茂木健一郎さん 連続ツイート第517回「根拠のない、前向きさがアメリカの強みだねえ」

kentasinjyou

茂木健一郎@kenichiromogi

カリフォルニア州ロングビーチから、「連続ツイート」第517回をお届けします。現在こちらは14時20分です。文章は、その場で組み立てながら即興的に書いています! 今朝は、アメリカ滞在中の印象に基づいて!

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こま(1)さっき、TEDのレジストレーションに行こうと思ったら、まだバッジがないので通れなかった。そしたら、緑のオーガーナイザーの女性が、「私と来ればだいじょうぶよ!」と言って、会場内を近道して表通りに案内してくれた。テントの入り口では、カメラクルーが誰かの撮影をしている。

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こま(2)レジストレーションの前にぼんやり立っていたら、小柄の女性が「あら、今年も会えてうれしいわ!」と声をかけてきた。ぼくはあまり覚えていないのだけど(汗)、ひょっとしたら、教育の話をした人かもしれない。そしたら、近くにいた黒っぽい女の人が、「私はスピーカーよ」とか言った。

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こま(3)私に声をかけてきた小柄の女の人は、「私はTEDxインドでしゃべったわ」かなんか言っている。そして、黒い女の人に、「TEDのメインステージのエネルギーは信じられないわ。あれは、ものすごいことになるのよね」なんか言っている。そして、やたらとニコニコ笑っている。

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こま(4)ああ、このヴァイブだったなあ、と一年ぶりに思いだした。思いきりアゲアゲというか、根拠のない前向きさ。アメリカの社会全体にそのような傾向があるとしても、このTEDでは、根拠のない前向きさが、高い知性と広い見識と結びついて暴走している。このヴァイブが、日本にはないのだ。

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こま(5)エレベータの中でも、通りを歩いていても、赤いバッジを見ると「やあ」とファーストネームで声をかけて、何をやっているのかあっという間に情報交換し、そうかとか、すげーなとか、そんな感じで前向きに疾走する。この根拠のない前向きさが、アメリカの文明を支えてきたのだろう。

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こま(6)気分に根拠などない。前向きだろうが、後ろ向きだろうが、それはいわば第一原因であって、冷静な分析の結果などではない。日本の国を覆っている全体としてなんだか沈んだ雰囲気が、国としての停滞の第一原因なのかもしれぬ。そうしたら、根拠のない前向きさをつかむしかない。

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こま(7)普通の日本の感性で育ったら(それはそれで一つの美しい世界観だと思うけれど)アメリカの根拠のない前向きさは、うっとおしいとか、疲れると思えるかもしれない。一方、この前向きさがなかったら、インターネットもアップルもグーグルもフェイスブックもなかったのは確実である。

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こま(8)TEDのレジストレーションに行った、そのたった数分の間に接した空気の圧力に呆然とし、「ああ、そうだ、オレは、この空気に接するためにここにわざわざ来たんだっけ」と思い出した。この空気の中で、オレは震災の話をして、託された大漁旗を振り回さなければならないのだ。

茂木健一郎@kenichiromogi

こま(9)ぽつりと一人のケン・モギとして、この中で何かの印象を与えるのはしんどいことだけど、楽しいんだよね。猛獣としての力を試される気がするから。ひるがえって、愛する祖国にも、こんな根拠のない前向きさと猛獣たちの丁々発止の雰囲気がほんの少しでもあったらいいなと、思う日曜の午後。

茂木健一郎@kenichiromogi

以上、連続ツイート第517回、「根拠のない、前向きさがアメリカの強みだねえ」でした。
https://matome.naver.jp/odai/2133030891696734801
2012年09月15日