「メディアスクラム media scrum」って、何のこと?

nofrills
また珍説が出回っているようですが、「イメージ」だけで語らず、実際の用例を、なるべく丁寧に見ましょう。

メディア = media, スクラム = scrum. 辞書で語義を確認しましょう。

「メディア media」については、辞書を見るまでもないかもしれません。 “the means of communication that reach large numbers of people, such as television, newspapers, and radio” (Collins) という定義です。

「スクラム scrum」は、”rugby: the act or method of restarting play after an infringement …” (Collins) とあるように、ラグビー用語の「スクラム」です。

Scrum
ラグビーのこのプレイですね。

“スクラム(英: scrum)とは、ラグビーユニオンやラグビーリーグといったスポーツにおける試合再開の型(いわゆるセットプレー)の一つである。……スクラメージ(英: scrummage)の短縮型。”
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B9%E3%82%AF%E3%83%A9%E3%83%A0_%28%E3%83%A9%E3%82%B0%E3%83%93%E3%83%BC%29

「スクラメージ (scrummage)」という語句は……「スクリメージ(scrimmage、小競り合い)」が変化したものである。スクリメージは、同様にskirmish(小競り合い)に由来あるいは音変化したものである。スクラメージという用語は、「スクラム」に短縮されるまでの長い間ラグビーフットボールのルールで使用されていた。
スクラム (ラグビー) – Wikipedia

……と、こういう定義ですが、これが比喩的に、ラグビーの外の世界に持ち出されているわけです。コア・イメージは「密集する」、「我先にと争う(小競り合い)」。

余談ですが、スポーツ用語が日常に転用されている例はこれだけではありません。「野球」人気が高い日本語圏では、何人かが発表を行なう場合の1人目を「トップバッター」と呼ぶ、企画が大当たりすると「特大ホームランだね!」と上司に微笑みかけられる、など。

— n
1. [rugby] the act or method of restarting play after an infringement …
2. [informal] a disorderly struggle

— vb (usually foll by down ) , scrums , scrumming , scrummed
3. [rugby] to form a scrum
Scrum | Define Scrum at Dictionary.com

これは、 Collins English Dictionary – Complete & Unabridged 10th Edition の定義より。ラグビー用語としてのほかは、俗に「規律のない争い事」の意味で用いられる、とあります。動詞の用法では「ラグビーでスクラムを組む」。

日本語では「みんなが一致団結してことにあたる」ことを「スクラムを組む」と表現することがありますが、英語ではちょっと微妙ですね。ソフトウェアの開発でいう「スクラム」も、発端は日本語圏の人のようだし……
http://en.wikipedia.org/wiki/Scrum_%28development%29

Media scrum:
Origin of the term

A scrum in rugby is a procedure to restart the game. From the outside, it may seem to involve players from both teams clustering tightly around the ball competing for possession. Analogously, in a media scrum reporters cluster around a public figure competing for his or her attention.
Media scrum – Wikipedia, the free encyclopedia

【対訳】
メディアスクラム:
語源

ラグビーにおけるスクラムとは、ゲームをリスタートするための手続きである。外からは、両チームのプレイヤーたちがボールのポゼッションを争ってボールの周りに密集して固まることを言うように見える。(そこから)比喩的に、『メディアスクラム』においては、記者たちは公的な人物(取材対象者)の周囲に集まって、自分こそが注意を引こうと競い合う。

Media scrum
つまり、誰かがどこかから出てきたときにマイクを持ったレポーターが何人も、場合によってはカメラを持った撮影スタッフを引き連れてわっと押し寄せ、「○○さん! △△の件についてどう思いますか!」などと声をかけまくる、という状態。

日本語で言う「ぶら下がり取材」(後述)です。

具体例を確認してみましょう。

実際には、取材対象者は囲まれてしまえば先に進めなくなるので、そこで立ち止まって、マイクを持ったレポーターたちの質問に答えるわけです。

それが、ウィキペディア(この項目、あまりよい記述ではない)では “impromptu press conference” (即席の記者会見)と表現されています。正式にセッティングした記者会見(椅子やマイクがあるような)ではないが、実質、記者会見と同じように質疑応答をおこなう、という意味です。
http://en.wikipedia.org/wiki/Media_scrum

下記はアメリカでの典型的な例。


Thierry Henry (ティエリ・アンリ) はサッカーのスター選手です。練習を終えて出てきた彼を、記者たちが取り囲み、質問を開始します。

これも、あらかじめ場所は決まっていたのだろうと思いますが、取材対象者が出てくるところに報道陣が待ち構えていてマイクを向けるという「メディアスクラム」のスタイルでのインタビュー取材です。ラジオ局の、放送用の音声を録音するマイクが手前に並んでいます。

これは政党の公式チャンネルの映像で、1月下旬のアイルランドのダブリンでの模様です。外は寒いのだから、どっか屋内で話せるようセッティングすればいいのにと思いますが、そうしていないんですね(理由はわかりません)。

今度はテクストでの例を見るため、Google Newsで “media scrum” を検索してみましょう。

media scrum – Google Search via kwout
なんか、格闘家(らしき人)の記者会見の話ばっかりですね……時期的なものかな。

Video: Dana White UFC 158 post-press conference media scrum
Video: Dana White UFC 158 post-press conference media scrum – MMAmania.com

「ビデオ:UFC 158のダナ・ホワイトの、記者会見後のメディアスクラム」。記者会見が終わったあとに、記者がさらに質問をしているんですね。

UFC 158というのは競技団体だそうです。
http://en.wikipedia.org/wiki/UFC_158

He did not take questions, but said in a media scrum afterward that he wanted to spend more time with his family.
Lautenberg: No re-election bid, but not retirement – US News and World Report

「彼は質問には応じなかったが、あとで行われたメディアスクラムで、家族と過ごす時間をもっと取りたいのだと述べた」

(これは日本語では「ぶら下がり」と呼ばれるあれのことでしょう)

ぶら下がり(ぶらさがり)とは、会見場やホテルなどを使う通常の記者会見とは異なり、記者が取材対象者を取り囲んで行う取材形式のこと。ぶら下がり取材(ぶらさがりしゅざい)とも。
ぶら下がり – Wikipedia

※補足(共同通信の澤康臣さんより)

Yasuomi SAWA@yasuomisawa

ただ「ぶら下がり」は即席会見だけでなく、移動中の人に近寄ったり立ち止まっていただいたりして質問する形態を広く指すように思います。「会見後、会場を去る●さんにぶら下がって追加の質問をした」など。だから1-2人でも可能かと思います RT @nofrills 
日本語の「ぶら下がり」は英語のdoor-steppingも含む(場合がある)ということですね……(例:事務所のドアから出てきたところに1人の記者が質問に行き、駐車場までずっとついていく、という形も日本語で「ぶら下がり」)

During a media scrum that follows sessions at U.S. District Court, Bobby Ferguson attorney Mike Rataj got …
Ferguson attorney, reporter nearly come to blows | The Detroit News | detroitnews.com

「US District Courtでの審理のあとに行われたメディアスクラムで、ボビー・ファーガソンの弁護士、マイク・ラタジュ氏は、……」

(これも「ぶら下がり」ですね)

… Collins told reporters during a media scrum following Mass at St. Michael’s Cathedral, …
Mississauga Article: GTA Cardinal will help choose new pope

「…と、聖ミカエル大聖堂でのミサのあとのメディアスクラムで、コリンズは記者らに語った」

(これも「ぶら下がり」的な「即興の記者会見」です)

Dr Fuentes, who arrived amid a media scrum at the Madrid court, is …
Doctor in cycling doping trial – ITV News

「Fuentes医師は、メディアスクラムの中、マドリードの法廷に到着したが、……」

(これは、もっとこなれた日本語にするなら、「大勢の報道陣が待ち構える中」ですね)

こんな感じで……

(上のDr Fuentesの件とは無関係の写真です)

IAN Macdonald forged through the media scrum outside the Independent Commission Against Corruption’s Castlereagh Street headquarters …
Wiping smiles off their faces | thetelegraph.com.au

「イアン・マクドナルド氏は、独立汚職調査委員会のカッスルリー・ストリート本部の前のメディアスクラムをかき分けて……」

(これも「大勢の報道陣」ですね)

Beckham looked relaxed and happy in his new surroundings as he addressed the media scrum.
BBC Sport – David Beckham: What does Paris St-Germain move hold for veteran

「ベッカムはメディアスクラム(記者団)に向かって話をしているとき、新しい環境でリラックスし、楽しく過ごせている様子だった」

一方で、こんな「説」が流れているらしい。(らしい、というか、流れていることを私も確認した。)

“まず、言葉の使い方として、今回問題になっている一部の取材対象に大勢のマスコミが集中してしまうことを「メディアスクラム」とは呼びません。”
http://news.nicovideo.jp/watch/nw516866

(以下、原文のままのコピペ)
本来の「メディアスクラム」とは、国家権力や巨大企業など、一報道機関では立ち向かうことが難しい相手に対し、複数のマスコミが一体となってキャンペーンを張ったり、糾弾することを指す言葉です。
(以上、コピペしたけど……えっと……)
「メディアフレンジー(狂乱)」に沸く被害者取材 | ニコニコニュース

……
“一部の取材対象に大勢のマスコミが集中してしまうことを「メディアスクラム」とは呼びません” の部分は、言いたいことはわからなくはないです。つまり「過熱報道」の意味でmedia scrumとは言わない(media scrumとは単に「記者が大勢集まっている状態」を指す)と言いたい、いうことでしょう。(その真偽は次ページで検証します。)

しかし、そのあとの “本来の「メディアスクラム」とは……” 以下が、まったく決定的に間違っている。

「メディアスクラム」というのはこういう状態のことで……

“The media scrum surrounding Mr. Abbott.”
http://www.queanbeyanage.com.au/story/1301716/gallery-tony-abbott-visits-queanbeyan/?cs=8

写真キャプション:
“The media scrum surrounding Mr. Abbott. Photo: Andrew Johnston”

こういう状態が、例えば事故に巻き込まれて負傷した人の病室で起きることもありうるし、実際にあったわけです(次ページ参照)。

「国家権力や巨大企業など、一報道機関では立ち向かうことが難しい相手に対し、複数のマスコミが一体となってキャンペーンを張ったり、糾弾することを指す言葉」では、ありません。

もうひとつ、例を見ましょう。

これはオーストラリアの報道機関の映像、1分足らず。英語わかんなくても見てください。誰もほとんど何もしゃべってないので英語なんかできなくたって問題ありゃしません。

何か大きな事故を起こしたのでしょう、過失致死で起訴されたトラック運転手と弁護士が法廷から出てきたときに、大勢の記者にマイクを突き付けられついてこられる、という映像です。

これが、「メディアスクラム」と表現されています。

トラック運転手は刑事裁判の被告ではありますが、「国家権力や巨大企業など、一報道機関では立ち向かうことが難しい相手」では、断じて、ありません。

“日本で使われている「メディアスクラム」は、「和製英語的なもの」だ”、というなら、まだ妥当*かも*しれません。

メディアスクラム めでぃあすくらむ

報道被害の一種。注目される事件において、テレビ・新聞・雑誌などのメディアによる取材が集中すること。

それまで無名の一般人だった取材対象者や家族、その周辺に多数の報道陣が押しかけ、長時間にわたって、またときには激しいやりとりで映像や談話を取ろうとすることで、プライバシーや静穏権の侵害など多くの被害を生むことがある。
メディアスクラムとは – はてなキーワード

これが日本での「メディアスクラム」。

「記者がいっぱいいる状態」のことは、日本語では「大勢の報道陣が詰めかけ」的にカタカナを使わずに表現していると思います。

しかし、実は、「和製英語的なもの」でもないということなんですけれども。

Yasuomi SAWA@yasuomisawa

英国のメディア用語集「キーコンセプツ・イン・メディア・スタディーズ」でメディアスクラムは日本と同じ意味のようです。1987年フェリー事故での病院内の記者と家族のトラブルも紹介し警告 @montagekijyo pic.twitter.com/9nz0qmlM
Key Concepts in Journalism Studies (SAGE Key Concepts series)
ペーパーバック: 384ページ
出版社: SAGE Publications Ltd (2005/5/19)
言語 英語, 英語, 英語
ISBN-10: 0761944826

ええと、澤さんが見ていらっしゃるのはこの本かな……あらまあちょっと奥さん、耳寄り情報。この本、「なか見検索」あるわよ!


https://matome.naver.jp/odai/2136095645340053301/2136097039940975803
澤さんのお写真と同じデザインであることが確認できました。キャプチャ画像ではもちろんつぶしてありますが、多分中身も同じです。

1987年のフェリー事故のときに病院に取材陣が押し掛けた事例に言及したあと、1996年のダンブレーン学校銃撃事件(わからない人は検索してください。私が過去に書いた物なども出てくるはず)のころにはいくらかの教訓は浸透していたようで、記者は突撃取材 (door-stepping) をしないことなどとブリーフィングを受けた、ということを述べています。

Yasuomi SAWA@yasuomisawa

英国でのメディアスクラム、被害者の方々への取材実態については英記者インタビューなどを拙著「英国式事件報道」でも紹介させていただきました。(宣伝でたいへん恐縮です)が…)@montagekijyo
英国式事件報道―なぜ実名にこだわるのか
英国で大ニュースとなった、イングランドのある街の売春婦/セックスワーカー連続殺害事件の報道をひとつの軸として、「どのように報道するか」をメディアの「中の人」たちに丁寧に取材して書かれた本です。

この本は本当にいろいろ勉強になりました。個人的に、いつも読んでるメディア(ガーディアン)の記者が取材されているということで「手触り」を感じつつ、「実名」ということ、「顔」が見えるということはこういうことか、と。

John Lemon@montagekijyo

「メディアスクラム」って米語でも英語でも日本と同じ意味みたいですよ。RT @uesugitakashi: RT @Queeenpenguin: 上杉隆の東京脱力メールマガジン「メディアフレンジー(狂乱)」に沸く被害者取材 bit.ly/14TyntW
むー。確かに今は、media frenzyの表現のほうが多いかもしれないです。

でも、media frenzyって、例えば「被害者の家族に取材が殺到する」ような状態というより、「メディアが大騒ぎ」することじゃないかと……。リアルタイムでは、オスカー・ピストリウスですね。あと数か月前の「愛のペンタゴン」騒動、「豪州のラジオ局のいたずら電話にひっかかったキャサリン妃の入院先の看護師が自殺」した件(でのラジオ・パーソナリティに対する反応)……。

BBC – Search results for “media frenzy” via kwout
どちらかというと批判的なトーンの表現なので、「メディアが騒いだことで政府を動かした」みたいな成功例には用いられないかも。あとしょっちゅう騒いでるタブロイドが自分たちの態度について使う、ということもないかも。

ごちゃごちゃ言ってないで、BBCで検索してみました。

やはり「豪州のラジオ局のいたずら電話にひっかかったキャサリン妃の入院先の看護師が自殺した」件でのラジオ・パーソナリティへのモブ的心理攻撃を煽り立ててた件ではほっかむりですね。(BBCひどかったんですけどね。)

… the story has caused a local and international media frenzy.
BBC News – Oscar Pistorius: South Africa stunned by murder charges

これは「過熱報道」ですね。オスカー・ピストリウスの殺人容疑。

See also: あの「ブレードランナー」、オスカー・ピストリウスが殺人容疑で起訴
https://matome.eternalcollegest.com/post-2136085506720023801

“… A media frenzy on topics like territorial disputes and missile launches prevails in Japan. …”
BBC News – China and Japan’s media in war of words over radar issue

これは文脈を示さないといけないので示しますが、日本と中国とのいさかいについて、中国の Chinese Academy of Social Sciences という機関に所属する学者さんか研究者さんのコメントです。「領土問題やミサイル発射のような話題では日本ではメディア・フレンジーの状態になる」。(これはその通りだと私も思いますが。)

… the Faull family has said that they feel the death of their loved one has been overshadowed by the media frenzy the software pioneer has whipped up.
BBC News – Fugitive John McAfee flees Belize for Guatemala

アンチ・ウイルスのソフトウエアの開発者として著名なジョン・マカフィーが最近アレなことになってて、ついに殺人容疑で……という件の関連。

これは「過熱報道」のあまり、「被害者置き去り」になってる状態ですね……。今のピストリウスの件とよく似ている。殺人事件で加害者が著名人だとどうしてもこうなるんですね。フィル・スペクターのときもそうだった。

After a week of media frenzy, the dust has already started to settle on “the Petraeus affair”.
BBC News – What can David Petraeus teach the Pentagon?

「愛のペンタゴン」の件。「メディアは1週間大騒ぎしたが、既に事態は沈静化しつつある」

See also: ペトレイアスCIA長官、突然の辞任―「まさかあの人が、こんなことで…」
https://matome.eternalcollegest.com/post-2135252008144219001

He said there had been a “media frenzy” surrounding the child abuse allegations in Wales …
BBC News – Lord McAlpine says abuse claims false and defamatory

あ、これは日本語の「メディアスクラム」にちょっと似てますね。これはジミー・サヴィル(故人、テレビ番組司会者)の未成年者性虐待事件についてのメディアの調査報道が進められる過程で、「サヴィルだけではない」、「ほかにも大物に疑惑」、「政界にも飛び火か」的な噂が出て、「あの人がやばい」と名指しされたケースです。

See also: 英BBCは、昨年病死した往年の名物司会者のスキャンダルをどう扱うのか。
https://matome.eternalcollegest.com/post-2135094415462833301

her breakthrough performance on ITV1’s Britain’s Got Talent in 2009 and the subsequent media frenzy.
BBC News – Susan Boyle musical opens in Newcastle

そういえば、スーザン・ボイルさんがテレビのオーディション番組で「美声を披露」したあとも、「メディア・フレンジー」としか言いようのない状態でした。(ああいうのはだいたい仕込みなんですけどね。元々メディアの紙面を確保しておいてからやるという形の。)

The media frenzy concerning the IAEA report on Iran’s nuclear programme reminds me of the famous ‘dossier’ the former British Prime Minister Tony Blair used to convince the British parliament to invade and occupy Iraq.
BBC News – World press fear strike on Iran after IAEA report

これも文脈必要ですね。2011年11月のイラン核開発に関するIAEA報告書についての、オマーンのアル=ワタン紙の書き手の反応。

His wife Janice later told the inquiry into his death that her husband had been utterly dismayed by the media frenzy around him.
BBC News – Dr David Kelly: Controversial death examined

ドクター・デイヴィッド・ケリーをめぐる「メディア・フレンジー」は、本当にすごかったですね。「憶測」、「推測」はもちろん、「~の可能性は否定できない」の形式による「陰謀論」もネット上の「巣」を飛び出してメインストリームに出ていたし……。

Frenzyの画像検索結果より
“frenzy” とは「熱狂」の意味です。冷静さのかけらもないような状態。
http://dictionary.reference.com/browse/frenzy

スターが出てきて、ファンが「きゃ~、サインください!」となる状態など。

メディアでこれが起きる要因はいろいろあります。「常に新しいことを書かねばならない」というプレッシャー、「同業他社に先を越されるとまずい」というプレッシャーなどなど……。

……であるにも関わらず、あたかも「そういうことが起きるのは日本だけ」であるかのように(あるいは情報の受け手にそう思わせるように)、ろくな根拠もなく言い募ることは、不誠実の極みです。

以上、まとめると、「メディアの熱狂」など、どこでも起こることです。それを「メディア・スクラム」と呼ぼうが「メディア・フレンジー」と呼ぼうが、中身は同じです。

(ただし「メディア・スクラム」には「報道陣が大勢詰め掛けている状態」という意味もあります)

(でも「メディア・スクラム」には「みんなで協力して巨悪に立ち向かう、ワン・フォー・オール、オール・フォー・ワン!」的な意味は、普通の用例では、ないです)

英語での表現のバリエーション

Media circus is a colloquial metaphor, or idiom, describing a news event where the media coverage is perceived to be out of proportion to the event being covered, such as the number of reporters at the scene, the amount of news media published or broadcast, and the level of media hype.
Media circus – Wikipedia, the free encyclopedia

「メディアサーカスとは、口語での暗喩表現、慣用表現である。ある出来事について、メディアの扱い方が不釣り合いに大きいような場合に用いる。例えば現場に出る記者の数が過大である、新聞やテレビでの取り上げ方が過大である、メディアの騒ぎ立て方が尋常ではない、という場合をいう」

ウィキペディアによると、概念はもっと前からあったが「メディアサーカス」という用語は1970年代半ばに使われ始めたとのこと。

日本でこれがよく発生するのは、芸能ネタですね。女優の薬物乱用、歌舞伎俳優の暴力事件、アイドルグループの人気投票など。「そんなに大ニュースにする必要あるのかよ」という感想が多くの人から出るような。。。

See also:

実例追加

Alice Bhandhukravi@AliceBhand

But of a media scrum outside Claridges where campaigners are protesting by #breastfeeding outside pic.twitter.com/dqGchjxoar
UKIPのナイジェル・ファラージがロンドンのラジオで「公共のスペースで授乳する女性は部屋の隅で見えないようにこそこそやるべき」という内容の発言をして:
http://www.theguardian.com/politics/2014/dec/05/nigel-farage-ukip-claridges-breastfeeding-mothers

育児中のママたちが激怒、抗議行動。それに群がる(まさに「群がる」感じ)のメディアのフォトグラファーたち。

「キャンペーン」なので撮影されることが目的であるとはいえ、うんざりしますね。そんなに「珍しい」のか、と。

https://matome.naver.jp/odai/2136095645340053301
2014年12月07日