自民党・谷垣総裁 NHK生出演の文字起こし【極秘会談についても言及】

higashihakuraku
2012年3月2日放送、NHK総合『ニュースウオッチ9』より、一部書き起こしました。よく読むと、谷垣氏はけっこう踏み込んだ発言をしています。「極秘会談」の事実は相変わらず否定。 聞き手:大越健介

■社会保障の問題について

─── 一昨日の討論でもかなりの時間を占めた社会保障の問題、そしてそれに伴う税の改革について、話を移したいと思います。
まず、辛辣かもしれませんが、この2つの声を聞いていただきたいのですが。

増税一門の八百長相撲だな、と。密室談合が行われたという報道、「増税翼賛体制」が確立しつつあるな、と。

VTR:渡辺喜美・みんなの党代表の発言

結局、「消費税の競い合い」ですからね。あんまり違いがなくなってきたっていうのが一層鮮明になってきた気がしますよね。掲げたマニフェストだとか、それから、「政党のあり方」っていったいなんなんだ。

VTR:穀田恵二・共産党国対委員長

─── 消費税については民主党も自民党も一緒じゃないか、という発言なんですけれども、反論があると思います。お聞かせください。

谷垣氏 まあ、共産党の穀田さんのおっしゃった、「マニフェストのあり方・政党のあり方とは何なんだ」というのには共感する部分があります。
ただやっぱり現実に、一年間の予算を見たときに、税収よりも発行している赤字国債の方が大きいという、こんなことが長続きするはずがないんですね。ヨーロッパの危機なんかを見てましても、それは税制改革、税制の健全化に真剣に取り組まなければならない時期に来ていると、私はそう思います。

─── なるほど。では消費税の話はまた後ほどお聞きするとしてですね……なぜ消費税を上げるのか、これは社会保障財源の安定化というのが大きな題目のひとつなわけですが、それでもやっぱり社会保障……年金に絞りましょうか、年金制度については民主党と哲学の違いがあるとおっしゃってましたよね。改めてご説明いただけますか。

谷垣氏 はい。私どもは、年金というのは、それぞれが「自分の老後はどうなるんだろう」と心配して、「よしじゃあ年金に入ろう。だから、自分の稼いできたものの中から少しずつ年金で老後に備えよう」って、つまり自らを助けるってことが年金の基本だと思っているんです。

─── 「自助」ですね?

谷垣氏 そうです。それだけでうまくいかないところはある程度、税も入れなきゃいけないけれども、基本的には自助の精神だと思うんですね。

(中略)

■民主党に提言

─── 基礎年金の国庫負担を2分の1に引き上げるということ、これは今もやっています。本来、「この安定財源を得るためには消費税引き上げはやむを得ない」。これは、野田総理大臣も谷垣総裁も……

谷垣氏 そうです。「大宮」っていうのはここまでのことです。

─── あ、「大宮」というのは国庫負担2分の1のことなんですね?

谷垣氏 はい。

─── しかし、今まさにそれが問題になっているわけですよね? 一昨日の党首討論でも、「そこは一緒ですね」という確認をされて、「そこは消費税ですよ」とおっしゃっていた。我々から見ると、そこまでが今たいへんな議論になっているのに、(お二人は)そこが一緒なのに、なぜそう対立するんですか?

谷垣氏 それはね、簡単な話なんですよ。我々も税でいろいろやってきましたけどね、税って上げるのなかなか大変なんですよ。みんなすんなり賛成してくださるわけじゃありませんですから。
で、失敗する時は足元が崩れるんですよ。民主党を見てますと、民主党の中で小沢さんが反対だって言って。「これやるんなら総理かえろ」とか言ってましたよね? 連立を組んでる亀井さんだって「とんでもない」、とこう言ってるわけですよ。ますます野田さんの足元は流動化しているように私には見えます。なぜなら手順、段取りを踏んでないから。
だから私は急がば回れだ、と。ちゃんと足元を固め直さなきゃ。自分の足元を固め直しなさい、と。その一番の方法は、やっぱりそれをもう一度公約に掲げて、国民との信頼関係を作り直すことだと。もう現実に、そこに行くまでに足元乱れてるわけですよ。

─── そのためには選挙をやり直さなきゃならないと……?

谷垣氏 あの、私はね、必ずしも選挙だけと言ってるわけじゃないんです。それは野田さんがどうやったら足元を固め、国民との信頼関係を作り直せるかって、野田さんいろいろ工夫される必要あると思いますよ?
でも一番わかりやすいのは、あの時選挙で、マニフェストを掲げられたわけだから、もう一回それでマニフェストを掲げ直す。新しいマニフェストを掲げ直して、国民との信頼関係を作り直すっていうのが、一番オーソドックスな方法だ、急がば回れだ、と思っております。

■「極秘会談の報道」を語る

─── 25日に、谷垣総裁と野田総理大臣が非公式に会われた、というような報道が出ています。

谷垣氏 それは報道でして、会っておりません。

─── 会ってない?

谷垣氏 (うなずく)

─── あのー、そういうですね、今おっしゃったようなことを直接(野田首相と)話されたらいいじゃないですか。

谷垣氏 まあ、それは話してもいいんですね。現にこないだ党首討論では申し上げたんですね。で、あらゆる機会に、そういうことを私は野田さんに向かって発信しているつもりです。

─── あのですね、(谷垣さんは)否定されていますが、その「会った」という報道が駆け抜けて、両方からですね、「戦ってる党首が会っているなんてけしからん」という話が今、喧しくですね……。
あの、これは私見なんですが、どんどん会われたらいいと思うんですよ私は。日本の総理大臣というリーダーと、野党第一党のリーダーが、この国をどうしたらいいかっていうのを公式であろうが非公式であろうが、会うことは恥ずかしがることではないし、仮にね、会うにしても、それが表に出てしまったら「や、会いましたよ?」とサラリと言うのが大人の政治なんじゃないでしょうか?

谷垣氏 (笑)まあ、会っていないものですから、「サラリと言え」と言われても言えないんですが、まあ一般論として言えばですね、やっぱり政党の代表者が折に触れてきちっと国政について議論を交換し合うということは、私はあってしかるべきだと思いますね。そしてそういうことのできる人間的な信頼関係ってものが、国内政党の党首の間にあるということが望ましいですね。

嘘吐き
うそ‐つき【嘘吐き】の意味とは- Yahoo!辞書

嘘を言うこと。嘘をつく人。

すり‐かえ〔‐かへ〕【掏り替え】
http://dic.yahoo.co.jp/dsearch?p=%E3%81%99%E3%82%8A%E3%81%8B%E3%81%88&stype=0&dtype=0

すりかえること。「問題の―」

■橋下市長と「大阪維新の会」を語る

─── 支持政党なしというところがこれだけ増えているなかで、それでもやはり解散・総選挙を今求めるというのがやはり筋なんでしょうか?

谷垣氏 私はそう思います。要するに、解散すれば民主党だって野田さんは消費税をおやりになるわけでしょう? 我々も、それはもう2年前の参議院選挙の時から掲げてるわけですから。それでやるわけです。ひいては、自民党と民主党は共通で、選挙でどっちが勝とうと足を引っ張ることはできない。

(中略)

─── ただ、一定の自民党内の意見として、「解散をして一回信を問い直し、それからもう一回やろうじゃないか」ということになると、そこから先は全く見通せないし、今少なくとも喫緊の課題である社会保障と税の改革について、これだけ国民が危機感を持っているということになれば、やっぱり一定の方向を、合意をした上で「話し合い解散」になるのが……

谷垣氏 あのー、一定の方向を合意して解散、「俺たちも消費税掲げてやるから、あんたたちも消費税掲げてやれ」という決断を野田さんがすればですよ、それはもう、一定の方向性は出てくると思います。私はですね、去年の12月頃に野田さんが解散していたら、もう消費税上がっていたと思いますよ。

─── そうじゃなくて、では法案を通してから解散というのはどうですか?

谷垣氏 まあー、これはねー、全く可能性がないかどうかはアレですが、最初からそういう話にはなかなかならないのではないかと思いますね。

─── なるほど。国会は大事なことですが、先ほどの国民の支持動向の話に関連するんですが、無党派層が増えると、やはりその支持の行き場を求めますよね?
で、それと関連して、と言っていいのかどうか、大阪市の橋下市長が率いる「大阪維新の会」。今非常に注目を集めていて、3,000人を超える人がその政治塾に応募しました。このうねりというものを、老舗自民党の党首としてどうご覧になっていますか?

谷垣氏 まあ一つは、先ほど申しましたように、今までの議会政治というのが物事を処理していく能力があるかどうかが問われているんだなと思います。それは我々もまた、きちっとしなくてはというところですね。
それからもう一つは、橋下さんも「船中八策」とかいろんなことを考えておられて、大阪の問題提起を聞いて我々もなるほどな、と思うところもあります。しかし、「これはまだちょっと考えが足らないんじゃないかな?」と思うところもないわけではないですね。
そしてまた、その中に色々な人が集まってくるわけですが、民主党の政権交代がそうであったように、「何をするのか」の方向性がはっきりしないところが一つの問題点だと思います。本当に、一つの方向を目指していく、「三極」と言われておりますけど、なるのかどうか、これを我々はよく見ていかなければならないと思いますね。

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https://matome.naver.jp/odai/2133070550908671201
2012年03月04日