▼ アポベック3Cって何?
HIVウイルス =(Vifタンパク質)=> (くぼみ)APOBEC3C
免疫系に重要なAPOBEC3Cの、HIVウイルスに「Vif」によって攻撃されていた部分を発見したということです。この部分を守る化合物(新薬)を開発すれば、全く新しいタイプの抗HIV薬になる可能性を秘めています。
薬そのものでHIVを攻撃するのではなく、薬で免疫系を守ることによって、自己の免疫系でHIVに対抗してもらうことができるようになるかもしれないからです。
▼ どういう研究がされたの?
「グループは、遺伝子操作でアポベック3を作り出してX線で解析。その結果、アポベック3にエイズウイルスの特殊なたんぱく質が付着する「くぼみ」を発見した。さらに、同ウイルスを入れた培養皿に、遺伝子組み換えによりくぼみの形状を変化させたアポベック3を入れたところ、エイズウイルスの増殖は止まり、死滅したという。 」
http://jp.wsj.com/Japan/node_517244
▼ その「くぼみ」はどの辺にあったの?
https://matome.naver.jp/odai/2134848083206390401/2134848534406980003
▼ 誰が発見したの?
論文の第一著者は Kitamura Shingo氏。
その他の研究者は後述の論文ページを参照してください。
くぼみを発見できたことで、もともと人間が持つ免疫力で、HIVに耐えることができるかもしれない
東京新聞:HIVの増殖に関係 タンパク質の構造解明:社会(TOKYO Web)
岩谷室長のコメント
▼ これから新薬開発までに何が必要?
1) コンピューターシミュレーションで結合する可能性のある化合物の候補を絞る
↓
2)実際に結合するかを実験
↓
3)マウスなどの動物実験
↓
4)その諸々の臨床試験。
何年かかるかは全く未知数ですが、全く新しい道筋が見えてきたのは確かです。これからの研究の進展に大いに期待しましょう。
▼ 関連リンク
この研究の論文記事へのリンク。Nature – Structural and Molecular Biology誌。
岩谷研究室のホームページ
APOBEC3ファミリーのタンパク質に関するレビュー論文。科学的に詳しく知りたい方は必読。