NAVERがイラスト無断転載の場となってしまっている件について

ねぐされJAPAN
無断転載イラストまとめを告発・拡散する前に、まずNAVERの特性について知ってください。あなたが義憤に駆られて拡散すると、作成者の思うつぼなんです。

NAVERまとめが無断転載の温床になっている残念な事実

NAVERまとめは日本のオタク文化の敵になる。
本サービスを利用してサブカルや腐情報などを発信している身としてはまことに遺憾であるが、そう思わざるを得ない。

NAVERまとめが文化に対してもたらす不利益の最たるところは「無断転載」である。今、NAVERまとめには、人気アニメ・漫画の二次創作イラストを無断転載したまとめが乱立している。pixivなどに投稿された、あるいは各人のサイトで公開されたものである。

あえてここでそれらのまとめを紹介するようなことはしないが、(理由は後述)そのようなまとめを問題視する声は、Twitterでもよく聞かれる。

黒バスのイラストが200枚以上も無断転載されています…。これホントどうすんの!?matome.naver.jp/odai/213364911…

とじこ@tozicochan

【都道府県の擬人化イラストがすごい!】matome.naver.jp/m/odai/2134735… すげぇ堂々とした無断転載だな!
黒バスのイラストが200枚以上も無断転載されています…明らかに全開Ibのイラストを大量転載してた人と同じ人がやってるみたいだし本当もう…今回もまた勝手に壁紙として配布しているようです…もう200枚とかどこにどう報告すればいいっちゅーねん… matome.naver.jp/odai/213364911…
【拡散希望?】黒バスも無断転載…と言うかもう多すぎてだれに報告していいか分からないからRTでもしてください…matome.naver.jp/odai/213364911…

このような方々は、本当に心の底から「そんなことをしたら絵師さんに失礼だ」という純粋な動機で拡散をしているはずだ。
実際、「無断転載イラストをTwitterのアイコンに使用」「他者のイラストを自作と偽り投稿」などの事例については、拡散・炎上によって本人に自省を促すことに成功した例がいくつもある。

しかし、あらゆるweb上のサービスの中で、NAVERまとめは少々特殊である。おそらく、拡散型の戦術は効かない。むしろ逆効果である。その点を広く周知したくてこのまとめを作成した。

そのまとめ、拡散する前に!NAVERまとめの特徴を知ろう

NAVERは、まとめを作り、それを見てもらうだけで現金を稼げるサイトである。

自分もまとめを作っている立場なので、あまり綺麗事を言える立場ではない。もちろんこのまとめも、見る人が増えればそれなりの収益を生む。

NAVERまとめは、(一体どういう会社経営をすればそのようなことが可能になるのかさっぱり見当もつかないが、)まとめ作成者全てがまとめの価値に応じて報酬を得ることができる。アフィリエイトのように、「広告を通して購買が発生」というものではない。まとめを見てもらえれば、それだけで報酬になる。
まとめ主が個人的に、絵師・字書き様方にNAVERまとめで自分達のスキルや知識をまとめておこづかい稼ぎ源にしてほしいと思っている所以である。これ以上は宣伝になるので割愛する。

まとめを見る人が増えれば増えるほど、報酬額が大きくなる。

このまとめの右上を見ていただきたい。☆お気に入りの横に、「(数字)view」という表示があるはずだ。これは、ページビューの概算値を示している。このページを見る人が増えれば増えるほどこの数字は大きくなる。

ここからロボット検索などの機械的アクセスを排除して得られたアクセス数の大小に応じて、報酬額が決まる。つまり、まとめを拡散し、より多くの人の目に晒すと言うことは、ページビュー数を増やすのに加担してまとめ主を喜ばせるだけである。

TwitterなどのSNSからのアクセスは、「良質なアクセス」として高率の報酬の対象になる。

あるまとめにアクセスするまでにたどる経路には、様々なものがある。まとめからまとめへ徘徊した場合や、Google検索などから飛んできた場合などがその例だ。
その中でも、「SNSからのリンクを辿ってアクセス」は、「生身の人間の間で話題性が高まって得られたアクセス=良まとめへのアクセス」と見なされ、ページビューに対して高い報酬が支払われる。

無断転載まとめ主を喜ばせたくなかったら、少なくともTwitterなどにリンクを載せるべきではない。

結論:

NAVERまとめにおける無断転載は、「義憤に燃えて無断転載を糾弾する人々」が宣伝してくれてページビューが稼げることを期待しているようなものである。
拡散すればするほど逆効果。むしろ喜ばれる。

「無断転載によって、イラストそのものを目的とする人でなく、それを咎める人によってページビューが増える」ことに味を占めているのだろうまとめ主も存在する。ジャンル無関係に「無断転載まとめ」を乱発すれば、確かに各方面で拡散されることになる。

どうすればよいか?

少なくとも拡散は逆効果。「Twitterのアイコンに無断転載画像使用」のような、つるしあげてさらしあげる戦法は無効化であり、むしろ炎上してページビューを稼げればまとめ主は願ったりかなったりだろう。
地道ながら、今のところ以下のような方法しかない。

権利侵害申告を行う。

※だがこの方法は、権利者本人でない場合あまり聞き入れてもらえないという話も聞く。

まとめ主本人に直談判。

各まとめにはコメント欄がある。NAVERアカウントを持っていればそこで異議申し立てを行うことができる。

また、まとめユーザー本人が自分のサイトURLをプロフィールに記載している場合もある。

少なくともSNSからアクセスしない。

NAVERのページビュー換算基準によると、「まとめからまとめへ」のアクセスであれば、報酬は発生するがSNSからのアクセスに比べると高い報酬対象にはならない。
どうしても無断転載まとめをTwitterで拡散したければ、「無断転載まとめのまとめ」を作り、そちらを紹介することをおすすめしたい。
(なお、私個人でそのようなまとめを作成するか否かについては「なるべくしたくない」と述べておく。リクエストがあればまとめ作成する、とプロフに書いてはいるが、無断転載まとめ主にわずかでも貢献するようなまとめは作りたくない。)

NAVERが改善すべき点

そもそもキュレーションという「情報の切り貼り」がかなり情報の無断転載に依存していることは認めざるを得ない。私自身、まとめを制作していく上であちらこちらから画像を引用しているので、本来であれば無断転載に関して綺麗事を言える立場ではないかもしれない。

しかし、なんの知的労働や付加価値の生産もなしに、ただただ絵師さんの努力の結果を横から盗み、描き手に一銭の報酬も渡らない稼ぎを得るようなまとめ製作は、明確な邪道であると考えている。 オタ向け腐向けまとめ製作者として、善し悪しのボーダーラインはここに引いている。
二次創作文化もまとめ文化も共倒れさせるようなまとめについては、まこと遺憾であるとしか言いようがない。

NAVERが絵師を害するような無断転載を発生させない場になるために、必要なことは何か考えてみた。

悪質な無断転載を指摘された場合のペナルティを強化する

金銭目的のみでまとめ製作をしているまとめ主には、報酬を取りあげることが一番のペナルティになる。
悪質性が認められるまとめからは、過去に遡って収益を帳消しにし、今後もどれだけページビューが得られようと収益対象にしない、程度の対応は必要である。さもなければ、「削除されるまでの短期間でもページビューを稼げれば良い」ことになってしまう。
強硬な対応を取るのであれば、「当該アカウントでいくらページビューを稼ごうが収益を認めない」くらいでもよい。

SNSからのアクセスに過剰な評価をおかない。

SNSで拡散されるまとめが、全て「おもしろいまとめ」「わかりやすいまとめ」であるとは限らない。

まとめの質を向上させるためにSNSからのアクセスを評価するのであれば、「どのような目的で拡散されているか」も考慮し評価観点とされるべきである。当然、これは合理的ではない。そもそも「SNSからのアクセス」を評価の対象とすることに限界がある。

マイナス評価をつける手段を設置する。

はっきりいって、非腐層から嫌悪されがちな腐向けまとめ製作者からすれば、それらの層のユーザーに低評価を連発されるのが目に見えている。だがしかし、無断転載まとめが野放しにページビューを稼ぐのをこのまま放置されるよりは、こちらの収益がゼロになってもなんらかの対策が取られた方がよい。

マイナス評価をつけることで、自分のアクセスによるページビューを加算しない、あるいは一定のページビューポイントを減らすよう評価できればよい。また、マイナス評価の理由を通知できるシステムがあれば、改善の指針も立てやすくなる。

※これまでNAVERまとめにマイナス評価が存在しないのは、マイナスがつくと作成者が嫌な思いをする、という当たり前の感情に配慮してのことだろう。Yahoo!知恵袋などでも、かつて「この質問は役に立った/立たない」という評価だったものが、「役に立った」一択になった。

だが、利益ゼロで情報が交されるサービスとNAVERまとめで同じ配慮をするべきではない。金銭の絡むNAVERは、質問サイトとは段違いに不適切な手段が用いられる場となりうる。

これ以上思いつきません。

NAVERまとめが巨大化している今、まとめが創作界を破壊しないよう

まとめと絵描きが共存できる方法を考える必要があります。皆様もどうか、無断転載問題に関心を持ってください。

まとめ文化と絵描き文化がweb上に健全に共存できるよう願っています。

https://matome.naver.jp/odai/2135576427407944101
2012年12月18日