2011年2月14日、太陽系最大規模の爆発現象「太陽フレア」が4年ぶりに確認された。地球に届いた激しい電磁波は、無線通信や長距離航空機が利用するGPS(全地球測位システム)信号に障害を引き起こす太陽嵐に相応しい規模だったという。
大きな規模の嵐だが、極端なタイプではない
太陽嵐の影響は日本時間の9日中まで続く可能性があるという。
ただ、Wall Street Journalの報道によると、同センターの担当者は「大きな規模の嵐だが、極端なタイプではない」としている。
NASAの専門家も「超大型というにはほど遠い」と述べているという。
今後数年間でピークに達する
太陽嵐の引き金となった太陽フレアの活動レベルにはまだ上がある。現在は太陽活動極大期の序章が幕を開けたに過ぎず、今後数年間でピークに達すると見られている。
太陽にも、ハリケーン・シーズンのように活動周期がある
最近4~5年は、まるで冬眠中のクマのようにおとなしくしていたが、目を覚ましたようだ。いくら大規模と言っても太陽全体として見れば控えめだが、個々の事象に関しては非常に強力になると予想される。
ここ1週間くらいは注意が必要です
フレアを発生しているのは、複雑な磁場構造を持つ比較的大きな活動領域で、現在、太陽の北東の領域にありますので、ここ1週間くらいは注意が必要です。
地磁気嵐が発生しています
これまでに発生したフレアの影響で、太陽高エネルギー粒子のフラックスが増加しています。また、3月4に発生したフレアによる太陽風の乱れが3月7日3時30分UT過ぎに到来して地磁気嵐が発生しています。今後、3月7日のフレアの影響による地磁気じょう乱も予測されます。
キャリントン事象
NASAによると、記録上最大の太陽嵐が観測されたのは1859年の太陽活動極大期。これから突入する極大期と同規模だったという。当時の嵐は、観測者であるイギリスの天文学者リチャード・キャリントンにちなんで「キャリントン事象(Carrington Event)」と命名されている。キャリントンはこの最大級の嵐を目撃し、太陽活動と地磁気擾乱(じょうらん)の関連性に初めて気付いた。
オーロラの光だけで新聞を読むことができた
キャリントン事象の間、北極光(オーロラ)はキューバやホノルル、南極光はチリの首都サンチアゴほどの低緯度からでも観測できたという。フレアは非常に強力で、「アメリカ北東部の人々は、オーロラの光だけで新聞を読むことができた」と、コロラド大学大気・宇宙物理学研究所のダニエル・ベーカー氏は2010年12月に地球物理学会で述べている。
太陽嵐に伴う影響は3つある
無線通信の障害を引き起こす
エネルギーの太陽光(ほとんどがX線と紫外線)が地球の高層大気をイオン化し、無線通信の障害を引き起こす。そして、船外活動中の宇宙飛行士に深刻な放射線被曝が生じる恐れがある。最後に、荷電粒子の塊が放出される現象「コロナ質量放出(CME)」も発生する。数日かけて地球大気に到達すると、地球の磁場と相互作用して、強力な電磁ゆらぎが発生する。
電力網のダメージ
電力網のダメージも深刻だ。太陽からの荷電粒子が強力なエネルギーを生み出し、大型変圧器を破壊する可能性がある。もし数百台の変圧器が一度にダウンすれば、再稼働までに長い時間を要するだろうとベーカー氏は指摘する。
電力供給が途絶える
「大都市で1週間、1カ月間あるいは1年間、電力供給が途絶えたらどうなるか想像してみてほしい」とベーカー氏は述べる。「損失額は1~2兆ドルに上ると見られ、復旧に数年はかかるだろう」。