【テレビでも話題】twitter短編小説まとめ Part2

black_berry
今twitterで話題の短編小説のまとめpart2です。140文字で作る物語。
深い森の中、飢えたオオカミが、ようやく捕えた野うさぎを貪り食っているちょうどその時、僕は、ソファに座り、バラエティ番組を見ながらポテトチップスを食べている。千光年離れた宇宙で、地球侵略を目論む大量のUFOが地球に向かっていることも知らずに。#twnovel

いでゆのまち@ideimachi

私の家族を見殺しにした、世界一憎い男。その男に抱かれ、私は涙をこぼす。 #twnovel 「お願い、いかないで」同じ男にすがって私は泣く。本当はわかっていた。宇宙へ逃れなければ、滅んでいたと。微笑んで彼は逝った…人類最後の男。娘たちを抱きよせ、私はお腹をさする。きっと男の子を。
この恋心をどうやったら捨てられますか?苦しくて堪らない!時間薬と言うけれど時が過ぎてくれないんです!日頃の彼女からは想像つかない様子に驚いた薬学部教授だが、そっと掌に研究室の鍵を握らせた。…数年後。彼女はノーベル賞を受賞。恋心を忘れる薬は多くの自殺を食い止めた。#twnovel

麻倉@AR_322

お花見をしようと約束したのに、君は毎晩、頬を桜色に染めているばかりだった。それが小康状態まで落ち着いた頃には葉桜も繁々で、それもまた、と言った君は葉が落ちるころに逝ってしまった。悔しくて、腹いせにその幹を蹴り倒したい。だがそれが出来るほど、己は屈強ではなかった。 #twnovel
「もうすぐ結婚式だ」とつぶやいたら「結婚なさるんですか?」と君からのリプライ。なんだか訳の分からない見栄と寂しさから、友人の式ですと答えられず「ええ、まぁ」と返したオレは既婚になり、居もしない嫁と離婚が成立。そしてやっと私は君と再婚する。 #twnovel 「もうすぐ結婚式だ」

豆太@創作垢@sosnority2

獏はそういう生き物だ。夢を食い、人間にまぎれて生きる。夢を食うために昼間は眠り、夜型の生活を送る。足しげく彼の元を訪れるようになった女の飯をうまいうまいと食べては、彼女が帰ったあとで嘔吐した。獏は消化器官を持っていなかった。「また飯、作ってよ」「うん、いいよ」 #twnovel

にこ@hisohisohisori

好きでは足りない、でも、愛してるでは大きすぎる。この何とも言えない確実でいて曖昧な感情を、どうすればいいのか。互いの思いは同じなのに、測れぬはずの重さが邪魔をしている。僕は君が好きだ、けれど、君が僕を思うほど、僕は君を好きではない。 #twnovel
#twnovel 休み時間に携帯電話を睨んでいる。何をされてるんですか?「NHK見なかった?超短編小説が流行ってるんですって」はあ。それで、何を。「狙ってるの。賞。そしたらね、こんな会社は辞めるの」それで一生食えると信じる目。白馬に乗った王子様もまた、いない。そう教えてあげよう。
さりげなくいつも僕を見つめてた君。さみしげな君の眼差しに気付かなかった僕。そんな君とこんな僕が初めて出逢ったのは君が流した涙を僕が拾った瞬間。冷たくて暖かい真冬の星の瞬かない日、見つめてた僕。気が付かない君。こんな僕とそんな君の間に時間と言う雪が降り積もってる。 #twnovel

オガタx世界卵@eggofuniverse

#twnovel 背筋をしゃんとしたら、腹が裂けて中身がこぼれた。内部空間の体積を遙かに凌駕する幾つもの赤い球体が溢れ出た。柔らかいガラス状の林檎大の物質は、平坦な地上をどこまでも転げて、広範に散らばったらしい。裂けた腹のほうはひとまず縫い合わせはしたが、今もまだ極大空虚である。

キヨシロウ@kiyoshiro_aoi

#twnovel 節分の日の深夜に何処からともなく聞こえてくる声。「おにはーそとー」すると日本中の家庭で撒かれた豆が突然目覚めたかのように光を放ち始め、周りの放射性物質を次々と吸着させていった。「おにはーそとー」日本全国の家内安全を願いつつ豆は静かに夜空の彼方に飛んでいった。

日向日影@hyuugahikage

#twnovel ゆらり、と揺れて、僕は気がつくと僕を見ていた。そうか、ここは霊安室で、頭が痛かったから脳の何かなのだろうか。不思議と驚きも悲しみもない。ただ僕の回りで泣く家族や恋人を見ているのはやはり辛く、僕は聞こえることを願って「ごめん」と呟き二度と開かない目を閉じた。

黒屋@Brack_market

今日は節分だから豆をまこうと思う。しかしどうやってまこう。まずは茹でなくてはならないだろう。まくのは豆だけで良いのか? いや、良くないだろう。豆だけでは味気ない。これとこれもまいて…着々と計画は進む。…よし。できた。これが恵方巻きだ。やはり具が豆だけでは味気ない。#twnovel

黒目ソイソース@ghostsoysauce

あちこちから豆まきの掛け声が聞こえる中、防人家も豆を携え庭へ出た。隼と薔薇は元気よく思いきり豆を投げまくり、鶺鴒はのんびり種を蒔くようにゆったりあたりを眺める。逃げ惑う小さな物の怪たちに混じり、人をとって喰いそうな巨大な妖までも泣きながら夜空を走りまわる光景を。#twnovel

lilly mallard@lillybqymallard

twnovel
魔女の水晶に映ったのは、宇宙空間で嘆き続ける一人の男の姿だった。「これは?」「永遠の命を望んだ男の末路さ」「どういうことだ?」「地球が滅亡してただ一人宇宙空間に放り出されたのに、死ぬに死ねないのさ」 #twnovel

miecha_orz@miechorz

#twnovel 恵方巻きを食べるとき無言でいなければならない。そのルールを知ってから我が家の節分は変わった。誰かが恵方巻きを食べていれば変な顔やダジャレで笑わせようとする。笑いの罠から逃れるためには隠れて食べるか、急ぎ食べるしかない!「……で、そんなに早食いになったと」「うん」
シャボン玉が空に舞っている。「また誰か扉を開けたか」夢の世界への扉を発見して十年。当時、己の欲望を満たすべく大勢の人が押し寄せ、後に誰一人戻ってこなかった。今では封鎖されているが、禁断の果実を食べた人類に抗う術はない。シャボン玉がまたひとつ、音もなく弾けた。 #twnovel
夫婦関係は冷え切っていたが、節分の日だけは二人仲良く恵方巻きを食べて豆まきをした。「鬼は外!福は内!」これ以上ない願いを込めて豆をまいた。そして翌日、嫁は実家に帰って行った。
#twnovel

あやばね@ayabane

パーカーの紐が抜けかけていた。「貸して」貴女は紐の頭を探り、器用にぐりぐりと戻す。紐はまるで、愛情のよう。偏れば、それは抜け落ち、二度と戻らなくなってしまう。「これで、よし」端々に結び目を作ってくれる。そして僕の不安を拭い去るように、貴女は僕の唇の中身も結った。 #twnovel
同点で迎えた9回裏2アウトランナーなし。現役最後のバッターボックスに静かに入る。集中している。観客の応援など一切の音が聴こえない。ピッチャーの腕から放たれた豪速球が向かってくる。狙える。ジャストミートしようとしたその時、球が消えた。だから野球盤はきらいだ。 #twnovel
https://matome.naver.jp/odai/2135990059520357101
2013年02月09日