グスコーブドリの伝記が映画化されますね。観に行く前に、ほかの作品も読んで宮沢賢治の世界に触れておくのはどうでしょうか。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%AE%AE%E6%B2%A2%E8%B3%A2%E6%B2%BB
グスコーブドリの伝記 宮沢賢治 一 森 グスコーブドリは、イーハトーヴの大きな森のなかに生まれました。おとうさんは、グスコーナドリという名高い木こりで、どんな大きな木でも、まるで赤ん坊を寝かしつけるようにわけなく切ってしまう人でした。 ブドリにはネリという妹があって、二人は毎日森で遊びました。ごしっごしっとおとうさんの木を 挽 ( ひ ) く音が、やっと聞こえるくらいな遠くへも行きました。
ペンネンネンネンネン・ネネムの伝記 宮沢賢治 一、ペンネンネンネンネン・ネネムの独立 〔冒頭原稿数枚焼失〕のでした。実際、東のそらは、お「キレ」さまの出る前に、 琥珀 ( こはく ) 色のビールで 一杯 ( いっぱい ) になるのでした。ところが、そのまま夏になりましたが、ばけものたちはみんな 騒 ( さわ ) ぎはじめました。 そのわけ〔十七字不明〕 ばけもの麦 も一向みのらず
グスコーブドリの伝記の前身となる作品だと言われているそうです。
『春と修羅』 宮沢賢治 [#ページの左右中央] 心象スケツチ 春と修羅 大正十一、二年 [#改丁] 序 わたくしといふ現象は 仮定された有機交流電燈の ひとつの青い照明です (あらゆる透明な幽霊の複合体) 風景やみんなといつしよに せはしくせはしく明滅しながら いかにもたしかにともりつづける 因果交流電燈の ひとつの青い照明です (ひかりはたもち その電燈は失はれ) これらは二十二箇月の 過去と…
永訣の朝が収められています。教科書で学んだ人も多いのではないでしょうか。
目次へ 縦書き 永訣の朝 けふのうちに とほくへいってしまふわたくしのいもうとよ みぞれがふっておもてはへんにあかるいのだ (あめゆじゅとてちてけんじゃ) うすあかくいっさう 陰惨 〔 いんさん 〕 な雲から みぞれはびちょびちょふってくる (あめゆじゅとてちてけんじゃ) 青い 蓴菜 〔 じゅんさい 〕 のもやうのついた これらふたつのかけた 陶椀 〔 たうわん 〕 に おまへがたべるあめゆきを…
永訣の朝 単体。
〔雨ニモマケズ〕 宮澤賢治 雨ニモマケズ 風ニモマケズ 雪ニモ夏ノ暑サニモマケヌ 丈夫ナカラダヲモチ 慾ハナク 決シテ瞋ラズ イツモシヅカニワラッテヰル 一日ニ玄米四合ト 味噌ト少シノ野菜ヲタベ アラユルコトヲ ジブンヲカンジョウニ入レズニ ヨクミキキシワカリ ソシテワスレズ 野原ノ松ノ林ノ ノ 小サナ萓ブキノ小屋ニヰテ 東ニ病気ノコドモアレバ 行ッテ看病シテヤリ 西ニツカレタ母アレバ 行ッテソ…
やまなし 宮沢賢治 小さな谷川の底を写した二枚の青い 幻燈 ( げんとう ) です。 一、五月 二 疋 ( ひき ) の 蟹 ( かに ) の子供らが青じろい水の底で話していました。 『クラムボンはわらったよ。』 『クラムボンはかぷかぷわらったよ。』 『クラムボンは 跳 ( は ) ねてわらったよ。』 『クラムボンはかぷかぷわらったよ。』 上の方や横の方は、青くくらく 鋼 ( はがね ) のよう…
これも教科書でみたという人が多いのではないでしょうか。
銀河鉄道の夜 宮沢賢治 一、 午后 ( ごご ) の授業 「ではみなさんは、そういうふうに川だと 云 ( い ) われたり、乳の流れたあとだと云われたりしていたこのぼんやりと白いものがほんとうは何かご承知ですか。」先生は、黒板に 吊 ( つる ) した大きな黒い星座の図の、上から下へ白くけぶった銀河帯のようなところを 指 ( さ ) しながら、みんなに 問 ( とい ) をかけました。 カムパネ…
風の又三郎 宮沢賢治 どっどど どどうど どどうど どどう 青いくるみも吹きとばせ すっぱいかりんも吹きとばせ どっどど どどうど どどうど どどう 谷川の岸に小さな学校がありました。 教室はたった一つでしたが生徒は三年生がないだけで、あとは一年から六年までみんなありました。運動場もテニスコートのくらいでしたが、すぐうしろは 栗 ( くり ) の木のあるきれいな草の山でしたし、運動場のすみにはご…
注文の多い料理店 宮沢賢治 二人の若い 紳士 ( しんし ) が、すっかりイギリスの兵隊のかたちをして、ぴかぴかする 鉄砲 ( てっぽう ) をかついで、 白熊 ( しろくま ) のような犬を二 疋 ( ひき ) つれて、だいぶ 山奥 ( やまおく ) の、木の葉のかさかさしたとこを、こんなことを 云 ( い ) いながら、あるいておりました。 「ぜんたい、ここらの山は 怪 ( け ) しからん…
よだかの星 宮沢賢治 よだかは、実にみにくい鳥です。 顔は、ところどころ、 味噌 ( みそ ) をつけたようにまだらで、くちばしは、ひらたくて、耳までさけています。 足は、まるでよぼよぼで、 一間 ( いっけん ) とも歩けません。 ほかの鳥は、もう、よだかの顔を見ただけでも、いやになってしまうという 工合 ( ぐあい ) でした。 たとえば、ひばりも、あまり美しい鳥ではありませんが、よだかより…
どんぐりと山猫 宮沢賢治 おかしなはがきが、ある土曜日の夕がた、一郎のうちにきました。 かねた一郎さま 九月十九日 あなたは、ごきげんよろしいほで、けっこです。 あした、めんどなさいばんしますから、おいで んなさい。とびどぐもたないでくなさい。 山ねこ 拝 こんなのです。字はまるでへたで、 墨 ( すみ ) もがさがさして指につくくらいでした。けれども一郎はうれしくてうれしくてたまりませんでした…
セロ弾きのゴーシュ 宮沢賢治 ゴーシュは町の活動写真館でセロを弾く係りでした。けれどもあんまり上手でないという評判でした。上手でないどころではなく実は仲間の楽手のなかではいちばん下手でしたから、いつでも楽長にいじめられるのでした。 ひるすぎみんなは楽屋に円くならんで今度の町の音楽会へ出す第六 交響曲 ( こうきょうきょく ) の練習をしていました。 トランペットは一生けん命歌っています。 ヴァイ…
オツベルと象 宮沢賢治 ……ある 牛飼 ( うしか ) いがものがたる 第一日曜 オツベルときたら大したもんだ。 稲扱 ( いねこき ) 器械の六台も 据 ( す ) えつけて、のんのんのんのんのんのんと、大そろしない音をたててやっている。 十六人の 百姓 ( ひゃくしょう ) どもが、顔をまるっきりまっ赤にして足で 踏 ( ふ ) んで器械をまわし、小山のように積まれた稲を片っぱしから 扱 (…
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2012年07月14日