃からの仲間。与四郎が逝った後は与次郎を良く支える。カルロス率いる南蛮船との海戦後にやって来た堺奉行の船団を道連れにするためルソン壺で挑発、与次郎に「自由な海を行きなされ」と言い残し船と命を共にした。

涼花
宗次の妹で与四郎の妻。胡弓が得意。

カルロス
宣教師を装ったイスパニアの兵士。普段は穏やかな顔だが、戦闘時になると別人のように顔が豹変する。「手」を使う。慶次をあわやというところまで追い詰めるほどの猛者。彼も利沙を欲しており、凄まじい執念をみせた。海の上での戦いで、利沙を巡って改めて対決する約束を慶次と交わすが、竜嶽の罠にはまり、命を落とした。

コエーリョ
キリシタンに協力しない島津を討とうと、軍隊の派遣をイスパニア政庁に要請した宣教師。

納屋助左衛門
ルソン島からルソン壺を持ち帰った堺の商人。

宗次
琉球の海族の棟梁。与四郎を救おうと矢玉100本を体に受け重傷となる。島に着いた後、与次郎に後事を託し息を引き取る。

与四郎の配下であったが留守中裏切り、利沙を琉球王府の役人に紹介する。その後自らの過ちを悟り慶次達と一緒に行動を共にする。目標は南海一の商人。原作の弥助に相当する。
春麗
明の海賊張啓の婚約者。張啓が死んだためその後を継ぎ100人規模の海賊の頭目になる。琉球に向かう途中慶次たちと会い行動を共にする。慶次のことを気に入るが、捨丸に対してもまんざらでもなかった様子。

張啓
春麗の婚約者で明の海賊の首領。劇中では既に故人。春麗の口ぶりからしても、つい最近に戦死してしまったようである。

琉球王国

尚寧
琉球国の王。利沙を側室にしようとしたが、利沙の意思を尊重した。毛虎親方から幼少の頃から武芸を習っていた。
毛虎親方
尚寧王の重臣。王の幼い頃から仕える宰相の一人。武術と妖術の達人。なお「親方」は「うぇーかた」と読む。

竜嶽親方
尚寧王の重臣。海賊上がりだが、琉球の国庫を任されるほど出世した。毛虎親方五人衆をまとめて倒すほどの腕前。クーデターを起こし、慶次と互角以上の戦いを繰り広げたが尚寧に阻まれ、斬り捨てられる。斬られた直後は、まるでそれを望んでいたかのような晴々とした表情をしていた。

火嘉宇堂
地頭代の弟で、「マムシの火嘉」と呼ばれる。残忍で横暴な性格をしており、地頭代の威を借りて悪辣非道な行為をしていた。カルロス以上に利沙に対して変態的な愛情を抱いており、彼女を強引な手段で奪おうとするが慶次にボコボコにされる。その後、罪を犯したことが兄に知れて成敗された。
火嘉宝山
火嘉宇堂の兄。利沙たちが暮らす南海の孤島の地頭代であるが、仕事を部下に任せて海人に姿を変えて釣りに没頭する。それゆえ住民はその部下を地頭代だと信じていた。自分が知らない間に弟・宇堂が悪行をなしていた事実を知るや、即座にその弟を切り捨て、その態度は慶次を感服させた。利沙が連れ去られた時、毛虎親方五人衆の錦と戦った。慶次の首里への旅に同行する。

美耶
利沙に仕える侍女。最初は慶次をカルロスの手先と誤解して警戒していた。「自分の言っていることが間違いない」と言い張っていたが、結局全部間違っていた。

最長老
利沙たちが住む孤島の長老。昔は七つの海を渡り歩いた海族。利沙と慶次を公認するが、逆恨みした火嘉宇堂に襲われる。その後、慶次にかつて使っていた強弓を託し利沙の手を慶次の手に合わさせ「自由な海を行け」と残し安らかに絶命する。


琉球の役人。武が挨拶を済ましたらしい。

宗元
慶次たちが琉球で会った琉球士族出身の役人。最初は慶次を密偵と疑うが、慶次の心を知り飲み明かす。
駿
宗元の部下。
応魁
宗元の部下。

善継、鏘、胤芾、遵
宗元の部下。慶次と宗元が飲んでいた店で他の客のふりをして慶次を監視していた。

長英
宗元の従弟。琉球王族の血を引いている。しかし、宗元が会った長英は毛虎親方が変装していた。

琢全
琉球の役人。がめつい性格で賄賂がないと何もしない。松風を気に入り我が物にしようとしたが、結局お仕置きされた。

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