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小さなおっさんに買い物の成果を見せる。小花柄のレインブーツ。「どう?」姿見の前でくるりと回る。「えらいかわいらしい長靴やな」「レインブーツ」「長靴やないか」おっさんは首を傾げる。「せやけど、よう似合うてる」私はおっさんを抱き上げて、禿げ散らかした頭にキスをする。 #twnovel
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小さなおっさんがカブト虫のように西瓜にかぶりついている。塩はいいの? おっさんは怪訝な顔をする。構わず上から塩を振る。こらっ、わしにかかっとるやないか。あのな、西瓜に塩なんか振るもんはあほや。にくたらしい。ぷっと飛ばした種がおっさんの禿げ散らかした頭に当たった。 #twnovel
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借り物のビーチパラソルの下で寝そべっていると声をかけられた。お姉さん独り? 良かったら一緒に遊ぼうよ。日に焼けた男の子二人組。どう見ても高校生くらいにしか見えない。ごめんね。連れがいるの。お腹のタオルをめくる。小さなおっさんの禿げ散らかした頭が太陽を跳ね返した。 #twnovel
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小さなおっさんはわたしの肩にちょこんと座っている。端布で仕立てた浴衣がよく似合っていた。きれいね。花火に見とれていると突然頬に無精ひげと唇の感触が。おっさんは澄ました顔で夜空を見上げている。おっさん。なんや。今キスした? さぁ。禿げ散らかした頭が赤くなっていた。 #twnovel
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小さなおっさんが起き出してきた。おはよう。うん。心なしかきょうのおっさんは動きがぎこちない。まるで油の切れた機械みたいに。忘れかけていた疑問が浮かぶ。おっさん。なんや。あなた、もしかしてロボットなの? おっさんは身体ごと振り向いた。困り顔で言う。寝違えたんや。 #twnovel
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小さなおっさんは野球中継を観ている。あんな玉遊びのなにが面白いのだろう。自分がやるわけでもなく観るだけだなんて。不思議でしょうがなかった。ねぇおっさん。なんや。それ面白いの? なにがや。野球。おもろいに決まっとるがな。そのわりには冴えない顔ね。負けとるからや…… #twnovel
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予期せぬ残業でくたくたになって帰宅した。ドアを開けると小さなおっさんが上がり框に腰かけていて、おかえり。と迎えてくれる。禿げ散らかした頭がかわいい。焼きプリン買ってきたよ。ほんまか! おっさんの顔がパッと輝いて思わず笑ってしまう。疲れが吹き飛んだような気がした。 #twnovel
つづく
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2012年08月23日