1.物品市場アクセス(関税の撤廃や削減)
メリット:日本からの輸出品にかかる関税の撤廃
争点:輸入農作物にかかる関税の撤廃も迫られる
2.原産地規制(関税引き下げ対象品の基準)
メリット:制度が簡素化され、企業や税関の事務が合理化される
争点:輸出企業などが原産地の確認体制づくりを求められる可能性がある
3.貿易円滑化(貿易規制の透明性向上や手続き簡素化)
メリット:手続きの簡素化で中小企業などの貿易促進
4.衛生植物検疫(輸入食品の安全確保など)
争点:個別案件ごとの慎重な検討が難しくなる恐れ
5.貿易の技術的障害(製品の安全・環境規格が障害にならないようにする)
メリット:協定による情報交換を通じて問題解決が加速
争点:規格策定段階で相手国関係者の参加を認める規定が設けられる可能性がある
6.貿易救済(国内産業保護のための一時的な緊急措置-セーフガード)
メリット:外国政府によるアンチダンピング措置の運用が
規制される
争点:セーフガード措置を発動する条件が厳しくなる可能性
7.政府調達(中央・地方政府による調達のルール)
メリット:外国政府により高い水準の内容を求めることが出来る
争点:日本が政府調達の基準額引下げを求められる可能性など
8.知的財産(模倣品や海賊版の取締りなど)
メリット:日本企業の知財保護が促進
争点:日本の法制度と整合性の取れない規定採用の恐れ
9.競争政策(カルテルなどの防止)
メリット:海外当局との協力促進
争点:日本の法制度との整合性が取れなくなる恐れ
10.越境サービス貿易(サービス貿易のルール)
メリット:サービス業の海外進出拡大
争点:国内法改正の必要性など
11.商用関係者の移動(ビジネスマンの入国・滞在のルール)
メリット:日本人の相手国滞在時の手続き迅速化
12.金融サービス(国境を越える金融サービス提供のルール)
メリット:金融業の海外ビジネスが容易に
争点:郵政・共済などで対応を求められる可能性
13.電気通信サービス(通信事業者に求める義務などのルール)
メリット:通信事業者の国際取引が容易に
14.電子商取引(電子商取引の環境・ルール)
メリット:日本企業にとって電子商取引の環境が整備される
争点:日本が過去に外国と結んだ協定と異なる内容の規定が設けられる可能性
15.投資(外国の投資家を差別しないなど)
メリット:日本企業の海外投資環境の改善
争点:国内法改正の必要性など
16.環境(貿易・投資促進のために環境基準を緩和しないこと)
メリット:環境面で先進的な日本企業の競争力確保
争点:日本の漁業補助金やサメの漁獲などが問題になる可能性
17.労働(貿易・投資促進のために労働基準を緩和しないこと)
メリット:日本における事業コストが相対的に上がるのを防止
18.制度的事項(協定運用について協議する「合同委員会」について)
メリット:ビジネス環境の向上に繋がる
19.紛争解決(協定の解釈の不一致などによる紛争を解決する手続き)
既存の経済連携協定の手続き規定に基づき議論
20.協力(協定の合意事項を実施する体制が不十分な国への支援)
メリット:日本企業のビジネス環境整備
21.分野横断的事項(複数分野にまたがる規制・規則が通商の障害にならないよう定める規制)
現時点で議論がまとまっていない
リンク
PDFファイル「TPP協定交渉の分野別状況(平成23年10月)」が参照できます。
ニュース
今回の会合は難航分野のうち民間企業との競争条件を公平にする国有企業改革や、貿易・投資促進のために環境基準を緩め過ぎないようにする環境分野のルールづくりで議論が進んだ。ただ、新薬を開発する際の臨床データを独占できる期間の延長など知的財産分野は担当交渉官の作業部会も開けず、論点整理にとどまったとみられる。