【閲覧注意】本当にやった復讐『復讐スピーチ・貧弱君の反撃』他

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・飛び道具。これだ。スリングショットや吹き矢、クロスボウだったら、不意を打てば 絶対に勝てる。(貧弱君の反撃より)・・・読んでみて、なんかスカッとしました!!

復讐スピーチ

新郎会社関係で出席した結婚式にて

新郎の高校時代の友人Aのスピーチを、
当日になって急遽別の友人B(男)がやることになったそうで
自席の後ろでスタッフとBが小声で打ち合わせをしていた。

いわく
「参加予定だったAが来る途中で何たらかんたらで、代理で来た。
新郎も知ってるし、スピーチのカンペは預かっているからそのまま喋るので大丈夫」
と、聞くでもなく聞こえた。

大人数の式で、披露宴も大盛り上がり。
お色直しだ何だで怒涛だったからか、
新郎はどうやらキャンドルサービスまで、Bが来ていた事に気づかなかったらしい。

「え?B!?あれ!?」
と驚いてたけど、スタッフに次のテーブルに引っ張られてササーっと流されていった。
で、キャンドルサービスが終わったらその流れで友人スピーチ。

このスピーチがトンデモ修羅場だった。

まず「ご友人のスピーチです、Bさんどうぞ」と司会者が紹介したら
新郎がイスをガタっと鳴らし、明らかにソワソワと汗をかき始める。

B『ご紹介にあがりました友人Bです。
新郎とは高校時代の友人で3年間ともにサッカーをしてきました。
新郎は、見た目どおり爽やかで頭もよく、学年でも人気者で誰にでも優しかったのです。
僕 以 外 に は』

ここで、ジョークだとゲストからは軽い笑いが生まれる。

『新郎は、同じサッカー部の僕にだけは陰で陰湿なイジメを繰り返しました。
暴力、罵倒、物を隠す、究極には性的暴行。
しかもタチが悪いことに性行為を重ねるうちに、
「クズ相手でも、執着心湧くわ」と愛を囁くようになり、
遠い大学に逃げた僕にストーカー行為を繰り返しました』

ここでスタッフと親族が必死に止めに入る

『おい!!オレは一度もお前のことを許してねえからな!!!
人をボロボロにしやがって、お前なんざさっさとエイズでタヒね!!!』

という様な事を、広い会場でマイクを握り締め叫びながら退出させられてしまった。

一部削除しました。

もう300人近くいた会場は完全にドン引き、冷たい空気が目に見えた、マジで。
新郎はガタガタ震えて、腰を抜かしてて
新婦はそんな新郎をワケがわからないといった呆け顔でただ見つめるだけ。

結局、司会の「先ほどの方は招待されていない方で、でたらめです」
みたいなフォローがあったけど、Bは新郎の名前を叫んでいたし
何より真っ青になった新郎がそのまま戻ってこなかったので、
あとはササーっと流されて解散になった。

結局、新郎はそのまま会社に出社せずに退職。
離婚したのかどうかは判らないけど、引継ぎの都合色々聞かなくちゃいけなかった自分に
上司が言葉を濁していたので…あれかなあ。

でも新郎は本当、爽やかでイケメンで面倒見の良い同僚だったんだよね。
新婦も大学の頃からずっと付き合ってた~って話だったし。
真実は判らんけど、まあ強烈な経験でしたわ

AもBの復讐に協力して代理出席させたんかね

さすがに一発勝負で協力するには過激すぎる内容な気がするなあ

どうなのかなあ、自分は会社の人間だから判らないけど
そういう色々なことは有ったのかもしれない。
実際にカンペみたいのは持ってたけど、それを見て発言はしてなかった。

同僚が飲みの席でゲスパーしてたけど、
やっぱりBの真実を知ってたAが協力したのかもなって言ってた

新郎の様子からして事実なんでしょうね…
高校時代で関係が終わってれば復讐はなかったような気がする。

復讐の卒業文集

中学時代の副担任A(3年時)がものすごいクズだった。
気に入ってる子への贔屓・気に入らない子には陰湿な嫌がらせ、
可愛い女生徒にはセクハラ・猥褻行為…というテンプレのようなクズ。

さらにうちの中学校は軽い身体障害持ちの子が結構いたんだけど(目とか耳とかの)、
その子たちにも酷い嫌がらせをしてた。
妙な言いがかりをつけて「罰だ」と、目の悪い子や耳の悪い子を、
その先生の授業の時だけ一番後ろの席に無理やり行かせたり、
黒板に対して後ろ向きで授業受けさせたり…
言うこと聞かないと内申悪くするとか脅した上でやってたからホントにタチ悪かった。

しかも担任や校長先生やらに何度も訴えて、父兄たちからもあれこれ訴えられてたにも関わらず、
Aはクビにもならなければ何らかの罰を受けた様子も無かった。
校長が「大人には大人の事情が~」とかしどろもどろに言ってたから、
事情は今でもわからんままだけど「何か」があったんだろうと思う。

結局卒業までどうにもならなかったわけだが、卒業前に文集
(といっても一人一人のプロフィールとか、クラスの皆や先生へのメッセージとかそんなの)を作ることになり、
そのためのプリントを手に取って「先生へのメッセージ」の欄を見た瞬間、クラスの心はひとつになったw

そして担任の協力のもと、こっそり文集を多めに作ってもらい
(経費はうちのクラスの皆で出し合ったw)その文集を
Aが確実に家にいない時間を狙って、Aの奥さんと娘さんたちに送りつけてみた。

「先生みたいな弱いものいじめだぁ~い好きな人間として
最低なゴミ以下のクズでも教師という職業につけるんですね!希望をありがとうございます!」
「在学中はさんざんお尻撫でたりセーラー服に手を入れたり
頬擦りしたりしてくれましたね!お世話になりました♪早く死んでね☆」
「先生のおかげで『教師からいじめられる』『(いじめの内容をつらつらと記述)』という
経験が出来ました。あ り が と う (ハァト) 死ねくず」

みたいに、最終的にはクラス全員どころかうちの学年 全 員 が
Aの悪事を事細かに書き連ね、恨み言ぶつけまくり嫌味かましまくった文集をw
家ではいい父親として振舞ってるという話を聞いてたからこそやったことだけどw

その後奥さんにも娘さんたちにも罵倒され汚物扱いされ、
最終的には離婚された上に娘さんたちからも絶縁宣言されて
教師も辞めてどっか行ったらしい。その後はシラネ

担任はA側の人間みたいだけど、その文集の内容でOK出したの?

担任は俺らの味方してくれてたんだよ。
一緒に校長に直訴してくれたし、A本人に直接注意したりもしてくれてた。
そんでどうにもならなかったことに心底悔しそうにしてたし、泣いてもいた。

文集の件も全面的に協力してくれて、原稿渡したときは爆笑してたよwww
計画の発案者はクラスメイトの一人、直接計画を進めたのも俺らだけど、
職員名簿のコピー持ってきてくれたのも
出来上がった文集を誰よりも早くこっそり俺らのとこに持ってきてくれたのも担任だったしw
他のクラスの担任やらも、よく知らないけどスルー決め込んでたから教師の間でもAは嫌われてたっぽい。

ちなみにAの家族構成については、Aが自分からベラベラと喋りまくってたんだよ。
「うちの娘たちはどーのこーのでこんなに立派で~それにひきかえお前たちは~」みたいに。
最低限その自慢の娘さんたちに嫌われればザマァwwwwって思ってた。

クズ上司

以前働いてた職場の上司が本っ当にクズだった
自分のミスを部下に押し付けるのは当たり前
嫌がってる奴も無理矢理飲み会に拉致って高い酒ガン呑み、
潰れた振りして自分だけ払わないのも日常茶飯事
酷い時にはフォークリフトで従業員にぶつかって「ちんたらしてんじゃねぇ!邪魔だ!」と怒鳴り散らす

もう我慢ならんかったから数人で結託して復讐した
簡単でセオリー通りのやつだけどな
デジカメやレコーダーでミス押し付けの証拠撮ったりリフトで跳ね飛ばし動画撮影したり
で、全部キッチリ揃えて本社に送ってやった

あっさりクビ切られてやんのざまぁwwww
「社長は俺にでかい恩があるから何でも言う事聞く」でしたっけ?
口から出任せだって事証明されちゃいましたねwwwwwwwww

一番傑作だったのはその後の自爆
職場に乗り込んできて暴れるとかアホか、ちょっとは頭使えっての
速攻3人で押さえ込んで警察呼んだったわ

結局示談で終わったけどこれが駄目押しになって離婚
ついでにパソコンやら商品やら壊しまくってくれたから弁償だけで馬鹿みたいな金額に
40年ちょいで人生終了ですね、お疲れさまでした

濡れ衣晴らし

中学生の頃、同じクラスのA子が万引きするところを目撃してしまった。
A子に「出来心なの。誰にも言わないで」って泣かれて
A子は優等生の人気者だし
きっと魔がさしたんだろうなーって思い
「わかった。誰にも言わない」って約束した。

次の日登校したら、私が万引きして
A子に「誰にも言わないで」って泣きついたことにされてた。
お昼休みまでにはクラス中に噂が広まってた。

要領が悪かった私はどうやって濡れぎぬを晴らしたらいいのかわからなくて
親にも教師にもどう相談したらいいのかわからず
卒業までの約1年をほぼ孤立して過ごした。
でもA子がこっち見て笑いながらヒソヒソしてたから
A子にはめられたんだってことはバカなりに理解していた。

A子と再会したのは大学の飲み会。
私はお酒が好きなので、友達の所属する飲みサー(複数の大学合同)の
花見会に「彼氏と一緒に来なよー」と誘われ
行ってしばらく飲んでたら、別の大学に進んだA子がその場に来た。
しかも彼氏連れ。

すでに酔っていた私はA子が何か言う前に
「あ!ほらこの人だよこの人。前に話した万引き犯の人。
私に卒業まで罪おっかぶせた人。
正直まだ恨んでるんだ~うわ、こんなとこで会えるなんて神様のはからいかな~」
と周囲の彼氏やメンバーに大声で言ってしまった。

A子は「何言ってんのあんた!!」って怒鳴ったけど
咄嗟に私のことを思い出せなかったみたいで「あの、あの、えと」と詰まっていた。
やられた方はずっと覚えてるけど、やった方は覚えてないってほんとだね。

A子は私の周囲の酔っ払いたちに
「ああ、筆箱ギって人のせいにしたA子ちゃんか~」
「はじめて実物見る~。へ~こんな顔してたんか。意外とふつーな顔してるな」
「うちの彼氏もパクられたら困る~こっち来ないで~イヤ~ン」
と囃したてられ、A子は真っ赤になってプルプル。

意地になったのか、すぐ帰らず席の端に座ったけど
A子の同大学の人にも聞こえてたみたいで、
「そういえば…」みたいにA子を横目で見てヒソヒソしはじめた。

私の友達と私の彼氏がそこに絡み
友「なになに!A子ちゃんのこと何か話してるの、教えて!」
彼「そっか、A子ちゃんが集まりに来るとよくモノが無くなるのか、それはいかんな~!
でも俺の彼女の過去話と足して考えると…謎はすべて解けた!!」
と(わざと)ギャハギャハ騒いだ。

20分後、A子は「ちょっとトイレ」と言ったきり戻ってこなかった。
彼氏の車で黙って帰ったらしく、
青い顔をした彼氏が駐車場から戻ってきたとこで
飲酒運転で通報しておいた。

スピード違反+飲酒運転で無事?捕まったA子は
彼氏にふられ、手癖の悪さが広まって大学も中退したらしい。

貧弱君の反撃

小、中、高校とただの本好きの貧弱君として過ごしてきた俺。
高校時代、いじめに遭っていた。

最初は些細なことだった。授業中、不良グループのたわいない悪戯に同調しなかったせい。
教育実習の女の先生が泣くのを見たいというただそれだけの
理由で、一切無視という通達が回ってきた。

実習が上手く行かなかったら当然教師にもなれないだろうし、
そもそも不良どもの言うことを聞いて無視なんて嫌だったから、
通達が回って最初に当てられたのが俺だったけど、俺は普通に受け答えをした。
それがきっかけで、クラスのみんなも無視せず、無事に実習は終わった。

さて収まらないのは不良グループ。
彼らには不良なりの面子があるらしく、「貧弱君に逆らわれた」
「クラス内のモヤシも支配できてない」とのことで
校内の不良連中や先輩達から散々馬鹿にされたらしい(よく解らない理屈だが)

彼らの行動様式は非常に単純で、俺は放課後、笑いながら肩を組まれ、
さも遊びに行くような格好で部活棟の倉庫に引きずり込まれた。
地面に立てる形のサンドバッグ(?)にくくりつけられて、不良グループの
一人の傷害で退部させられたもとボクシング部に、吐くまで腹を殴られ続けた。
もともと貧弱な俺は胃液に血が混じるまで吐いた。

「被害状況」
・内臓、特に胃にダメージ。神経性の急性胃潰瘍も含むらしい
・肋骨4本にヒビ。胸骨にもヒビ。
・体中打撲だらけ。手のひらと二の腕に煙草での火傷。
・眼鏡全損。購入価格32000円
・学ランとスラックス没収。あわせて15000円ぐらい?
・トランクスを引きずり下ろされた姿勢で土下座。(ろくでなしブルース参照)
その姿を写真に撮られ、「チクったらネットに流すから」
・チクろうがチクるまいが、女子更衣室にその写真は「驚愕!@@クンの実態!」
という実名と住所入りで置かれていたことが判明。

涙と鼻水と鼻血とゲロを流しながら、
「こいつら、一人残らず絶対殺す…」と厨房まる出しの決意をしていた。

焼却炉に学ランとスラックスを入れて燃やされ、財布も学生証もその中だったため、
暗くなるまで待って、カッターシャツにトランクス姿で部活棟の中を捜し、ジャージを拝借して帰宅。
自宅が徒歩県内でよかったが、歩くだけで全身が痛くてたまらなかった。

自宅に帰って、すぐに泣きながらシャワーを浴びて、血と汚れを落としてから、
両親にぼそぼそと
「ごめん、自転車でガケから転げ落ちて」と訳のわからない説明をした。
その夜は夕食が食べられず、また夜になって酷く身体が痛み出し、全身が熱くてたまらず、
我慢できずに母親を起こして、緊急外来に連れて行って貰った。
40度近い熱があり、吐き気と下痢もひどかった。打撲と亀裂骨折が原因だと診断されて、
入院を申しつけられた。一時は少し危険な状態だったらしい。
両親は、うすうす感づいていたようで、「誰にやられたか教えて欲しい」と言って
いたが、俺はただひたすらに黙っていた。

3日後、ようやく自宅に戻った俺は、復讐の準備にかかった。
今で言う厨二病患者全開の上、貧弱オタクの嗜みとして武器マニアでもあった俺は、
素手ではかないっこない不良グループを、武器で何とかしてやろうと本気で思っていた。

・ナイフ。いやナイフ持ってても多分勝てそうにない。そもそもナイフ術だって
難しいし、キレてたって恐くて刺したり斬ったり出来そうにない。
さらに相手も持ってるかも…

・スタンガン。基本だけど、元ボクサーの奴とか、もの凄く素早かった。警棒タイプ
の奴でも触れる自信が全くない。

・警棒。木刀…同上の理由で断念。確か不良グループには剣道の経験者もいたはず。
俺など武器のほうに振り回されるのがオチだ。

・飛び道具。これだ。スリングショットや吹き矢、クロスボウだったら、不意を打てば
絶対に勝てる。ガスガン・エアガンなら小さいころから扱ってた。自信がある。
購入ボタンをクリックしようとして、ドアをノックされて飛び上がる俺。おそるおそる
ドアを開けると、紅茶とバウムクーヘン(大好物)のお盆が置いてあった。

おふくろ様の心遣いだ。泣きながら食べた。そしてやめた。両親を
「殺人犯の親」だの「ゲーム感覚で人を撃つオタク少年の両親」だのでマスコミに
さらし者にする可能性に、遅まきながら気付いたのだ。
同時に、全国の罪なき武器マニアの人たちに迷惑をかけることになるとも思い至った。
モニターの照り返しだけが灯りの室内で、俺はバウムクーヘンを食べ続け、
ぼたぼた涙を流しながら考え続けた。
そして、輸入代行のホームページを開くと、局留めで品物を発注しはじめた。

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そして一月ほどあと…
あれから傷も治り、普通に登校し、表面上は通常の学校生活を営んでいた。
登校し始めてから、女子の気の毒そうな視線や影でのくすくす笑いこそあったものの、
不良グループは、貧弱オタクの反撃の可能性など考えてもいなかったようだ。

別の目立たないクラスメイトが手ひどいいじめにあっていたようで、彼は金を主に取られていたらしい。
彼には悪いが、怯えて完全服従の振りをして、奴らの行動パターンを探り続けた。
不良グループのメインメンバーは基本的に5名、これは俺をリンチしたときのメンバーでもある。
ボクサー崩れが一名、剣道経験者(ただし無段)が一名。それ以外は格闘技経験者などはいないようだが、
相撲取りみたいな体格の奴が一人いた。

奴らは、基本的に、午後はさぼりが多いが、全員がそのまま揃うことは余り無く、
金曜日のみ、たまり場になっている部活棟の倉庫に集まり、全員が集まってから
どこかに遊びに行く(または不良女を誘い込んでそこでエロ活動をする)ようだ。
我ながら気持ち悪い笑みを必死に押し殺して、週末を待った。

そして金曜日。授業なんて全く耳に入らなかった。先生も俺を当てなかった。
午後の授業をサボって、部活棟の隣の空き教室で、準備を調えた。前日までに
何回かに分けて運び込んでいた「物資、弾薬」が、画材入れの箱に偽装されてそこにあった。

頭の中では影山ヒ@ノブと遠藤@明、ささきい@おと水@一郎が熱唱し、主観的には
復讐劇の主人公、客観的にはタダの変態を著しく超越した凄い変態という外見で、準備を完了する。

・服装はSWAT(の安物レプリカ)黒の戦闘服、肘パットに膝パット、軽量のコンバットブーツ
・頭部はフリッツヘルムとガスマスク
・防弾ベスト(俺の貯金では、一番安い38口径上限のケブラーベストしか買えなかった)
・腰・胸には各種ポーチ。ただし転ぶと刺さってあぶないので刃物は持たず、強化樹脂の
バックアップナイフのみ所持
・FM盗聴ラジオで不良グループのたまり場を盗聴。

ちなみにこれらのお馬鹿装備を購入するのに、1@万円を費やし、自分名義で貯めて
おいた郵便貯金はほとんど吹っ飛んだ。まともな思考能力を持っている人は真似をしないこと。
部屋の隅っこにあった小さい鏡の前で様々にポーズを取り、生まれて初めての
「戦闘態勢」に興奮していた。そして、耳にさしていたFMラジオから、奴らの声が入りはしめた。

背筋に電流が走ったようになり、首筋の毛が逆立つ。
足ががくがくしてきて、歯もカチカチしてきた。武者震いというよりただ怯えていたのだと思う。
不良どもの、良心の呵責などこれっぽっちもありませんという
気楽な表情のままめり込む拳固の痛さを、嫌でも思い出す。

それでも、かえってそれが自分を叩き殺したいほどの悔しさを思い出させてくれた。
これも購入しておいたユンケル黄帝液を2本飲み干すと、震えを押し殺して、相手が揃うのを待つ。
既に三人が部屋に入っている。今日はこれから、校外の女子グループとカラオケに行くらしい。

ちなみに資金は、目立たないクラスメートから巻き上げた小遣いである。
4人目が到着。かねて容易の各種武器を最終点検し、慎重に取り出した「それ」を用意する。
そして、5人目が到着する。
その音声を聞くと同時に、俺は震える足をもつれさせつつ、行動を開始した。

不良どもは、揃ったところですぐには出ていかない。
大体15-20分ほど、馬鹿話をしたり煙草を吸ったりして、「週末の放課後」とやらを満喫してから出て行く。

まず、たまり場の倉庫のドアが閉まっているのを確認して、ポーチからガムテープを取り出す。
震える手ながら手早く、外開きのドア取っ手部分に、音をさせないように
ラワン材木で閂をかけ、ガムテープで外れないようにガッチリと固定する。

盗聴ラジオからは、奴らの持ち込んだゲーム機の音声と、雑談の声のみ。まだ気付かれていない。
作業を完了すると、駄目押しに、車輪に機械油をたっぷり差して音を消した、
バスケットボール満載の収納台を押してきて、ドアの前に安置した。
震えは止まったが、今度は笑いがあふれてきて止まらなくなっていた。

必死に笑いを堪えつつ、倉庫の窓を見る。使わないプレハブを倉庫にしてあるだけなので、
窓は一つ、上に小さな換気窓が一つあるだけ。
笑いと緊張に震える手で、「武器」を引っ張り出しかけ、思い出してガスマスクを被り直す。
呼吸と視界を確認して、ポーチから缶を、胸のマガジンポーチから缶切りを引っ張り出す。

…そう、缶には「シュールストレミング」の文字が記載されており、
発酵ガスでパンパンに円筒の缶がぷっくりと膨らんでいる。
航空便が禁止されてしまったため、わざわざ船便で買い付けた最終兵器だった。
前日までの準備で、倉庫の小さな換気窓は、ガラスそのものを外してある。
そして俺は、窓に忍び寄ると、膨張した缶の蓋に、缶切りを突き刺した。

「カキッ」という小さい金属音は、「バシーッ!」という、思い切り振った炭酸飲料の
缶を開けたときのような音にかき消された。驚いて取り落としそうになるのを堪える。

『なんだ?』『クサくね?』

缶を完全に開ける予定だったが、それは無理そうだ。恐ろしい音と怪しい汁を
したたらせる缶の反対側にもう一度缶切りを突き刺し、引き抜いた缶切りをポーチに
収納すると、かねて容易の台に登る。
そして、換気窓から、「開封したシュールストレミング」を投げ込んだ。

ゴトン!ベシャッ…(汁の広がる音)
『なにやぁ?…げええええ!』『ぐぶべううああああ!』
『クセ…ゲエエエエエエ!!!』

今までの人生で一番機敏な動きで窓から離れ、近くの茂みに隠れる俺。
パニックになっている倉庫内の様子が、耳に付けっぱなしの盗聴ラジオから聞こえてくる。
中では、声にならない悲鳴と咳、吐瀉音が響き渡り、ドアにたどり着いた奴が必死に
ドアを開けようとする金属音と泣き声。

『ゲエエエ…(ビシャビシャ)は、早くアケ…アケ…』
『アガネ!アガネェエエ!』

ドアを乱打しても、取っ手にギリギリとおる厚さの、分厚いラワン材のカンヌキはビクともしない。
生涯最高の爽快さを味わいつつ、FMラジオの録音をしっかりと確かめる俺。
そして彼らは、反対方向にある窓に殺到した。
だが、鍵を外し、必死にサッシにつめを立てても、ガタガタ揺れるだけで窓は開かない。

当然である。なぜなら、防犯用の補助鍵…窓用エアコンなどで既設の鍵が使えない
場合用の、増設用の鍵…を、前日までにしっかりと、3つほど外から仕掛けてある。
もはや堪えきれずに、茂みを転げ回って爆笑する俺。
そして、打つ手の無くなった不良どもは、椅子や金属バットを振りかざして、思い切り窓ガラスに叩きつけた。

ビシッ!
窓ガラスに真っ白なヒビが入るも、割れ落ちない。繰り返し叩きつけられるが、穴が開かない。
笑いの余り、呼吸困難を起こしかけてのたうち回るガスマスク姿の俺。
通常、防犯用に張られる、侵入・飛散防止用のフィルムを、前もってキチンと張って置いたのである。
ただし、自分で張ったとはいえ、意外にもこの防犯フィルムが一番高くつき、@万円が吹っ飛んだのではあったが。

錯乱の余り、窓やドアではなく、壁を破ろうというのかやたらに叩いたり、わずかな
外気を求めて換気窓に顔を押しつけようとして争ったりする様子が克明に伝えられてくる。
(…死ね!呼吸困難かアレルギー起こして死ね!)

笑いの余り涙ぐみつつ、撤退行動に入ることとする俺。車のクラクションの数倍の
音量と言われるパワー・アラームを取り出すと、近くの柱にガムテープでくくりつけて、
黒く塗った凧糸を、引き抜き式のスイッチに結びつける。

凧糸を伸ばしつつ、物資を隠していた部活棟倉庫まで来ると、手早く「戦闘服」を脱ぎ捨て…
「オゲエエエエエ!」
ガスマスクを外した瞬間、吐いた。

眼がぶん殴られたようなショックで、涙と鼻水がとまらない。
缶を開けたときの「爆心地」にいたことを忘れており、「残り香」だけで
こんな威力を持っているとは想像もしなかった。
(奴ら、冗談抜きで、死ぬかも知れない)
パワーアラームのスイッチに連動した凧糸を思い切り引っ張り、校舎内に鳴り響く
轟音と共に、俺の復讐は幕を閉じた。

俺は着替えた後、道具一式を隠したのち、部活棟の側でゲーゲー吐いて倒れ込み、
集まってきた他の生徒と共に被害者の振りをして帰宅した。
両親は何かを察したらしいが、輝く俺の笑顔をみて、好物のオムライスを作ってくれた。

結局、装備品一式は、防弾ベストを除いて、全て川原のキャンプベースで、灯油缶の中で燃やした。
灰は近くのどぶ川に流した。
防弾ベストだけはあまりにもったいなくて燃やせず、ファブリーズを二本使った後、
しばらく土中に埋めて臭い抜きをしたが、他の衣服は肥溜めの数倍はありそうな臭気で
洗っても無駄と判断し、焼却処分となった。

不良どもは、吐瀉物が気管支に詰まって窒息死かけた奴が一人、ショック症状で舌が
喉に詰まって死にかけた奴が一人いたが、後はそれほど酷いことにはならなかったらしい。

学校側は、「事件について心当たりのあることがあったらなんでも書いて欲しい」
ということで無記名の原稿用紙を配布したが、そこでカツアゲ被害者を筆頭に、
多数の被害報告が出て、程なく五人とも退学処分がくだった。
当然、異臭事件の犯人は捕まらなかった。

一生にたった一度だけの、世にも馬鹿馬鹿しい「喧嘩」の記憶である。

参考
http://blog.livedoor.jp/nwknews/archives/4011617.html#more
http://revenge.doorblog.jp/

https://matome.naver.jp/odai/2134882558341631901
2012年09月28日