【知らなかったでは済まされない?】健康保険の落とし穴

gurigurari

シルバー人材センターの男性(70歳)が仕事中に事故にあうも、労災の適用なし!

シルバー人材センターは、「高年齢者等の雇用の安定等に関する法律」(第六章)に基づき、地域毎に1つずつ設置されている、高齢者の自主的な団体であり、厚生労働大臣から許可を受け、国及び地方公共団体からの補助金を交付されている公益法人です。

この法律に基づいての請負又は委託契約を締結することになるので、会社と会員(シルバー)の間には雇用関係をはじめ、いかなる契約も成立しません。したがって、労災事故が起きた場合は、労災保険の適用がありません。
労働者のために働く特定社労士:【厚生労働省】健康保険の区分を廃止の方向へ

労働者の為に働く社労士

健康保険も使えない・・・・・。

一方、健康保険法は、被扶養者を含めて業務外の事由による疾病等に関して保険給付を行うこととされているため、業務遂行の過程において業務に起因して生じた傷病は、健康保険の給付対象となりません。シルバー人材センターから派遣された方は、労災保険は使えない、健康保険も使えない、現行の制度ではまさしく制度の谷間に落ちてしまっていたのです。
労働者のために働く特定社労士:【厚生労働省】健康保険の区分を廃止の方向へ

国に対し、全国で初めて訴訟に踏み切った男性

奈良県内の70歳の男性は3年前、シルバー人材センターから委託された木のせんてい作業中に、足の指の骨を折る大けがをしましたが、全国健康保険協会奈良支部からセンターの作業は、
「業務」に当たるため、健康保険は適用できないとして、治療費など85万円余りを支払うよう求められました。そこで男性側は、保険の適用が認められないのは不当だと訴えて国などに対し、初めての裁判を起こすことになりました。
労働者のために働く特定社労士:【厚生労働省】健康保険の区分を廃止の方向へ

なぜ、このような事が起きるのか?

昔は健康保険は業務上外適用されたのですが労災保険が出来たときに、

業務上=労災保険

業務外=健康保険(小規模な法人の代表者は労災の適用がないので、業務上でも適用あり)

両方使える=国民健康保険

と区別されてしまったのですね。
労働者のために働く特定社労士:【厚生労働省】健康保険の区分を廃止の方向へ

男性は同居する娘の健康保険の被扶養者だった。

一般的に、健康保険に加入するということは、何らかの会社に務めているはずで、そうでない場合は国民健康保険に加入するわけです。国民健康保険では、労災保険の適用がない自営業者も加入しますから健康保険のように「業務外」といった区分はありません。業務場外を問わず適用されます。

だったら、国民健康保険に加入すれば問題がないように思えますが

実は、訴訟を起こした男性のように、同居する自分の子供の加入する健康保険の被扶養者になっている場合、また障害のある方が、同居する親の健康保険被扶養者になっている場合は当然に存在します。

問題は、シルバー人材センターだけでなはい!

インターンシップの学生、障碍福祉サービス事業所等で就労する福祉就労でも同じ問題が発生します。健康保険も労災保険も適用されず「制度の谷間」に落ちてしまう人は約15万人とされます。
労働者のために働く特定社労士:【厚生労働省】健康保険の区分を廃止の方向へ

厚生労働省の対応は・・・・

厚労省は適用対象を「業務外」のけがなどとしている健康保険法の区分を廃止し、仕事中のけがであっても労災保険の対象にならない場合は健康保険の対象にする。
労災対象外は健保適用 シルバー人材センターの高齢者ら – 中国新聞

https://matome.naver.jp/odai/2135176501053267201
2012年11月01日