恒次徹・読売記者が上杉隆と岩上安身とケンカ【小沢一郎会見】

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左画像「恒次徹(つねつぐとおる)」読売新聞記者が上杉隆と岩上安身とケンカ(口論)。自由報道協会主催の小沢一郎会見で。過去にも、西松建設事件で解説記事を執筆。
恒次徹(つねつぐとおる)
読売新聞東京本社編集局社会部次長(左)
恒次徹(つねつぐとおる)
読売新聞東京本社編集局社会部次長

小沢氏と読売記者の質問やりとり

―陸山会の今回の問題が起きてから、先日の(東京地裁の)意見陳述でもそうでしたが「政治規制法違反に関して脱税や汚職に伴わない場合は実質的な犯罪とは言えないのだ」というお考えを述べていらしたが

小沢氏:(憮然として)そうは言っておりません。

―こちらとしては、そう受け取れられるような発言をされましたが

小沢氏:そんな事はありません(苦笑)記者会見でも全文言いましたから!

―そういう風に一貫して、述べられていると思うんですが

小沢氏:違いますよ!それ。

会場の一部で笑い

―(小沢氏の反応を無視して)2007年2月の事務所費の問題がございまして、小沢氏が会見を開かれた時に、すべて情報をオープンにして国民の判断を作っていく事が大事なんだとおっしゃっておりました。その通りだと思いました。

でも今回の問題が起きてからの小沢さんの対応を、その時のお考えを修正されたのかと、思わざるを得ないような表現をしています。「実質的な犯罪ではない」とか、「形式的なミス」だとおっしゃっているのですが、2007年の会見の時におっしゃった様な主旨でいえば、「政治資金収支報告書に誤りがあった場合には、国民側が判断する事が大事だ」とおっしゃっているわけですから、その判断を誤らせる様な虚偽記入があった場合、もし、汚職や横領とか脱税ということがなくても“実質的な犯罪”と言えるのではないでしょうか。

小沢氏:ちょっと、あなたの理解が違うと思います。私は、犯罪ではないという見方をしている訳ではない。犯罪といったら、軽犯罪だって犯罪であるから、そういう言い方をすれば、ちょっとでも法に触れれば犯罪となりますが、所謂、実質的犯罪と形式的な犯罪は解りますか?「今まで実質的犯罪が伴わない場合には、全て収支報告書の修正で済まされてきた」と申し上げたんです。

―「実質的犯罪じゃない」というお考えがどうなのかかと聞いているんですが

小沢氏:それは法律学者でも誰かでも聞いてください!実質犯と形式犯と二つあって……。

―そうじゃない!

小沢氏:そういう意味のことを私は言っているということで……。

―そういう意味でですね、あの……

司会者の女性:会見中には質問は一つまで……

―話が終わってないから!

司会者の女性:この辺の終えて頂けますでしょうか

(場内騒然)

上杉隆氏:あんたルール違反してるんだよ!

会見後の上杉氏と岩上氏とのやりとり

ちゃんねる桜「この国の行方」での上杉氏の発言

上杉
「世界中でジャーナリストは権力を追及する時に、相手がごまかした場合は
次の質問者もその次の質問者も、ちゃんと答えるまで追求できる訳ですよね。これは。
ただ、日本だけは記者クラブの訳の分からんルールで、一人一問とかですね、助け舟を出すと。」

読売の反論

20日行われた小沢一郎民主党元代表の記者会見で、資金管理団体「陸山会」の事件について質問をした読売新聞記者に、会見を主催したフリージャーナリストらが「司会者の指示に従わなかった」と激しく抗議する場面があった。

その様子はインターネット上で生中継され、読売新聞にも問い合わせが相次いだ。記者は司会者に言われるまま質問を打ち切るべきか、それとも追及を続けるべきか。問題となった会見を検証する。

◆質疑応答◆

会見を主催したのは、フリージャーナリストらで作る「自由報道協会」(東京都千代田区)。小沢元代表はこのところ、自身の考えを述べる場に、インターネットで生中継されるネットメディアを選ぶことが多い。

会見の第1部は、市民から寄せられたとされる質問に元代表が答えるもので、これが終了した後、記者らによる質問の第2部が始まった。最初に司会者から指されたのが、読売新聞社会部の恒次
つねつぐ
徹記者だった。

「小沢さんは政治資金規正法違反に関して、脱税とか汚職を伴わない場合は、実質的犯罪とは言えないとの考えを再三述べている。国民の判断を誤らせる虚偽記入があれば、実質的犯罪と言えるのではないか」

これに元代表は「あなたの意見がちょっと違う」と述べたが、政治資金収支報告書で国民の判断を誤らせることが実質的な犯罪に当たるかどうかについて、明確な回答をしなかった。

このため恒次記者は「例えば」と前置きし、投資家の判断を誤らせることになる有価証券報告書の虚偽記載罪を例に挙げて、なお見解をただそうとしたが、司会者が「この辺で区切らせていただきたい」と制した。ジャーナリストで同協会暫定代表の上杉隆氏らも、「ルール違反だ」と抗議した。恒次記者はその後も質問しようとしたが、「ルール守れよ」などの声が上がった。

恒次記者の質疑応答に要した時間は約4分30秒。その後、4人から質問があり、平均約5分を費やした。

◆生中継◆

会見終了後、恒次記者は上杉氏とジャーナリストの岩上安身(いわかみやすみ)氏に詰め寄られ、抗議を受けた。さらに別室に移動し、上杉氏は「なめてんのか、この野郎」、岩上氏は「ど素人か」「質問の仕方がへたくそ」と言いながら、司会者に従わなかったことに怒りをあらわにした。この模様は約25分間、生中継された。

翌21日、同協会から恒次記者あてに抗議文が届いた。〈1〉司会者の指示に従わなかった〈2〉ゲストスピーカーの言葉を遮って発言を続けた――の2点を挙げて、「記者会見上のルールを無視し、進行を妨げたことは誠に遺憾」としていた。

◆反響◆

抗議の模様はその後も、動画サイトで閲覧でき、視聴する人が相次いだ。このほか、夕刊紙「日刊ゲンダイ」が22日付の紙面で、「小沢会見 読売記者“大暴れ”」の見出しで記事を掲載。抗議の模様について、「場外乱闘の大パニックに発展した」と報じた。

読売新聞読者センターにも、動画を見た人から、電話とメールによる意見が141件(26日現在)寄せられた。会見直後は、ほとんど恒次記者に対する批判で、「読売バカ記者」「恥を知れ」と同じ文言のメールが多数あった。これに対し、「紳士的で冷静」「あれくらい聞くのが当然。大変だろうが、頑張ってほしい」と支持する意見も寄せられた。

上杉氏は22日、「読売新聞記者に複数回『暴言』を吐き、協会の健全性を傷つけた」として暫定代表の辞任届を提出したが、同協会は受理しなかったという。

(2011年10月27日11時32分 読売新聞)

2009年3月25日付の読売紙面で解説記事を執筆

小沢一郎・民主党代表の資金管理団体を巡る捜査が明るみに出したのは、資金の流れを隠すために、ダミー団体を迂回(うかい)させる巧妙な献金システムだった。大久保隆規容疑者が西松建設からの寄付と知りつつ、ダミー団体を寄付者として記載していたとすれば、西松との癒着関係を隠す意図があったことは明らかで、これまでの会見で「修正報告で済まされていたこと」と述べた小沢代表の指摘は当たらない。

捜査の対象が、政権交代を狙う野党党首の政治団体だったことや、摘発されたのがヤミ献金ではなく、違法献金額も過去の摘発例と比べると少なかったことで、「狙い撃ちだ」という捜査批判も出た。しかし、どこから献金を受けているかは政治家は評価する際の重要な手がかりで、これを偽ることは軽微な違反とは言えない。

にもかかわらず、違和感が残ることも確かだ。

全国で6万7000ある政治団体の中には、政治活動の実態に乏しく、政治資金の通り道としてしか機能していない団体が数多くある。献金を受ける側が、政治団体のダミー性について甘い判断をしたとしても、強く責められない面がある。

摘発の公平性の問題もある。ダミー団体経由の献金額は小沢代表の団体が突出しているとは言え、政党別では、自民党サイドの合計額の方が大きい。にもかかわらず、現時点で自民党側に摘発は及んでいない。

日本の検察は起訴するかどうかに大きな裁量があり、同種の違法行為が多数あったとき、どれを選んで摘発するかは検察の一存にゆだねられる。強力な検察権に恣意(しい)的な運用がなかったことを示すには、起訴の対象を選んだ基準をできるだけ、明らかにするしかない。捜査は途上にあり、すべての捜査・公判が終了した段階で改めて問われるべきだろう。 (恒次 徹)

2010年2月4日付の読売紙面で解説記事を執筆

「特捜部、小沢氏不起訴処分で最終検討」と報道

2010年02月02日

小沢一郎民主党幹事長の資金管理団体「陸山会」の土地購入をめぐる収支報告書虚偽記入事件で、東京地検特捜部は2日、小沢氏について現状では立証が困難として不起訴の方向で検討。

陸山会の土地取引を巡る事件で、検察当局が小沢氏を起訴しない方針を固めたのは、検察当局が、共犯関係を立証するには証拠が薄いと判断したことによる。
しかし、会計事務を担当していた石川知裕衆院議員は、4億円の不記載の方針について小沢氏から了承を得たと供述しており、政界の「最高実力者しを前にして、起訴のハードルを高くした印象はぬぐえない。
検察当局は、石川容疑者が「小沢氏関与」の供述を公判で覆した場合も想定し、公判維持に不安が残ると判断した。ある検察幹部は、「100%有罪という心証が持てないと起訴できない」と語っている。
検察当局が起訴に踏み切れなかった要因には、土地代金の原資に、ゼネコンからの受注謝礼が含まれていることを突き止められなかったこともある。だが、小沢氏が原資として示したのも、「事務所の金庫で保管していた現金」という検証不能な説明だった。
石川容疑者が「小沢先生が大きい金を持っていると分かると良くないと思った」と供述するように、今回の虚偽記入には原資の追及を免れる動機があったことがうかがえる。4億円もの土地代金の原資を国民の目から隠した悪質性が見過ごされてはならない。
たとえ、原資が完全に特定できなかったとしても、政治資金規正法違反(虚偽記入)は成立する。小沢氏の関与を示す事実が確認できたのであれば、刑事責任を追及すべきだったのではないか。
一方の小沢氏の説明責任も全く果たされていない。事件で明るみに出た陸山会や関連団体などの周辺で動いた簿外資金は計20億円以上に及ぶ。「すべて公開している」という小沢氏の言明が欺まんだったことははっきりした。
小沢氏は刑事告発されているため、今後、検察審査会への審査が申し立てられる可能性がある。昨年5月の改正法施行で、2度、起訴相当の議決があれば、小沢氏は強制的に起訴される。審査では石川容疑者の供述調書も提出されるはずで、今回の検察当局の選択が国民の判断によって覆る可能性は残っている。 (社会部司法キャップ恒次徹)

https://matome.naver.jp/odai/2131911398450886201
2018年05月23日